至高の日本ジャズ全史 (集英社新書)

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  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087206692

感想・レビュー・書評

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  • (2014-01-19)

  • 戦後のジャズ批評の黎明期に評論家として登場し、その後、主流のジャズ雑誌の評論家との論争で権威主義に嫌気がさし、執筆業から距離を置き、演奏の現場に活動を移し、数々の演奏家の表現者としての覚醒(?)に対して触媒のような役割を果たす。コルトレーンの急死を機に、ジャズの終焉を示唆し、理論的な内容に傾倒した評論集を数冊出した後、ジャズ評論から身を引く。このあたりの事情が平易に語られています。日本のジャズの一番、過渡期の演奏音源があまりにも少ないことが惜しまれます。

  • 大正期から70年代まで。日本人がJAZZをどのように受容したのか、歴史を舞台裏から証言する意欲作。日本人プレイヤーの歩みと(著者は土着化した和製JAZZを高く評価)、大物の来日公演とJAZZ文化。全史を駆け抜けた著者がうらやましい。

    「芸術であれエンターテインメントであれ、それが何であるかを決めるのは、作る側でなく受け取る側。受け手がいなければ、どんなすごい演奏をしても、あだ花」が持論。【著者に会いたい】『至高の日本ジャズ全史』(集英社新書)相倉久人さん:朝日新聞 http://book.asahi.com/reviews/column/2013020600012.html

  • 実際に会った相倉さんはとっても穏やかで且つかっこいいんだけど、
    『至高の日本ジャズ全史』を読んでみたらその凄まじい人生にびっくり。
    唐十郎に「相倉さんはいってみれば『触媒』のような人間」といい当てられたそうで、少しでも接してみるとそんな大きな受け皿を持った素敵な方だとすぐに感じた。

    この新書のどこの章も勉強になった。章ごとに参考音源の図版も載っていて古いものばかりで興味深い。
    今まで、ジャズというものをどうとらえたらいいのか分からなかった
    けれど、「ああ! こういうことか!」と突き抜ける箇所がたくさんあった。
    それと、相倉哲学がものすごく納得いくものばかりで私がずっと感じてきたことが、文章によってこんな風に表現できるもんなんだ、と関心しっぱなし。
    途中で内田樹さんの言葉も引用されている。やはり何か根底で通じるところがあるんだと思った。

    さすが、「楽器を持たないジャズ・マン」。

    菊地成孔との対談の中、
    「あのね、世の中、防御の姿勢取ったらダメですよ。そうすると必ずどこかに盲点ができてしまう。だから構えないで、身体的精神的にバネを利かせて、風を感じたらパッと動くというのが必要なんですね。」

    かっこいい!!

    さて、次に読むのは
    『相倉久人のジャズ史夜話』(アルテスパブリッシング)★

  • ジャスについてのもっとも重要な書き手のひとりで、大所高所ではなくいつも現場にいるというスタンスは「逆三角形理論」そのまま。権威を排し、滞留せず。それにしても狭くドロドロな人間世界はどこも一緒ですね。

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著者プロフィール

1931年東京生まれ。東京大学文学部(美術史)在学中からジャズ評論を執筆。その後、ライブの司会などを通してジャズの現場に深くかかわった。1970年代以降はロックやポップスを論じ、日本レコード大賞の委員も務めた。主な著著に『新書で入門ジャズの歴史』(新潮新書)、『相倉久人のジャズ史夜話』(アルテスパブリッシング)、『されどスウィング』(青土社)のほか、『モダンジャズ鑑賞』『ジャズからの出発』などがある。2015年没。

「2016年 『相倉久人にきく昭和歌謡史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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