ホンモノの思考力 ―口ぐせで鍛える論理の技術 (集英社新書)

著者 :
  • 集英社
3.19
  • (18)
  • (37)
  • (146)
  • (20)
  • (5)
本棚登録 : 648
感想 : 75
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087202007

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 心理学も論理学も役に立たない。とし、一般の人が日常生活で役立つ思考力をマニュアル化。その試みは概ね成功しているように思う。シンプルかつコンパクトにまとまており、有用性は高い。ただし、著者が小論文の予備校講師なので、そこに依拠し過ぎかなという印象はある。

  • まあまあ良かった。
    以前この著者の『ダメ部下・アホ上司の使い方』を読んで、自分が知らない世界のことを適当に自信満々に書いてい著者のレベルの低さに非常にガッカリしたのだが、家にあったこの本を捨てる前に軽く読んでみたところ、驚くほど真っ当なことを書いていた。
    小生の著者に対するハードルが低すぎたので★3つも付けた。
    悲しくも、やはり著者は小論文の添削者の域を出られない程度の内容で『思考力』と言いながら浅知恵レバルの内容。
    似たようなタイプの著者では、出口汪氏を思い付いたが、こちらの著作の方が更に真っ当で頷けることが多いので、論理力や読解力ならそちらをお勧めする。
    同じ内容を書くにも樋口氏の方は冗長的でページ数が無駄に多くなるので時間のない方には勧めない。
    但し、樋口裕一氏は自信満々に言い切るパターンが多いので娯楽本として時間つぶしに読むのには良いかも知れない。
    または読書歴の少ない高校生か、それレベルの社会人にもまあまあお勧めかも(本当の思考力には遠回りだと思うが…笑)。
    最近は本当に思考力のある著者が多いので樋口氏には厳しい時代かも知れない。

  • 思考するというのは、言い換えると自己主張するということ。他の人と違う考えを元、別の考えをもつ人を言い負かそうとする。そのために論理的な思考する。

    内面を充実させようと主のなら、具体的には外面を磨くしかない。他者に評価されるようになって、本当に知的になり、思考力がつく。自分の思考力に自信を持てるようになる。

    NOと言える支店が生まれないと停滞する。
    どんな分野でもいいから得意領域をつくって、その領域については誰にも負けないくらいの知識を増やす。

  • そんなの知ってるよ、というものばかり。著者は大学客員教授というより、予備校の小論文指導で有名な人らしいが、本書中に出てくる練習問題みたいなものの「回答」を見ても不十分で薄っぺらなのであり、こんな人物が一体何を人様に教えようというのか、と愕然とした。

  • 本書は,論理的思考とは何かを探り、型を用いることでホンモノの思考を深めることができる書となっている。


    <問題を発見するための視点>
    ノーという視点が生まれないと、停滞する。現状にノーを突きつけることによって、新しい展望が見えてくる。もっと言えば、ノーという言葉によって、発展する。物事にノーを突きつけて、「現状はおかしい。改めるべきではないか」というイエス・ノーの二項対立の形にすることが、問題発見能力と言ってもいいだろう。P45

    ある物質の正体を探るには、何らかのものさしが必要だ。重さを量ってみたり、長さを測ってみたりして、物質の性格を知ることができる。それと同じように、前もって、ものさしがあってこそ、物事を理解できる。したがって、物事を考えるとき、そこには、どのような二項対立があるのかを、まず考える必要がある。P56〜57


    物事に存在する二項対立を見つけ出して,分析することによって現象の意味を見出すというものです。
    この二項対立についての事例を本書ではいくつか紹介しています。


    <型でとらえる>
    この「メモの型」と「論述の型」の二種類の「型」を使い分けて、自分の意見をまとめ、それを人前で発表する。そうすることで、深く思考することができる。そして、その思考を論理的に伝えることができる。P76

    言い換えれば、一つの「型」として頭に入れておいて、決まり文句として用いるのだ。考えるときには、常に「定義・現象・結果・理由(根拠)・歴史的状況・地理的状況・対策」という手順に沿って考えてみる。考えながら、周囲の人と話し、それをヒントにして、自分の考えをまとめる。そうすることで、現状を分析できる。自分の考えもまとめられる。P78

    第一部 主張表明
    「私はーと考える」というように、問題となっていることについてイエスかノーかの主張をはっきり言う。ただし、もし自分の主張を初めにはっきり言うのがはばかれるような場合には、「どちらが正しいだろうかねえ」というように、ここでは問題提起をするにとどめてもよい。
    第二部 意見提示
    「確かにーしかしー」のパターンで言う。「確かに」のあとで、反対意見を考慮しながら、「しかし」で切り返して自分の意見を明確にする。たとえば、「競争は好ましい」という方向で主張したいとき、「確かに、競争には好ましくない面もある。たとえば、こんな○○な面だ。ーしかし、競争には好ましい面が多い」と語る。イエスとノーの立場を取るかの方向を定め、問題となっている事柄の現在の状況を正しく把握する。
    第三部 根拠
    「なぜなら」で始めて、自分の意見の根拠を示す。場合によっては、そのあと、それを実現するための具体的対策を示すこともある。
    第四部 結論
    「このようなわけで」で始めて、自分の意見を確認する。P89〜90


