ネバーランド (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
3.68
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感想 : 1437
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  • Amazon.co.jp ・本 (277ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087475777

感想・レビュー・書評

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  • 4人の男子高校生による寮生活の1週間を切り取ったストーリー。
    4人はそれぞれなかなか暗い過去を持っており、それぞれの「告白」がひとつの見どころである。
    1週間に巻き起こる様々な事件(いわゆるミステリー作品のような、殺人等ではなく、ちょっとした来訪者はトラブルなどだ)がコミカルに描かれ、ほのぼの青春ドラマである。
    私はあまりこういう作品が読んだことがなく、正直好きでは無いな。というのがこの評価の理由である。

  •  光浩が敬子に強姦されてたエピソードが胸糞で1番エグかった。腹違いとはいえ近親相姦にあたるので気持ち悪い。強烈すぎて他3人のエピソードが霞むレベル。

    「あたしはあなたにしたことをこれっぽっちも後悔していない。
    このクズ女の屍を踏み越えてください。
    あの男の弱さを笑ってやることができるような人間になってください。」(251)

     光浩宛の敬子の遺言では「後悔していない」と言い切り反省してなくて腹立つ。上から目線なのもクズ女らしい。
     
     4人の中で唯一美国だけ掘り下げが弱い。誘拐されて額を引っかかれたエピソードは印象に残ったが、紘子との関係やゲイに呼び出された話があっさりしてボリューム不足に感じた。

     私は友達が少ないので、彼らのように本音で話し合える友人が欲しいなぁ。私の両親も離婚して家庭環境が複雑だから分かり合える人いないのよね。どうせ話すなら同じような境遇にいる人に話したい。彼らも特殊な家庭環境同士だからこそ分かり合えたのかもしれない。

  • 冬休みの寮に訳ありの4人が残る。
    不穏な空気の中、4人の告白が始まる。

    男子高校生の会話がバカバカしい時もあれば、それが彼らにとっての優しさの時もあり寮生活っておもしろいなって思った。

  • 普通に面白かったです。

  • 居残り組のお休みに混ぜてもらって一緒に過ごしているような感覚になれる。
    光浩が作ってくれるご飯が美味しそう...!
    卒業後も彼らが仲良くしてくれていたらいいなと感じた。

    それぞれ陰を抱えてたけど、1番可哀想だと感じたのは光浩かな。しっかり者で頼りにされているから弱音が吐けなさそう。それと、打ち明けたエピソードが1番重たく救いようがなかった。

    恩田先生の本は、自分も学生の頃にこういう思い出を作れたらよかっただろうなあという気持ちにさせてくれる。

  • 名門私立高校の歴史ある寮。冬休みに居残る3人ともう1人。
    ちょっとしたミステリ要素もありつつ。
    主人公たちが男子高校生ということもあり女性の方が評価高くなるかも、というステレオタイプな感想。

  • 男子高校の寮に冬休み、4人の少年が残った。冬休み中に彼らの仲は深くなり、やがて互いの秘密を語り出す…。

    親との辛い過去、確執、一度も人に語ったことのない恐怖感を4人が共有し合うことで、気持ちは重くなるけれど、その分絆が深まっていく。
    自分の負い目を話した後に、彼らのように真剣に受けとめてくれて、その後何事もなかったかのように笑い、ケンカし、日常生活を送れるような友人に、私も出会っているのかもしれない。
    今まで人に話したことのない自分のことを話してみると、新たな発見があるかも。

  • 3.5

  • 2023/06/16-06/21

  • クリスマスイブから7日間の物語。
    男子校の学生寮である松籟館に残された4人。美国と寛司と浩司と統。彼らには人に言えないそれぞれの事情を抱えていた。その4人が過ごしていたクリスマスイブの日に起きた「告白」ゲームをきっかけに事件と謎が生まれる。そして日常生活の中で事件と謎、それぞれの隠していた事情が明らかになっていく物語。

     恋愛のような甘酸っぱい青春ではなくて、男子校のような素朴だけど色のある青春っていいなと思う。
    日常生活の中で少しちょっかい出したり、それをきっかけに口喧嘩みたいになったり、時には真剣に話したり。特に派手な日常ではないけれど、素朴で良い所がポイント。細かい所だけど、寛司の友人との少し距離感の近い設定とか男子校らしさがあるなと思った。

