神々の山嶺 下 (集英社文庫)

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  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (576ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087472233

感想・レビュー・書評

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  • 大満足。ただの山岳小説ではないのが良い。
    もちろんエベレスト登頂を目指す本格山岳小説ではあるのだが、史上初のエベレスト登頂の証拠品のカメラの謎を追うミステリーであると同時に、物語の大半は一人の天才クライマーに魅せられた男の、壮絶なまでの自己の内面との対話だ。
    その自己の内面との対話が実にリアル。
    物語のクライマックスも、間延びすることなく一気に終息。映画みたいな出来すぎの終わり方ではあったが、そこがまたいい。
    2016/11

  • これは最高。しびれる山岳描写。羽生さんの手記は強烈なインパクト。

  • 良書だと評判であったので、読もうとは思っていたが、読むのが遅くなってしまった。
    そのうちに映画化もされてしまった。
    メディア化された作品は、図書館に行ってもほぼ貸し出し中であることが多いが、本書は文庫で上下巻揃って置いてあったので、迷わず手に取った。
    夢枕獏氏の本は『シナン』しか読んだことはないが、一気に読める言葉選びと、本の題材に対して謙虚な姿勢であり、好印象の作家だ。
    本書も一気に読んでしまった。
    感情移入をするあまり、主人公と同じ場所で涙ぐんでしまった。
    特に、羽生がエベレストに上ったことを売名行為だと後に評価した人間に対し、深町(主人公)がそれは違うと否定する場面である。
    一番好きな登場人物は、名前は失念したが元グルカ兵の男だ。もうだめだ!というときに現れ、主人公たちを助けてくれる。言うこともやることもかっこいい。

    登山小説の新たな原典(だったような)となった、と解説であったが、今度は新田次郎の登山小説も読んでみたい。

  • 後半はご都合主義展開が少し鼻につくが、それもこのグルーブを出すためならば仕方なし!あとがきも格好いい~

  • 下巻の後半は面白かった。

    やっと終わった…ってのが正直な感想。

    山に興味がないせいか、なかなか読み進められなかったですが、羽生と深町が共に山に登り始めてから俄然面白くなった。

    特に幻覚が見えるあたりは緊迫感満載でなかなかですね。

    前半のタラタラした部分が無かったら★4つでした。

    山好きで忍耐力がある人にオススメです。

  • 山岳ミステリーだなこりゃ!
    山に登りたくなる。

    いつか私もエベレストを生で見たい。

  •  下巻。
     無謀とも言える前人未到のエヴェレスト南西壁冬期無酸素単独登頂を目指す羽生丈二の後を追い、カメラマンの深町もエヴェレストへ一歩踏み込む。世界一の山に挑み危険な状態に陥りながら、いつしか深町も自分の人生そのものに向かい合っていく。

     高度7000メートル以上の極寒の氷壁にへばりついた人間を、高山病による幻覚と猛吹雪が襲う場面は圧巻で、読んでいるこちらの手までも凍りだしそうになった。エヴェレストでの実際の遭難事故を書いたドキュメンタリー『空へ』で高山病の恐ろしさを語っていたが、本書では幻覚に登場人物たちの過去や葛藤がリアルに入り交じり、脳が壊れかける極限状態に緊張のしっぱなしになった。
     山の恐ろしさだけでなく、絶体絶命の中で、深町が満点の星空の美しさに圧倒される場面も印象的だった。

     作者があとがきで述べているように、いろいろと伏線はあるのだが冒頭のマロリーのカメラの謎がかすんでしまうくらい「世界一の山へ、誰も登ったことのない登攀ルートで登る男」を書いた、どまん中の山岳小説だ。

  • 読み応えのあるお話でした。

    山に登りたいと思う気持ちは、やっぱり分かりませんが、いただきにたどり着くことで、地球と一体になれる気持ちよさを求めているのだろうかと思ったりしました。

  • 名作。
    命を懸けて山と関わる臨場感が伝わった。
    手元に残しておきたい作品です。

  • 二回目の読了。映画はどうかね。

  • 下巻に最初の辺りまではドラマがあって割とスラスラ読めたが、山に登り始めたら深町が自問自答するは幻覚を見るはで読むのがしんどかった。上巻と比べて死と隣り合わせの臨場感は確かに伝わったけど…疲れた。

    羽生は社会不適合者だけど、己の本能と情熱に忠実に生きている。だれしも羨ましいという気持があるのかもしれない。

  • 15年くらい前からの愛読書の一つです。
    映画化ときいて、久しぶりに再読。
    山を行く男たちには及ばないのかもしれないけれど、心がひりひりとします。理屈ではなく、ひりひりとしていたい気持ちが、少しわかる。

  • 2015 1 26

  • 誰であろうと、自分の人生を生きる権利がある。
    ストーリーとしても最高。

  • えええー…この手の作家は初めて読んだけど、もうホントに受け付けない。ページ稼ぎの無意味な改行が多くて読みづらいし、唐突な引用が多過ぎる。。よくこれでメシが喰えるなあと思う。取材方法は耳学問が中心で、否定はしないけれど、先日読んだ、『生還者』の作者のような文献に丁寧にあたるタイプの作家を(文芸作品でない場合にはとくに)信用し、好感が持てる。

