ばけもの好む中将 六 美しき獣たち (集英社文庫)

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  • 集英社
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感想 : 28
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087455977

感想・レビュー・書評

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  • 怪異譚が大好きな近衛中将・宣能と彼に付き合わされ怪異の現場巡りのお供をさせられる右兵衛佐・宗孝コンビのシリーズ第六作。
    ついに人物紹介欄が出来た!十二人もいる宗孝の姉たちの整理も出来てありがたい。

    今回は九の姉君の話。
    七の姉君同様、夫は地方に赴任しているのだが、夫と同行した七の姉とは違って九の姉は一人都に残っている。
    夫からは最近文も贈り物も途絶え、地方に新しい妻が出来たのでは?と疑っている。
    そんな折りに宗孝に付き添ってもらって行った稲荷社で出会った老巫女集団に何故か付きまとわれて…。

    これまで登場してきた姉君たちの中では最も生々しいかも。自分で選んできた道なのに上手くいかなくなるとたちまち人と比べて劣等感に陥ったり逆に人が辛いときは優越感に浸ったり。
    結局自分に自信がなく確かな拠り所がないから不安定になるのだろうけれど、十一の姉のようにズバッと嫌うことが出来ないのは、どこか九の姉に似たような経験や心情があるからだろうか。だが逆に同族嫌悪というか、痛いところを突かれた感もある。ひとたび違えば九の姉のような危うさに陥るかも、と思ってしまうのだ。
    逆に梨壺の更衣のように主上の愛を全面的に信じられる人や、十一の姉始め自分の力で道を切り開ける人には彼女の思いは分からないのだろう。

    これほど生き方も価値観も違う姉たちそれぞれに寄り添える宗孝は、それだけで結構な才能だし素晴らしい人物だと思う。老巫女を夢中にさせてしまうだけのことはある。
    本人は気付いていないが、その気になれば雅平を凌ぐモテ男になるのでは?

    今回は怪異話というほどのことはなかったが、宣能と宗孝の良い関係が戻ってきたし、前作に出てきた民間陰陽師の歳明が怪異現場巡りのメンバーに加わりそうで楽しみ。
    さらに東宮の君と十二の姉との関係は変わらぬようでいて水面下では変化もある。楽しみなような不安なような。
    一方で宣能の妹・初草の君の体調不良が続くのが気がかり。

    そして何と言っても宣能・初草の君の父親である右大臣が何をしようとしているのかが気になる。
    『物の怪ばかりを追うのは、ひとが信じられないからであろうに』
    右大臣の宣能に対する指摘はそれこそ痛いところを突いているのかも知れない。宣能と右大臣は似たところがある。
    しかし宣能には初草の君以外に宗孝という、新たな信じられる人を得たのだが。

    九の姉の運命はどうなるのか。彼女の夫はどうなっているのか。
    次巻で決着となるのか、さて。

  • 何故か5巻が無かったので6巻に進む。
    九の姉上登場。宗孝の舞踊のルーツはここだった!(笑)
    大概な老女集団に見込まれたり結構大変不憫な感じの九の姉上はそこへ行ってしまうか~という終わり方。

    何気に宗孝のピンチを中将が救うってのも良いバディだなって思ったり。

  • 六冊目。女性が怖い巻。
    2018/5/22

  • いよいよ本当の怪異か?と思わせる事件が起きる。あやかしでないにしても怪異には間違いない。

  • シリーズ第六弾。

    今回は、九の姉君が中心。こうゆうアダルトチルドレン?的な人っていますよね・・・。宗孝が相変わらず、苦労人っぷりを発揮しています。
    右大臣家と、宗孝たち姉弟の関わりが、どんどん複雑になっていき、続きが気になるところです。
    中盤に挟まれた、春若君の話に癒されました。

  • シリーズ六冊目。
    12人の姉を持つ中流貴族の青年と、もののけに興味を持つ中将の話。
    12人の姉がそれぞれ登場し、事件に巻き込まれるのを、2人が助け、解決する話が主。
    それぞれの姉同士の関係や思惑、宮中での人間関係などを織り交ぜ、面白く読みやすく書かれている。
    中学生向けかな。
    これを読むと、平安時代の様子がわかり、古典の授業も楽しくなるかもしれない。

  • このお話やっぱり読みやすい。あっという間に読み終わりました。この巻でようやく12人の姉の人物相関図が載っていて頭の中が整理出来て良かった。今まで出て来なかった九の姉中心のお話でさらに展開されるようです。九、十、十一の姉の3人が同い年ってとても複雑…

著者プロフィール

1964年生まれ。91年『闇に歌えば』でデビュー。
「ばけもの好む中将」、「暗夜鬼譚」シリーズ(ともに集英社文庫)、『怪奇編集部「トワイライト」』(集英社オレンジ文庫)など著作多数。

「2019年 『百鬼一歌 菊と怨霊』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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