  • 4人の少年達が松籟舘で、自分のことについて告白する。それぞれが辛い過去だったり、秘密があったりして重い話だった。だか、読んでいて不思議と「重い」と感じることは無かったように思う。いや実際、「重い」と感じてはいたが、すぐに無くなったイメージ。寛治や統の陽気さによるものなのか、作者の場面切り替えが上手かったのかよく分からないが、話の内容の割には読みやすかった印象を受けた。
    ラストでは、伏線を回収するような事はせず、自然に終わったイメージだった。残っている謎もあったが、自分の中では不思議とモヤモヤとした感じは無かった。

    4人とも、ギスギスする事はあったが、それでも見えない友情がある所に、なんだか羨ましさを感じた。

    最初、ネバーランドというタイトルがよく分からなかったが、解説をみて、「4人が過ごしている時間そのものが、青春時代というひとときそのものが、長い人生の中では、ネバーランドなのである」という所をみて納得した。

    たった1週間のお話で、伏線回収などもあまり無く物足りなさを感じる事もあったが、4人の共同生活や小さな事件には、ワクワクさせる要素があって面白かった。


  • 年末を学寮で迎える四人の男子校生。 宵の刻、ふとしたきっかけで四人は互いの隠された秘密や過去に触れる。 大人と子供の境界線で迷う青年たちの感情の吐露、7日間の成長。

     青春ミステリにカテゴライズされてはいますがミステリ要素はあまりないです。 一人前の大人としてはまだ認められない一方で、もう子供じゃないんだからと言われる境界人の青年たちの想いを描いた青春小説の面が強いです。 苦々しい過去を扱いながら、一日ごとの章立てや爽やかなキャラで陰湿さを打ち消しています。 「ネバーランド」・・・大人へ向かう青年と子供だけの世界がどういった意味で繋がるのか、読んでのお楽しみ。

  • 最初は少年たちの過去が辛すぎて、叫び合い罵り合いながらも、日を追うごとに結びつきが固くなっていくところが凄かった。
    きっと彼らはこの1週間を大人になっても思い出すんだろうな。また彼らにとってのネバーランドで集まる日が来るんだろうなと思いながら読了しました。

  • ラストのつい先日アメリカにいったやつから来た年賀状。それもピンクのキティちゃん。

    ただ、ただ、そんななんともない、いたずらのような出来事に。ポロっと涙が出るのは、それまで積み上げてきた少年たちのやりとりが、恩田陸の手によってわたしの中で積み上げられてたからだなぁ。

    と。わたしの中に生きた四人の少年たちが、なんとも儚くて、、、、そのたった数週間の時間が、輝かしくて、儚い、キラキラした時間。

    読みながら共有させてもらいました。

    キティちゃんのハガキは、、、つい泣いたよね。

    少年たちそれぞれの問題と向かい合って、ぶつかり合って、1秒1秒無駄に、はたまた真剣に、今しかない時を使って作り上げるもう絶対こない数週間。

    おすすめです。

  • 恩田陸の描く少年少女は本当に綺麗なので、中学時代に読みたかった、が第一感想だった。そうすれば、彼らの影のある美少年ぶりにときめき、爽やかで醒めた会話に憧れ、高校生という生き物に夢見たんだろうなあ。
    私の心の中の「(美)少年少女理想像」に恩田先生は小さくない影響を与えている。10代の自分でこの本を読んでみたかった。大人になって読み返して、どんな気持ちになるのか試してみたかった。
    もちろん、いま読んでも楽しめたのだけど。

  • 菱川美国(ひしかわよしくに)
    ど田舎の伝統ある男子校の古い寮「松籟館」に残った。二年生。妹は博多の祖母の家にいる。親は海外赴任中。陸上部。

    篠原寛司(しのはらかんじ)
    松籟館の居残り組の一人。両親が離婚調停中で、どっちに付いていくか決めろと両方から責められるのが嫌で寮に残った。一人っ子。硬式テニス部部長。

    依田光浩(よだみつひろ)
    松籟館の居残り組の一人。温和で気の回る男なのに決して女々しくない重宝な男。休みの間のみんなの食事を作ったりと、家庭的なところがある。父親は九州の大手百貨店の元社長で、光浩は妾の子。

