小説家が読むドストエフスキー (集英社新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087203257

感想・レビュー・書評

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  • 著者は元精神科医の作家。『死の家の記録』『罪と罰』『白痴』『悪霊』『カラマーゾフの兄弟』のそれぞれについて解説をされている。カルチャーセンターでの講義が元になっているのもあり、概略的ではあるが、話し言葉で読みやすい。日本でのドストエフスキー論というと、亜流フロイトな議論が支配的だけれども、本書はカトリック作家である著者ならではのキリスト教的視点が盛り込まれているところに好感が持てる。

  • 精神科医で小説家の加賀乙彦が、ドストエフスキーの『死の家の記録』『罪と罰』『白痴』『悪霊』『カラマーゾフの兄弟』の魅力を解き明かした本です。

    著者はすでに『ドストエフスキイ』(中公新書)という本を刊行していますが、本書は朝日カルチャーセンターでおこなわれた講義に基づいており、非常に読みやすくなっています。タイトルが示すように、小説家としての観点から「小説の構造、伏線の張り方、人物の造型法、ストーリーとプロットの関係など、創作の技法や文体の特徴に力点を置いて話した」と述べられているように、ただ漫然とドストエフスキーの作品を読んでいただけでは考えないような内容が語られていて、興味深く読みました。

  •  「死の家の記録」「罪と罰」「白痴」「悪霊」「カラマーゾフの兄弟」の5作品について論評している。2003年にあるカルチャー・センターで行われた講義を起こしたもの。小説の創作法。

     最初は頭から読み始めたが、読んでいない本の解説を読んでもまるでビンとこないので、今までに読んだ「罪と罰」と「カラマーゾフの兄弟」の章だけ読んだ。それでも他の作品の引用がかなり出てきて、それぞれ読んでからこの本に取っ付けば良かったと思った。カルチャー・センターの講座での講義をまとめたものだそうだが、そこの生徒さんたちはわかっただろうか。「文学を志すならば、ドストエフスキーを読みたまえ」と言うが、初めてこの講義を聞く人にはちょっとわかりにくいのではないだろうか。

     一度読んだ「罪と罰」と「カラマーゾフの兄弟」についてはなかなか面白かった。ぜひ他の作品も読んでみたい。

  • 『罪と罰』の部分だけ読んだ。「小説家の目から見て、どこが面白いのか」を、息抜きに書いたような感じ。軽く「ああそうそう」とか、「へーそうなんだ」と読める解説書だった。

  • どうしても、

    ドストエフスキーにこだわってしまう私。


    初めて長編の外国文学を読み切れたからかな。


    好きだった人が絶賛してたからかな。


    さて、どっちでしょう。


    この本はタイトルに似合わず、話し言葉で書いてあって読みやすかった。


    って言っても、
    「罪と罰」のとこと「カラマーゾフの兄弟」のとこしか読まなかったけど。


    カラマーゾフは宗教小説…。

    ガチガチのキリスト教に疑問を抱くドストエフスキー…。

    宗教のための人間から
    人間のための宗教へ

    という言葉を思い出した。

    それはキリスト教だけじゃなく、人間が組織をつくるところ、どこでも起こり得る現象だよね。

    それは教義の善し悪しに関係ない。

    教義が優れていたら、素晴らしい集合体が作れるのか?

    っていったら、ねぇ。



    それから、毎日裁判所に通いつめ、人間模様を観察し続けたドストエフスキー…。

    どんな気持ちで裁判に関係する"ちょっと極端な人々"と出会っていたんだろう??


    と想いをはせる。



    そんなことを考えてみた。

  • 作家の加賀乙彦が『死の家の記録』『罪と罰』『白痴』『悪霊』『カラマーゾフの兄弟』の五作品を解説。カルチャースクールの講義を書き起こしたものなので話し口調で読みやすい。外国人が源氏物語を読んでも、「もののあわれ」が解らないように、日本人がドストエフスキーを読んでも、その宗教的な主題は理解しえない(敬虔なクリスチャンでもない限り)ということが分かる。

  • ドストエフスキー入門者に最適な気がする。

著者プロフィール

1929年生れ。東大医学部卒。日本ペンクラブ名誉会員、文藝家協会・日本近代文学館理事。カトリック作家。犯罪心理学・精神医学の権威でもある。著書に『フランドルの冬』、『帰らざる夏』(谷崎潤一郎賞)、『宣告』(日本文学大賞)、『湿原』(大佛次郎賞)、『錨のない船』など多数。『永遠の都』で芸術選奨文部大臣賞を受賞、続編である『雲の都』で毎日出版文化賞特別賞を受賞した。

「2020年 『遠藤周作 神に問いかけつづける旅』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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