  • ネパールでは、二千万人を超えた人口の多くが山岳部に住む農民である。この人間が、朝、昼、晩の食事を準備するだけでも、多くの薪、つまり森林が失われてゆく。年間、およそ、ひとり1トンの木が必要となる 人間は両手に荷物を抱えていたら、もうそれ以上の荷物は持てない。いったん、両手の荷物を捨てなければ、次の荷物は抱えられないからね

  • 知り合いの男性に勧められて読んだ。
    率直に面白かった。男の夢や生き方などが読み取れて男性が好きそうな物語だなぁと。
    実際の登山家の名前やエピソードも入っていてフィクションなのかノンフィクションなのかというところも面白かった。エベレスト登山のことやポーターやシェルパについても初めて知ることが多く興味深かった。

    漫画も読んだが結末が違っていた。
    ターコイズの首飾り…小説では深町がエベレスト登頂した際に羽生の屍の首にかけて帰ったが、マンガではドゥマに返している。
    マロリーのフィルム…小説ではマロリーの屍からフィルムを探す気にはなれず下山しているが、マンガでは羽生に導かれるようにマロリーのザックからフィルムを見つける。そして持ち帰って現像し登頂していたことが明らかとなる。

  • 正直これを超える山岳小説が出てくるとは思えない。今のところ。

  • 最後まで深町が好きになれなかったなー。羽生さんの邪魔しただけじゃん。アン・ツェリンとナラダール・ラゼンドラがかっこいい。それにしても、同じシーンばかり繰り返されて飽きたわ。いらないシーンがいっぱいあると思う。

  • 後編。

    いよいよ羽生丈二と深町の山への想いが実現する。
    登山に全く詳しくないので、装備の名前など難しかったけれど、それでもとても楽しめたし、一度山にいってみたい。そんな気にさせられました。

    素晴らしい本です。

  • こんなに気持ちを揺さぶられたのは久しぶり。

    映画を観たら私はきっと泣くと思う!

  • 下巻は主人公と伝説の山屋との登山の様子が続く。

    緊張感ある場面ばかりだ。・・・・が。
    女子にとってはいまいち共感できないのが本音である。
    (なまくら女子だからかも・・・・)

    苦しい山登り、息も出来ない、足や手は寒さで・・・・
    (う~ん 行きたくない)   すみません。
    そんな感想でした。

    映画になるそうで、私の脳内登山者は、ちょっとキャストと違いました。

  • (2015.3.14)
    (567P)

  • おもしろかったけど、ちょっと話が長すぎると感じた。上巻はマロリーのカメラと主人公の過去を中心としたストーリーが展開されて面白く読み進めることが出来たが、エベレストへの挑戦が中心となる下巻はちょっと長すぎた。エベレストの過酷な状況が緊張感を持って記述されるのだが私には作品に没入し続けるのは難しかった。

  • テレビドラマの台本を読んでいるような,なんともできすぎているストーリーに興ざめする作品であった.登場人物:深町,羽生ほか

  • 感動…山の本の中では圧倒的な最高峰と思っていたんだけど、こんな物語だった?羽生の手記は良いとして、深町の女々しい独り言ばかりって感じで、いつまでも読み終わらずにとても長く感じた。以前、たぶん10年以上も前だろうけど、その時に読んだ印象をそのまま残しておいた方が良かった。

  • ナツイチ本。
    なんで下巻ちょっと画像暗いの?笑
    山とか全然のぼらないですが、ちょっと挑戦してみたくなりました。
    あと、ハチミツ入りの紅茶が飲みたくなった。

  • 南西壁冬期無酸素単独登頂が、いかなることか山に登らないわたしたちにも上巻を読んでわかるようになっているので、衝撃的すぎる羽生さんの挑戦。マロリーのカメラに導かれた上巻と違い、下巻はアンツェリンの奥さんのトルコ石が輝きを放ち行動力を与えてくれる。読むのに体力のいる大作やけど、開くといっきに読み進めてしまうようなそんな作品でした。凄い描写力でその場にいるような臨場感が楽しめます。

  • すごくよかった。こういう山岳小説また読みたい。そして山に行きたくなった。
    2014.8.9

  • 人はなぜ山に登るのか。山の事故がある度に、ニュースやワイドショーで「山を甘く見てる」とか「無謀」とかコメンテーターがまことしやかに語るし、私もうっすらそんな風に思っていたけど、そんな風に軽く語ること自体が山の厳しさをわかってないと思い知らされた。そこまでの準備が必要なのかと思うほど準備しても、いつ死んでもおかしくない、そんな山にたった一人で挑み続ける羽生。そして羽生にどうしようもなく吸い寄せられていく人々の物語でした。これ本当に映画化されるの?!

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著者プロフィール

1951年、神奈川県出身。第10回日本SF大賞、第21回星雲賞(日本長編部門)、第11回柴田錬三郎賞、第46回吉川英治賞など格調高い文芸賞を多数受賞。主な著作として『陰陽師』『闇狩り師』『餓狼伝』などのシリーズがあり、圧倒的人気を博す。

「2016年 『陰陽師―瀧夜叉姫― ⑧』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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