- Amazon.co.jp ・本 (488ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087467628
感想・レビュー・書評
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時代は幕末。激動の時代の始まり、何かと騒がしく、京都では物騒な出来事も頻発している。
場所は北但馬。養蚕が盛んな農村で、京都からもそう遠くはないから、京都で起きていることは、人々の耳に入ってくるし、そこに自ら関わっていこうとする人達もいる。
しかし、物語のメインになっているのは、主人公である、農村の郷士・清吉の、幕末の争乱からは、一歩身を引いて、自分のみのたけにあった生活を営んでいこうとする姿だ。
時代が変わろうとしている時に、描く理想があって、そこに身を投じていく人達は、確かにすごいのかもしれない。
けれども、清吉のような考え方や生き方も良いのではないか、と感じられる、潔さがあった。
昔も今も、ついつい「男ならば大きなことをやりとげろ」的な考え方は根強いが、自分と言うものを知り、家族を大切に、こつこつと誠実に生きていく生き方も、個人的には、素敵だと感じた。
そんな生き方の清吉だからこそ、民三郎との最後のシーンは、胸が締め付けられた。
大した感想も残せないので(苦笑)、特に印象に残った言葉を書き記しておきたい。
『この風景のなかに、自分のすべてがあるといまでは思っている。すぎてみれば、人の一生など、それほど重荷なわけがない。変わりばえのしない日々のなかに、なにもかもがふくまれる。大志ばかりがなんで男子の本懐なものか』詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
身の丈に合った生き方が望ましいのであろう。
だが、己の身の丈を知ることは難しい。 -
222 12/20-12/23
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2011/11/25