- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087473735
作品紹介・あらすじ
人口わずか三百人。主な産物はカンピョウ、ヘラチョンペ、オロロ豆。超過疎化にあえぐ日本の秘境・大牛郡牛穴村が、村の起死回生を賭けて立ち上がった!ところが手を組んだ相手は倒産寸前のプロダクション、ユニバーサル広告社。この最弱タッグによる、やぶれかぶれの村おこし大作戦『牛穴村 新発売キャンペーン』が、今始まる-。第十回小説すばる新人賞受賞、ユーモア小説の傑作。
感想・レビュー・書評
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古典的名作・サリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』へのオマージュ?と思える本作タイトル。
でも「オロロ畑」って何? 興味と期待が膨らみます。荻原浩さん1997年のデビュー作(小説すばる新人賞)で、元コピーライター彷彿ものでした。
過疎化で村の存続が危ぶまれる牛穴村青年団が、起死回生の村おこしを計画してタッグを組んだのは、潰れそうな弱小広告会社で‥。
詐欺まがいの広告会社の提案に、藁にもすがる思いで同意し、一大騒動を巻き起こします。これらの面々が織り成すドタバタ・賑やかさが愉快です。
軽妙さを含めた方言の使用、田舎の名産・文化などの設定も巧みで、登場人物一人一人のキャラも立っていて魅力的です。
そして著者は、田舎の青年や弱小広告社の面々を、頻繁におちょくった描き方をしていますが、決して貶めず、嫌味のない温かさを感じます。
まさかのカップルも誕生し、最後はいろんな人が純真さ・誠実さに救い救われたんですね。
1951年出版の本家『ライ麦畑〜』では、高校を退学した青年が、世の中の欺瞞へ鬱屈した嫌悪を投げかけ、その孤独を妹に救われる内容でした。
オリジナルをリスペクトしてそのモチーフを取り入れ、その上で独自の趣向をこらしている点が敬意の表れと思いました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
およそ20年前!?に初版。
20年前の日本ってこんな感じだったかなあ。
謎の生物「ウッシー」の登場からの展開が面白かった。
そう、タイトルが「ライ麦畑...」と似ているからそんな感じなのかしら?と思って手に取ったら、全然全然(2回)違う!良い意味で裏切られます。
そして「オロロ豆」って架空の豆なの〜?
どんな豆?美味しいの?なーんて実在するのかと、また調べちゃったよ...。
続編もあり。面白いそうです(解説より)。 -
マンガ(って読まないから違うかもだけど)みたいな、純粋なお人好し達のドタバタ感が楽しかった。
生まれてからずっと一緒の仲間はまるで家族のようで、村をなんとかしたいんだ!って気持ちが良かった。
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ドタバタ劇を見てるようで楽しかった。オロロ豆、ゴンベ汁、クモタケ…食べてみたい。
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H29.3.19 読了。
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そこは奥羽山脈の一角、大牛郡・牛穴村。
人口わずか三百人という超過疎化にあえいでいる村の青年たち
(平均年齢少々高め。笑)は、起死回生を賭けて立ち上がる──
中でも唯一、東京の大学を出てUターンしてきている青年会会長
米田慎一の仲間からの信頼は厚く、彼の言う"大学時代の友人がいる
東京の代理店を雇って仕事をさせる"というアイデアに、一同希望を託します。
そこで米田慎一は、それまで一度も村を出たことがない同級生
富山悟(37歳・独身:"オラ東京さ行くだ"が日頃の口癖)を伴って
大学時代の友人を訪ねるためにいざ東京へと向かうのですが.....
過疎のあえぎに"村おこし"を図ろうと奔走する牛穴村の青年たち。
ストーリーはこのあと、牛穴村にとっても読んでるこちら側にとっても
予想外の意外な方向へと発展していくことになります。
これがなかなかの冷や汗もので...!(笑)
結末が気にならないわけがありません。
こちら「オロロ畑でつかまえて」は
東京に看板を掲げる倒産寸前の"ユニバーサル広告社"が主体になった
ドタバタユーモアなお仕事小説だったのですね。
この先に続くシリーズもあるのだとか...。
素朴でユニークな牛穴村の青年たちの、面白おかしい場面から始まり
始終そちらに引っ張られっぱなしだったのがことさら楽しかったせいか
牛穴村とはもうこの先繋ってはいかないのね...と知ると
なんだか寂しすぎる...と思ってしまったのでした。
悟さん、いいね♪
オロロ豆もちゃ~んと一役かってくれたし
牛穴村に幸あれ! ^^ -
吉本新喜劇みたいなベタなお話。何も考えずに読めるし、みんな楽しくていい人たちだからストレスもなし!
この作品が好きな方は『誘拐ラプソディー』もおすすめ。 -
星3.8。
登場人物達の表情が次々に頭に浮かび、とても面白かった。終始穏やかな気持ちで読める。
重い本の間に挟んで読みたい1冊。
シリーズ化してるようなので、次も読みたい。