- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087465396
感想・レビュー・書評
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夜の遊園地。遠くに光る観覧車。ひとり佇む少女の髪にはメリーゴーランドのユニコーンと白い花が挿されていて。
酒井駒子さんのこの表紙、本当に素敵。
寂れた遊園地「コキリコ・ピクニックランド」を舞台にした、不思議でどこかひやりとするお話。
勤め先の金を持ち逃げし、遊園地の物置に住みついた女性。
蝶を愛するおじさんに惹かれてしまう女性。
愛人に会社をクビにされた美人受付嬢。
記憶喪失で行き倒れていた正体不明の女性。
心霊スポットの取材に訪れた女性。
指の綺麗な長崎君の既成事実。
遊園地は本来楽しい場所で思い出にも深く影響するけど、だからこそ寂れたり廃園になると足を踏み入れるのが怖い場所になります。あぁエキスポ、奈良ドリームランド・・・。ひらパー頑張れ。
観覧車って外から見ている分には動きもゆっくりで怖くない気がするけど、あれ結構怖いんだよね。揺れるし高いし降りられない。
昔、男の子と二人で乗ったら相手がにじり寄ってきて、逃げて、にじり寄ってきて、逃げて・・・(しかも急に立ち上がると揺れる!)
という経験を踏まえ、何とも思わない異性と乗ってはいけないことを学んだのでありました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
何かしらの事情を抱えた人が寂れた遊園地「コキリコ・ピクニックランド」へやってくる短編集。「長崎くんの指」を改題。
不思議で少し物悲しい雰囲気の話。
酒井駒子さんの装丁も雰囲気に合っていて良い。 -
透明感がある。
しんみり。 -
【本の内容】
郊外のさびれた遊園地「コキリコ・ピクニックランド」には、なぜかわけありの人々が集まってくる。
勤め先の金を持ち逃げし、遊園地の物置に住みついた女性銀行員。
愛人に会社をクビにされた美人の受付嬢。
記憶喪失で行き倒れていた正体不明の女性…。
さまよう彼らに、居場所は見つかるのか?
ユーモラスでどこかせつない、気鋭の歌人のデビュー小説集。
[ 目次 ]
[ POP ]
職場の金を盗んで逃げた銀行員の女が、出会った男の指に惚れる、そんな話が著者の手にかかると惚けた哀しみを醸し出す。
山奥の遊園地で息を引き取った老職員を透明な観覧車に乗せて労をねぎらう「アマレット」、大切な物事を忘れてしまう「長崎くんの今」など、コミカルなのに知らずに胸をつかまれている。
『長崎くんの指』を改題。
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
夕暮れのひなたの国 の物語?
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帯タイトルは、
「恋しくて、なつかしい、あの場所。
さびれた遊園地で交錯する、
奇妙でいとしい人間模様。」
物置に住む女、
40すぎの無職の女、
年をとったマリアさん、
道端に倒れた女、
洞窟に住む男、
指のきれいな立ったまま眠る男。
コキリコ・ピクニックランドという時代に取り残された
遊園地に集まる人々。
どこか不思議で怖くて、支離滅裂な展開ばかり。
だけど、「アマレット」は好き。
観覧車がすごくいい。
遊園地ってホント特別な空間。 -
歌人・東直子さんの初小説集。じわーっとしてる。だいぶ前に一度読んで、その時はあんまり好きじゃないなあと思って、でもなんか忘れられなかったので買って再読したら、やっぱり大好きとは言えないんだけど、じわーっとくせになる。
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何とも掴み所の無い小説だ。つまらないということではない。物語の着地点というか、ゴールがハッキリしないというか、これは僕自身の感想なのだけれど、後味が無いという感じだろうか。こんな読後感は初めてかもしれない。
解説を東さんとも交流がある穂村弘さんという方が書いているのだが、初めて東さんに会ったときの印象は ぽやーんとしたひと だったらしい。まさに、これだと思った。この小説から受けたのは、この ぽやーんとした がいちばん合っているように思う。 -
自由はときどき残酷だ。
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穂村弘氏絶賛の東直子氏の作品。
個人的な感想になってしまいますが、女性というものがますますわからなく、怖くなった。 -
ある遊園地を舞台に、そこへ集まる人達を描いた短編集。
舞台となるコキリコ・ピクニックランドはどこにでもありそうな郊外型レジャー施設です。観覧車やゴーカートや長い滑り台など遊具があって、キャンプや雑木林の散策コース、洞窟もある。でも、これといった大きく目立ったものはない。客はあまり来なくて閑散としている。この「どこにでもありそう感」がリアル。
そこに集まる人達も、どこにでもいそうな奇妙さと、どこにでも転がっていそうなへこみを抱えています。「どこにでもありそう」ということは「ドラマがない」って訳じゃないんだよなあ、と改めて思い返させてもらえました。
誰でもくらっとくるような誘惑、誰でもへこむような仕事の話、にさらされて疲れた人達が誘蛾灯に引き寄せられる虫よろしくフラフラと、というわけではないですが、流されてたどり着く。優しく繊細に描かれている割に内容としては切なかったり寂しかったり恐ろしかったりします。
話によって後味がだいぶ違うので戸惑うかもしれません。
たぶん根本的に、みんな寂しさを抱えてる。 -
つぶれかけた遊園地に引き寄せられる人たちの連作。
なんとなく、余韻大目で、詩的な感じが強め。
と、表紙の絵ほど、可愛らしく無いです。
浮世離れしそうで、どこか、日常のドンヨリもあります。 -
酒井駒子&名久井直子のブックカバー! 豪華だなぁ。
歌人としての作者に興味あり。 -
酒井駒子さんの表紙、ということで買っちゃった本。
寂れたテーマパーク・コキリコピクニックランドを中心に描かれる人々。
ひとつの場所を違う人の視点だったり、異なる時間から描かれてるお話が私は好きだ。 -
不思議な小説だった。
好みが分かれそう。 -
始まり方がいい本は、とても印象がいい。
楽しく読めた。
ただ、読み進むうちに、わわわわわ、と思った。
「横穴式」という一篇。
私はこわいはなしがほんとうにきらいで(こわいから)、こわい、ということにダメージを受けやすい。
以前、なにかのフリーペーパーでうっかり出会ってしまって、タイトルも作者もこわさのあまりか忘れていたのだけど、話は全然忘れられないのがあって、ときどき思い出しては、あれこわかったなー、もう読みたくないなーと思っていた。
「横穴式」がそれだった。
序盤で気がついて、しまった、と思った。出会ってしまった。
それでも、1冊の本になっているのだから、ほかの話でなにかこわくない決着がつくのかもしれない、と淡い期待を抱いて最後まで読んだは読んだのだけど、そもそもこの短編集のどの短編もそんなつくりになっていないのだった。残念だ。
こわさがぶりかえした。
でも、この人の書く文章はなんだか好きだ。
タイトルは「長崎くんの指」のままの方がよかった気がするけどなあ。
あと、文庫であっても、作品の初出を入れてほしいです。あの最初の恐怖は何で味わったのだろう…こわさのあまり処分してしまったと思うけど。