    メモをとるにしても、話を聞くにしても型を用いることで,考えを深めることができる。
    型にのっとって思考すると論理的に思考することができる。
    型にはまることは没個性になるのではない。個性的に考えるための型というようなことが書かれています。

  • 著書特有の造語がちらほら出てくるので、最初はとっつきにくいかと思ったが全くそんな事はなく一気に最後まで読みきってしまった。タイトルにある通り、口癖にする事で訓練出来るというのは非常に取り組みやすく、この点でこの本は数多くある思考訓練本より優れていると思う。

  • うちになぜかあった自己啓発本シリーズ。「頭がいい人、悪い人の話し方」が頭悪い人の話し方をボロクソに言っているのに対し、こちらでは頭がよく見える話し方はこうだ!と言っていて、こういう本ならいいかな、と思った。バカに見える会話、というコラムがあって、前述の本の内容の一部と全く同じことが書いてあるのでこちらが先に書かれたのだろう。本書では例が一貫していてすごくわかりやすかった。また、小論文の書き方、というタイトルがついていてもおかしくないと思う内容だった。

  • ホンモノの思考力って何?と思って読みました。他者に評価されるようなことができて、思考力が思われるとのこと。型を使うことが重要。

  • 評価としては「まあまあ」といった感じ。
    もちろん参考になることもあった。特に「型」を重視するあたりは面白い。さすがに小論文指導の権威。しかし、「こうすれば知的に思われる」という反論のしかたあたりは…?と思ってしまった。逆に「小賢しさ」を出してしまい、「小さいヤツ」とかおもわれないだろうか?
    最後はその人の年齢や人柄、経験値などで受け取られ方は変わるだろう。参考文献として活用すべきだろう。

  • 本書では思考力を身につける方法として
    「二項対立思考」「型思考」「背伸び思考」
    を挙げています。ちなみにサブタイトルの「口ぐせで鍛える論理の技術」とは「型思考」のこと。


    ロジカルシンキングを鍛えるための内容ですが、通常のロジカル本とは少し違った切り口で解説しているのが本書のいいところ。
    練習問題が掲載されているのもいいですね。


    ただ他の方のレビューにもあるように、タイトルのわりには少しテクニックに走っている感も否めません。

    「外面を磨くことによって内面も磨かれる」という本書の記述に納得いかない方は、本書のタイトルと内容の差異に違和感を感じるかも…。


    ただし、個人的には文句なしの星5つです!


    備忘録
    ◆「型」を守ると、没個性になってしまうと思われがちだが、むしろ逆である。
    ◆問題発見能力とは、ノーということ。現状にノーをつきつけることによって新しい展望が見えてくる。
    ◆「受け入り」を否定するなかれ
    そもそも思考法をいくら知っていても、知識がなければ深く思考することはできない。他人の思考を知り、それを知識として蓄えるうちに、自分なりに分析できるようになる。そのためにも、他人の考えを受け売りして人前でしゃべるというのは、実は大事な期間なのだ。

    ◆外面を磨く事を否定して内面のみを磨くように教えるということは、単に抽象的な精神論の説教にしかならない。内面を充実させようと思うのなら、具体的には外面を磨くしかないはずだ。外面を磨く事によって内面が充実してくる。したがって、内面を磨く事を教えるのなら、その具体的方法として、外面を磨く方法を教えるべきなのだ。

全75件中 11 - 20件を表示

著者プロフィール

樋口 裕一(ヒグチ ユウイチ)
作家、小論文専門塾「白藍塾」塾長、多摩大学名誉教授
作家、小論文専門塾「白藍塾」主宰、多摩大学名誉教授
1951年大分県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。多摩大学名誉教授。小学生から社会人までを対象にした通信添削による作文・小論文の専門塾「白藍塾」塾長。
著書に250万部のベストセラーになった『頭がいい人、悪い人の話し方』(PHP新書)のほか、『小論文これだけ!』(東洋経済新報社)、『読むだけ小論文』(学研)、『ぶっつけ小論文』(文英堂)、『ホンモノの文章力』(集英社新書)、『人の心を動かす文章術』(草思社)、『音楽で人は輝く』(集英社新書)、『65歳 何もしない勇気』(幻冬舎)など多数。

「2022年 『小論文これだけ! 人文・文化・思想・芸術・歴史 深掘り編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

樋口裕一の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×