    小百合
    美国の妹。バリバリの体育会系で硬式テニス命。全身日焼けして真っ黒け。

    瀬戸統(せとおさむ)
    美国らと同じ高校に通っている。通学組。買出し中の美国らと出会い、毎日寮に訪れるようになった。小さい頃に母親を亡くし、天文学者の父親と二人暮らし。その父親もここ数年は種子島宇宙センターに勤務しているので、自宅に一人で住んでいる。理系の成績は抜群。

    岩槻繁久(いわつきしげひさ)
    美国達と同級生で松籟館で暮らしていた。もともたとかなりの虚弱体質で不整脈があり、ペースメーカーも埋めていた。入学して半年足らずで心不全で死んでしまった。

    高木(たかぎ)
    美国より二級上。岩槻をたいへん気に入っていた。

    但馬紘子(たじまひろこ)
    美国の元彼女。K女子校に通っている。美国に突然振られた。

    庄司(しょうじ)
    美国の学年主任。

    須藤(すどう)
    寛司の担任。

    山崎(やまざき)
    統のクラスメイト。通学組の弁当組。教科書でバリケードを作って、絶対に自分の弁当を他人に見せない。

    島田(しまだ)
    弁護士。光浩の後見人。

    依田敬子(よだけいこ)
    光浩の義理の母親。光浩に肉体関係を強要していた。

  • 会社の寮生活を思い出した。
    人間にはどこかに影があって、でも奥行きのある人間の方が重みがあって、美しいと思う。
    色んなことがあるけど空には星が綺麗

  • 話が進んでいき、登場人物の4人の学生が抱える秘密や悩みが明かされていくうちに自分が共感でき、途中から登場人物に親近感がわきました。

  • 子どもって、「大人よりは大変じゃない」って思われてしまうけど、子どもも色々あるよなぁ。

  • 登場人物は4人の少年。主人公の美国、温和だけど常に冷静な光浩、クールな人気者の寛司、天真爛漫で天才肌な統の4人がそれぞれトラウマや“秘密”を抱えています。クリスマスイブの晩に統がある告白をした事から、それぞれの秘密が明らかになっていく・・・という物語です。前半はミステリ要素があってドキドキする箇所もありますが、後半からは完全に学園・青春小説です。

  • すごく何かがあるわけではないけど、切ない気持ちになる。

  • 4人の秘密が重い

  • みんながみんな重い過去を背負っていて読んでいてしんどかった。でも、読んでいて寒気がする感じとかゆったりとした青春の時間を感じられるのは作者の心情表現のうまさだと思った。蜜蜂と遠雷を読んだあとにこれを読んだので、若干物足りなさを感じてしまった。

  • 社会人の1週間はあっという間だけど、この濃密な七日間を読むともっと時間を大切にしたいと思った。

  • 普通

  • 自分も寮生活してたから、人がいなくなった寮の冷たい感じとか、友達にどこまで踏み込んで良いかって恐る恐るだった時期を思い出した。
    早く卒業したいって思ってたけど、卒業すると凄い寂しい。

  • 恩田さんらしい作品だった

  • 共同生活をした7日間で4人は一回り二回りも成長したような感じがしました。読後感がとても爽やかです。

  • 光浩、美国、寛司、統の4人の男子高校生が冬休みの間、学校の寮に残り生活していく間の物語。

    特別な事はないけれども、いつも大勢寝泊まりしている寮に4人だけで自炊しながら生活するという空間自体が非日常で、その間に起こる出来事やお互いの人生について他告白がとても印象に残る。

  • ネバーランドとは、子供が永遠に子供でいられる場所。
    冬休みを迎えた男子校の寮に、実家にも帰らず居残りした4人の男子高校生。それぞれが複雑な人生を抱えている。
    帰ろうぜ、俺たちんちへ。なっ、そうだろう?あそかが俺たちの家だろ?
    じんわりと感動が広がります。

著者プロフィール

1964年宮城県生まれ。92年『六番目の小夜子』で、「日本ファンタジーノベル大賞」の最終候補作となり、デビュー。2005年『夜のピクニック』で「吉川英治文学新人賞」および「本屋大賞」、06年『ユージニア』で「日本推理作家協会賞」、07年『中庭の出来事』で「山本周五郎賞」、17年『蜜蜂と遠雷』で「直木賞」「本屋大賞」を受賞する。その他著書に、『ブラック・ベルベット』『なんとかしなくちゃ。青雲編』『鈍色幻視行』等がある。

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