貴族探偵対女探偵 (集英社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087454895

感想・レビュー・書評

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  • 最後に収録されている作品が、一番面白いかも。“貴族探偵”とは、安楽椅子探偵とは違って、まさに“貴族の”??探偵なんですが、本書収録の差後の作品は、まさかそういうオチになるとはねぇ。まぁ、作中伏線は張ってあって、初出の時は「?」と思ったんですが、最後に「あぁ、そういう意味だったのね?」と氷解。

  • 「貴族探偵」という強烈なキャラクターと、駆け出しの女探偵。
    対照的な探偵を登場させることで、前作よりも貴族探偵のキャラクターが際立っているように感じる。

    1作目〜3作目は、派手さはないがロジックがしっかりしている。ただ、読んでいてあまり新しさがないのは難点。

    4作目『弊もとりあへず』は前作の『こうもり』でも用いられていたトリックが使われている。
    もちろん驚いたし面白いが、一度味わっちゃってるからな...

    と、ここまでは出来としては及第点といった感じだが、5作目でなんと連作短編集のような作りになっていたことがわかる。
    1作目〜4作目に散りばめられた伏線を回収し、愛香が学んだ"貴族探偵の習性"を用いて事件を解決。

    全体としては、派手さはないもののしっかりしているミステリーといった感じ。第3作、シリーズ初の長編を現在連載中とのことでそちらも楽しみ。


  • 最初はどうかと思ったが、最後そこそこ楽しめた。四国4県応援したくなる。貴族探偵の顔が想像つかない。

  • 最終話は、5度目にしてようやく女探偵(愛香)の勝利かと嬉しくもあり、活躍しない貴族探偵に違和感があった。
    その違和感を自分の中では、貴族探偵は、あくまでもなすべき時になす、必要な時のみ推理をする、つまり女探偵が正しい推理をした場合は出番がないのかと、理屈をつけて読み終わろうとしていた。
    しかし、まさか貴族探偵が女探偵を雇い主だなんて、想像していなかった。やられた。
    雇い主は依子さんだと思ってた。だって、依頼については、答えなかったけど、騙したお詫びに三倍増しにしてもいいって言ってたんだもん。
    それに、依頼について愛香が聞いた時、依子さんから「釈明」がないという書き方。
    考えてみれば「釈明」って依子さんが雇い主だと愛香が決めつけたから出てくる言葉だ。依子さんは何も示していないのだからミスリードだった。
    愛香が冷静を保とうとしてたのに、依子さんが登場した途端に感情的になったことで、私も一緒に流されてしまった。悔しい。
    愛香は他の場面では、一瞬感情に流されても結論については、冷静になるように努めて、結論を出さないようにしてた。
    しかし、この場面では冷静になったように見えて、感情のままの結論を採用してた。
    その結果、晴れて愛香が事件を解決したのに、同時に貴族探偵も活躍していた。
    なんだよ、貴族探偵、ちゃんと貴族探偵しちゃってて、納得しちゃったじゃん。
    やられた。悔しい。私も貴族探偵の掌の上で踊っていた一人だった。

  • 短編集。貴族探偵第二弾。今作は悲しくも咬ませ犬の役割を割り振られた女探偵・高徳愛香目線で物語が進む。前作「貴族探偵」よりパンチ力は低いもののどの話もどんでん返しに満ちている話だと言える。最後の話である「なほあまりある」での愛香の成長ぶりはついつい登場人物に感情移入してしまう読者には感慨深いものがあるかもしれない。まぁそのオチもやっぱり貴族探偵らしいオチになっているのだけど。

  • 4

  • 2作目は女性探偵が一見すると正解の可能性がある推理を披露し、最後にお馴染みの使用人たちがひっくり返す、というパターンものかと思いきや、もう1つ意外な仕込みがありました。
    貴族という設定自体が既に現実感がないので、事件関係者の素性も事件の舞台も何でもありなところが魅力かな。

  • 前作に引き続き貴族探偵の傲慢さが、鼻に付く!
    けど、高徳さんの純朴に探偵業に向き合う姿が愛くるしくて、主役は完全に高徳さんに絞られているおかげで前作よりストーリー性が増し読みやすかった。

    多重解決型ということで、ある意味ミスリードからの使用人たちの鮮やかなどんでん返しっていうテッパンが心地よい。最後の『なほあまひある』で遂に貴族探偵が負けるのかって思うハラハラ感と最後の落ちは、平和的で納得はできるけどもっとエッジの効いた形も期待しちゃったなぁ。
    ともあれ、浮世絵離れしたふわふわっとして悲壮感のない世界観は読んでいてノンストレスに謎と向き合える、手に取りやすい素敵な作品です。

  • 評判もいいし、たしかに面白かったんだけど、途中で飽きて読むのを中断してしまい、読み終わるのに時間がかかった。
    自分でトリックを解こうと思って、もっと集中して読めば良かったのかとも思うが、読み返すことはないかも。

  • 今回はすべての話に女探偵が出てきて彼女視点で話が進みます。設定から言ったら彼女は優秀なはずなのに、なぜかなかなか正答にはたどり着かず、貴族探偵側がさらさらっと…というパターン。まあ、貴族探偵は今回も貴族なわけですが。どちらの探偵にも思い入れできないので結構さらさらっと読んでしまうのですが、それでもさすが麻耶さん、どの短編もきちんと本格です。最終話のオチが笑ってしまいましたが良かったです。そして原作よりかなりコメディタッチにされたドラマ版、私は結構好きです。オリジナルの要素もあるようでそちらも楽しみです。

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著者プロフィール

1969年三重県生まれ。京都大学工学部卒業。大学では推理小説研究会に所属。在学中の91年に『翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件』でデビューを果たす。2011年『隻眼の少女』で第64回日本推理作家協会賞と第11回本格ミステリ大賞をダブル受賞。15年『さよなら神様』で第15回本格ミステリ大賞を受賞。

「2023年 『化石少女と七つの冒険』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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