ラメルノエリキサ (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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感想 : 37
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  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087457001

感想・レビュー・書評

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  • 設定も、展開も、主人公も、姉もなんだか全てがぶっ飛んでる。
    軽快なリズムで進む話と主人公の鋭利な性格が個人的にすごくしっくりきたというか、好みだった。

  • 名状しがたい、妙な引力や凄味を感じた作品。

    予備知識がゼロだった私に与えられた情報は「小説すばる新人賞受賞作、宮部みゆき氏絶賛、女子高生の絵、夜道で背中を切られ復讐に燃える青春小説」
    だということ。

    主人公のりなはキャラや哲学がバキバキに際立っているので読んでいて魅力的である。が、周りの人達が犯人も含めてあまりに普通で釣り合いがとれていないように感じた。りな姉(母も?)がマイルドサイコっぽい気はするが至って常識人。

    りなの暴力性を受け止められるのは読者だけ。

    彼女が好きかどうかがそのまま作品の評価に直結する。


    1刷
    2021.1.24

  • 映画と映画の間が空いたので薄い本を1冊くらいなら……と思ってたら目が合った作品。すげー昔に名前を聞いたこともあったので良い機会でした。
    作中で起こっている出来事はラノベの雰囲気なんだけど、登場人物達の心情の掘り進み具合は小説の域という印象を受けた、なんだか不思議な作品。復讐をモットーに生きる主人公のスタイルにあまり共感できなかったことと、目的が「犯人捜し」となるとどうしてもクライマックスに意外性とか鮮やかなトリックを期待してしまう自分がいたのでその観点から星2をつけてしまったけど、「女子高生」という枠組みから逸脱しない程度にキャラが立ちまくりな小峰りさがとても可愛かった。あと、最後のお姉ちゃんもセットで可愛い。
    主人公に共感できないと普通はそれで読むのが嫌になっちゃう自分なんですが、それが全く気にならずに軽快にページをめくることができたのは、青春としての軽やかさとブラックなユーモアが良いバランスで調合されたこの人の文体のおかげかもしれない。ありがとうございました。

  • いきいきした文章。面白く読めた。

  • 誰しも少しは持っている感情だと思いますが、復讐心の強すぎる主人公には特に共感できる部分はありませんでした。
    お姉ちゃんの方も冷静な分より怖いです。

    文は読みやすく、お話も面白く読めました。
    完璧なママという表現には少々引っかかりを感じました。

  • 過激とも捉えられるほど復讐に執着する女子高生が主人公。見た目が可愛いだけあってこんな子が本当にいたら脅威だろうなあ

  •  本の雑誌でハードカヴァが紹介されていて、とても気になっていた作品。
     文庫化されたのでようやく購入し、すぐ読み始めた。

     そして感想。まず、なんと言っても「文章」が良い!
     
     解説で、池上冬木氏が書いている。
    <blockquote> 一口でいうなら、少女なのに、リアリストでタフ。どこまでも辛辣でへらず口をたた
    き、皮肉な視線でものを見る。たとえるなら、アメリカの私立探偵が日本人の少女に転
    生したような毅然とした若々しさがある。いわば少女ハードボイルド!</blockquote>
     この意見に心から同意したい。まさに「少女ハードボイルド!」。

     本来、ハードボイルドと呼ばれる作品は、苦み走った中年のおっさんが、苦虫を噛み潰したような顔をしながら困難に立ち向かい、時にはシニカルに、時にはハートフルに様々な事件を解決し、ここぞという場面で格好いい決め台詞をビシッと決める、といった作品であることが多い。多いというか、そういう作品が「ハードボイルド」とされているのだと思う。
     しかしこの作品の主人公は女子高生。まず前提から崩れている。

     また、いわゆるハードボイルな主人公は、その生い立ちや経験があるからこそ、格好いい決め台詞が活きてくる。女子高生が、格好いい決め台詞を言って、様になるのか?
     答えを言ってしまえば、そもそも「かっこいいセリフ」は余りない。あるのかもしれないけれど、自分には思い当たるものが無い。

     じゃあどの辺がハードボイルドなのか?
     これはもう、「雰囲気」としか言いようがない。「読後感」と言ってもいい。
     読み終わったあとの感じは、まさにハードボイルド読了後のそれ。

     では、それはどこから来るのか?
     それが、冒頭で書いた「文章」にあるのだと思う。
     女子高生を主人公とし、その生活環境を描きながら、乾いている。
     主人公の一人称で紡がれていく文章は、その主人公の性格を如実に物語る。
     それが、もうとことんまで乾ききっている。それがなんともハードボイルド。

     でも、そんな「乾いた」女子高生なんて、リアリティに欠けるのでは?
     これが、不思議なほどに女子高生。
     もちろん、自分は女子高生だった経験はないから、本当のところは分からない。
     けれど、シーンの一つ一つに違和感がない。リアリティしかない。

     本来は相反するであろう概念を融合し、物語を前へと動かしていく強烈な駆動力。
     まさに、文章力という他ないものだと思う。

     また、ハードボイルドらしさで欠かせないのがユーモアのセンス。
     随所で挟み込まれるユーモアが、シニカルで堪らない。
     特に最後のシーンは、本当に堪らなかった。最高!と声をあげそうになった。

     著者は、本作で小説すばるの新人賞を受賞し、デビューしたとのこと。
     まだこれからの作家さんということで、これからに期待しかない。
     すでに次作が発表されているようなので、機会を見て読んでみようと思う。

  • おもしろい。
    楽しい。
    充分にたのしめる、愛の話だ。これは。

    必然性がたかいことは物語の質が高いことだろうか。
    ただ余白はない感じ。
    木下半太が好きな人はきっと好き。それよりもよく練られているような感じはする。
    映画とかにしやすそうだな。読後のまとまりがすごい。

    「復讐」は誰にだって甘美で、後ろめたい。

  • 女子高生・小峰りなのモットーは、やられたらやり返すこと。ハンムラビ法典以上の復讐の鬼である彼女が夜道で刺された。犯人が残した謎の言葉「ラメルノエリキサ」とは何か。第28回小説すばる新人賞を受賞した異色の青春小説。
    エキセントリックだけど、それがとても魅力的なヒロイン。自己中心的で周りに流されない彼女が、犯人探しに疾走するうちに見つける大切なもの。大胆な設定だけど嘘臭くならないのは著者の巧さだろう。

  • メインキャラが高校生とは思わなかった。中学生、下手したら小学生並みの思考力で復讐を企むのだけど、最後は拍子抜け。
    まぁ、姉はいいキャラしてるから良い。特にラストの対応はなかなか面白い。

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著者プロフィール

1981年静岡県生まれ。天理大学人間学部宗教学科講師。東京大学文学部卒業,東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了,博士(文学)。2011-2013年,フランス政府給費留学生としてパリ・イエズス会神学部(Centre Sèvres),社会科学高等研究院(EHESS)に留学。2014年4月より現職。専門は宗教学,とくに近世西欧神秘主義研究,現代神学・教学研究。訳書に,『キリスト教の歴史 ―― 現代をよりよく理解するために』(共訳,藤原書店,2010年),論文に「もうひとつのエクスタシー ―― 「神秘主義」再考のために」(『ロザリウム・ミュスティクム:女性神秘思想研究』第1号,2013年),「教祖の身体 ―― 中山みき考」(『共生学』第10号,2015年)など。

「2016年 『ジャン=ジョゼフ・スュラン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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