模範郷 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (184ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087458503

感想・レビュー・書評

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  •  「ことば」は、まず、文字ではなくて、音なのですね。記憶の場所に立つ、その場所で、今、聞こえてくる「ことば」の響きを聴く。その響きが想起するのは記憶の中の音であり、その音を聞いている少年だった自分自身だという体験を文字を使いながら書くことでどこかにたどり着きたい。
     英語を母語にしながら、中国語を聞いて育ち、やがて、日本語で書いてきた作家が、自らの意識の奥にたどり着こうとしているかに見える、実に、個人的な営為が50年にわたる、二つの大陸と二つの島の歴史と社会を浮き上がらせてくる大きさに脱帽でした。
     ブログにも、あれこれ、読んでいただけると嬉しい(笑)。
      https://plaza.rakuten.co.jp/simakumakun/diary/202302080000/

  • 著者の旅が切実で、星評価をつけるということがあまり適切でない作品のような気もします(一応つけましたが)。『模範郷』だけでなく、所収の他の作品も読むのがいいと思います。言語、故郷、宗教、名前。多くの人にとっての「これが私」という感覚を支えるものが、この著者の場合、ひとつに“決まって”いない。もはや私には想像の及ばない戸惑いが書かれています。万葉のことばを通じた営みに著者が生命を見出した瞬間、古代の遠くまで現代の空も開けていくような想いになりました。

  • 過去の自分探しの旅行記。非常に読みにくい。感覚的にわかってくれと言わんばかりの文章。大学受験の現代文かと。越境文学という名はかっこいいが何が言いたいのか受け取るだけの豊穣な文学性がない私にはほとんど理解できなかった。文末に解説があるがそれを読んでも??で本作の何が凄いのか本当によくわからなかった。

  • 2021/2/13購入

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著者プロフィール

リービ英雄(1950・11・29~)小説家。アメリカ合衆国カリフォルニア州生まれ。少年時代を台湾、香港で過ごす。プリンストン大学とスタンフォード大学で日本文学の教鞭を執り、『万葉集』の英訳により全米図書賞を受賞。1989年から日本に定住。1987年、「群像」に「星条旗の聞えない部屋」を発表し小説家としてデビュー。1992年に作品集『星条旗の聞こえない部屋』で野間文芸新人賞を受賞し、西洋人で初の日本文学作家として注目を浴びる。2005年『千々にくだけて』で大佛次郎賞、2009年『仮の水』で伊藤整文学賞 、2016年『模範郷』で読売文学賞、2021年『天路』で野間文芸賞を受賞。法政大学名誉教授。

「2023年 『日本語の勝利/アイデンティティーズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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