- Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087460896
感想・レビュー・書評
-
再読。
「月曜日の水玉模様」の主人公、片桐陶子の高校時代の部活仲間の牧知寿子が亡くなったところから始まる連作短編集。ソフトボール部の7人の女性のそれぞれの物語が、最後で繋がる感じ。
みんなそれぞれ問題を抱えて生きている。その問題が身近に感じられた。特に私は『緑の森の夜鳴き鳥』が心に響いた。主人公の井上緑のずっと隠してきた気持ちがひしひしと伝わってきた。私も同じようなこと思ってたときがあったなー、なんて思い出す。どこかで割り切るしかないんだよなー、なんて考えさせられた。
私には本を読む癖みたいなのがある。気にいるとその作家さんの作品ばかり読む。そして読み過ぎて飽きてしまう。という癖。今はブクログのおかげでその癖は回避できてる。加納朋子さんも前に読み過ぎて飽きてしまった作家さんの1人。加納朋子さんが好きになったきっかけがこの「レインレイン・ボウ」。今日読んで面白くてあっという間に読んでしまった。昔と今で好みが変わってないことに気づき、また加納朋子の読んだことのない作品を読んでみようと思った。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
陶子さんシリーズの2冊目。
前作と話の作りは全く違って、陶子さんがキャプテンをしていた高校の頃のソフトボール部のメンバーが若くして亡くなり、その葬儀に集まった当時の部員が一人ずつ主人公になる話が7つ。
高校卒業から7年経って25歳になった彼女らの現在とそこに至るまでが描かれる。
専業主婦、編集者、保育士、看護師、プータロー、栄養士。主人公の置かれた立場と心情に応じて異なるタッチで書き分けられ、様々なテイストの話が楽しめる。
勿論この作者のこと、各話で“小さな謎解き”も散りばめられ、いずれも良い話だが、中でも変わり者の作家の妄想が楽しめる第2話やある社員食堂に派遣された栄養士がサラリと奮闘する第6話が好み。
それらが積み重ねられた最終話で、ただ一人葬儀に参列していなかったメンバーの失踪を巡ってここまで語られたメンバーが繋がってもうひと転がりするのもこの作者ならでは。
その中で、陶子さんに対して由美子や萩や祖母がかける言葉がなかなか良い。頼もしかったキャプテンの姿とは裏腹な陶子さんの胸の内を覗くことが出来、その姿を好ましく思った。 -
小説すばる2001年2月号サマー・オレンジ・ピール、5月号スカーレット・ルージュ、11月号ひよこ色の天使、2002年3月号緑の森の夜鳴き鳥、7月号紫の雲路、2003年4月号雨上がりの藍の色(虹の藍色改題)、7月号青い空と小鳥の7つの連作短編を2003年11月集英社から刊行。2006年11月集英社文庫化。陶子シリーズ2作目。どれもが良くできた話で、かつ伏線を忍ばせてラストの話に繋げるという心憎いまでのストーリーは圧巻。上質な謎とサスペンスで、楽しめました。
-
登場する25歳の女性7人それぞれの現状が語られている。かつてはソフトボール部だった仲間たちが色んな職業についている今、それぞれに悩みがあり葛藤している。登場する1人1人を把握するのに読み返したりしながら全てが繋がっていく。後半に向けてじわじわと面白くなっていった。
-
急逝した女性「チーズ」の高校時代の部活仲間達。
彼女の死によって昔の絆が少しずつ戻っていき、小さなミステリーに発展。
同年代の女性ばかり出てくるので、名前と関係がこんがらがってしまった。
栄養士の由美子の話が女ばかりの職場あるあるみたいで面白かった。 -
加納朋子さんは読んでみたいと思っていた作家さんのひとり。
「レインレイン・ボウ」で加納朋子デビューです。
高校のソフトボール部仲間の一人が亡くなった。
お通夜で久々に再開したメンバーたち。
それぞれの生き方。それぞれの思い。
ミステリーのエッセンスも加わった加納朋子ワールド。 -
加納さんの作品は、日常のちょっとした謎をテーマにした軽いミステリというものが多いけど、いま一つ謎解きがこじつけに過ぎて釈然としないとか、ミステリとして読むにはちょっと物足りないといった感じのものが多い気がします。 でもこのレインレインボウはすごく大好き。 短編集を読んでるような感じのスタートから、最終的に話が一つにまとまっていく展開が気持ち良いし、登場人物がそれぞれキャラがたっていて面白い。
-
一人ひとりの物語に込められたちょっと不思議な事件も、あったかな解決に導かれる。
そして物語全体に込められた謎は最後に、それまでの小さな伏線をひろいながら解き明かされる。
ほんとに加納さんらしい作品だと思う。
同年代の女性たちが、一生懸命にそれぞれの道を歩んでいることにも共感できる。-
「あったかな解決に導かれる。」
良さそうだな、、、
実は加納朋子=怖い話と思って読んだコトがない。。。
「あったかな解決に導かれる。」
良さそうだな、、、
実は加納朋子=怖い話と思って読んだコトがない。。。
2013/01/30
-
-
最初から最後まで、余すところなくよかったです。
表紙も挿絵も良ければ、目次も内容もいい。
・サマー・オレンジ・ピール
・スカーレット・ルージュ
・ひよこ色の天使
・緑の森の夜鳴き鳥
・紫の雲路
・雨上がりの藍色
・青い鳥と小鳥
目次を改めて見ても、やっぱり、いい。
私はまだ読んでいないのですが、「月曜日は水玉模様」の姉妹作。
虹の中を旅するような不思議な感覚で読みました。
それぞれの色が交差したり、あるいはいくつもの物語が同時進行したりする様子に、ぐいぐい引き込まれました。
小さな謎は相変わらず到るところに散りばめられて、最大の謎は全体を通してラストにわかるのもいい。
登場人物も個性的で魅力的。
看護師や保育士、栄養士からニートまで。
高校で同じ部活をしていた頃はみんな「高校生」だったのに。
そんなメンバーたちそれぞれの仕事奮闘記でもあり、恋愛物語でもあり、青春友情ものでもあり・・・本当に、たくさんのものが詰まってました。
どれが好きかと問われても決めるのが難しいくらい、どの話も好き。
連作短編小説を書かせたら、加納さんの右に出る人はいないんじゃないだろうか、と思うくらい大好きです。
余韻もしばらく残るいい作品でした。