みのたけの春 (集英社文庫)

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  • 集英社
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (488ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087467628

感想・レビュー・書評

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  • 時代は幕末。激動の時代の始まり、何かと騒がしく、京都では物騒な出来事も頻発している。
    場所は北但馬。養蚕が盛んな農村で、京都からもそう遠くはないから、京都で起きていることは、人々の耳に入ってくるし、そこに自ら関わっていこうとする人達もいる。
    しかし、物語のメインになっているのは、主人公である、農村の郷士・清吉の、幕末の争乱からは、一歩身を引いて、自分のみのたけにあった生活を営んでいこうとする姿だ。
    時代が変わろうとしている時に、描く理想があって、そこに身を投じていく人達は、確かにすごいのかもしれない。
    けれども、清吉のような考え方や生き方も良いのではないか、と感じられる、潔さがあった。
    昔も今も、ついつい「男ならば大きなことをやりとげろ」的な考え方は根強いが、自分と言うものを知り、家族を大切に、こつこつと誠実に生きていく生き方も、個人的には、素敵だと感じた。
    そんな生き方の清吉だからこそ、民三郎との最後のシーンは、胸が締め付けられた。

    大した感想も残せないので(苦笑)、特に印象に残った言葉を書き記しておきたい。
    『この風景のなかに、自分のすべてがあるといまでは思っている。すぎてみれば、人の一生など、それほど重荷なわけがない。変わりばえのしない日々のなかに、なにもかもがふくまれる。大志ばかりがなんで男子の本懐なものか』

  • 幕末の下級武士の話で京都の近くが舞台なのに維新には関わりい半百性武士の生活を淡々と描いている。
    すぐ近くに激変している時代があるのにそっちに触れないのは何かの外伝と思うぐらい。せっかくの時代と舞台なんで京都にもっと関わって欲しかった。時代小説好き向けだと思う。

  • 身の丈に合った生き方が望ましいのであろう。
    だが、己の身の丈を知ることは難しい。

  • 222 12/20-12/23

  • 2011/11/25

  • 2011/11/18 Amazonより届く。
    2023/5/11〜5/16

    2年ぶりのシミタツ作品。
    幕末の但馬地方の郷士、清吉の生き様を描く幕末青春時代小説。志水さんが、晩年注力している時代ものプラス青春もので、独特の世界観はさすがである。先日読み終わった本の雑誌の感想にも書いたが、北上氏の書評でハマった志水作品と北上氏の追悼号を同時進行で読むことになろうとは。おまけに、北上次郎氏の解説付き。ずっと以前に立てた読者計画なので、これも何かの縁なのか。

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著者プロフィール

1936年、高知県生まれ。雑誌のライターなどを経て、81年『飢えて狼』で小説家デビュー。86年『背いて故郷』で日本推理作家協会賞、91年『行きずりの街』で日本冒険小説協会大賞、2001年『きのうの空』で柴田錬三郎賞を受賞。2007年、初の時代小説『青に候』刊行、以降、『みのたけの春』(2008年 集英社)『つばくろ越え』(2009年 新潮社)『引かれ者でござい蓬莱屋帳外控』(2010年 新潮社)『夜去り川』(2011年 文藝春秋)『待ち伏せ街道 蓬莱屋帳外控』(2011年新潮社)と時代小説の刊行が続く。

「2019年 『疾れ、新蔵』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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