秋の猫 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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感想 : 55
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087478686

感想・レビュー・書評

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  • 短編集。
    すべて動物が絡んでいる。

    印象に残ったのは2つ。

    「幸運の犬」
    最後の、してやったり感が気持ちよい。
    別に夫婦のどちらも、似たようなものだけど、純粋に一緒にいたいと思う妻の方に(完全なる純粋ではないけど)、軍配が上がるのはすっきり。
    特に秘書(旦那の愛人)の上から目線がイライラだったので、実際にラッキーを運ぶ犬かどうかは別として、これぐらい気持ちよく犬を連れて帰れたのは、よかった。

    ただ、犬好きからすると、どっちもどっちではあるんだけどね。

    あとは「病む犬」。
    気持ちがわかるから。
    しかも好きで飼い始めたわけではなく、でも、弱い犬を見捨てられない気持ちがわかるので。
    そしてきれいごとを言ってられないぐらい、お金もかかるし、時間もとられる。

    結婚もできて、子供もできて、幸せに思う時間がもてたことが、なによりうれしかった。
    マシューのせいで、が、マシューのおかげで、になったので。

  • この小説を読んでいると、登場するペットが動物なのか子供なのか、分からなくなるときがあるが、それだけ彼らはペットを心の拠り所とし、時には依存してしまうくらい愛してしまっているからなのだろう。時には子供のできない夫婦であったり、パートナーのいない寂しさのためであったり、心の平穏を保つためであったり、飼うきっかけが色々で面白かった。特にペットがいる人にお勧めしたい一冊。

  •  ペットと男女の恋愛未満短編集、5編。
     ペットがいないので、いまいち分からなかったが、こんな風に思うのか、と思った。女性時点で書かれているので、男性はこのときどう思うのかーと気になった。
     計算高い女性がいたが、みなさんそんなに計算高いのかなぁ?と空恐ろしくなった。

  • 【本の内容】
    男はもうこりごりと思った私は、ついに念願の猫を飼うことにした。

    が、二匹のうちの一匹がどうしてもなつかない。

    表題作「秋の猫」。

    夫婦で犬を飼い始めたとたん、仕事は順調、夫は女をつくった。

    いざ離婚というときに、夫も私も犬の親権を主張して譲らない。

    「幸運の犬」ほか、犬や猫との交流をとおして、心を癒され、孤独の寂しさを埋めてゆく男女を描く、心温まる短編集。

    [ 目次 ]


    [ POP ]
    最初からすっかりひきこまれてしまった。

    表題作「秋の猫」は、結婚のため、恋人の女癖の悪さにも目をつぶってきた36歳の私が、突如彼との関係に終止符を打ち、かねてからの念願だった猫を飼い始めるという話。

    もらったうちの1匹は愛嬌があって人懐こいが、もう一匹がひねくれもので全然なつかない。

    猫との暮らしで心の安定を手に入れようとしたのに、かえって途方にくれてしまう。

    どの短編もユーモアが効いていて、一人の寂しさを漂わせ、そのくせなかなかしたたかで、男に対しては辛口で、小気味良い終わり方をする。

    三十代女性の、心のゆれがよく伝わってくる。

    ある程度の人生経験を積んでおり、二十代のように向こう見ずなことはしない。

    幸福は、世間や社会にどう思われているかに自らを合わせることではないことを知っている。

    だけど結婚の二文字は気になる。

    時々、ふと人生の先が見えたような気がしてしまう。

    本書を二十代前半で読んだら面白いと思っただろうか?

    読後、そんなことが気になった。

    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • ジャケ買いした。5つの短編小説で構成されていて、女性の打算的なところが生々しく描かれているので失恋してすぐに読む3つ目、4つ目は非常に苦しかった。5つ目は良かった。
    読んでる際の自分の心持ちで感想がずいぶん変わりそうな良書。

  • 全体的に、夕暮れを散歩しているときの考えごとのように、強い印象は残らないけれど小さな充実感が残るような、気取らない感じ。

    最後の「公園まで」はなかなか好きな感じかも。

  • 、、、あぁ、もう何なんだこの小説。と思いながらも、何年か後もう一度読んだら違う感想をもてるのだろうかと売りに出せない一冊。綺麗な感情で自分が生きてるとまでは言えないけど、こんなに主人公が疲れて歪んでいるとなぁ、、、。こういう感じで生きてる大人の女性って多いのか?まだ学生の私にはちょっと受け止めきれないものがあった。ただ、猫は飼いたくなった。

  • 本は、
    ①タイトルがよい
    ②表紙がよい
    ③内容がよい
    上記の三点のどれか一つでも満たしていると
    個人的には「これはよい」という本になる。
    まれに全部を満たしている怪物本もありますが。

    この本の場合は
    ①タイトルがよい
    です。
    間違いなく。
    秋の猫っていうセンスにやられた。

    内容は、
    恋がうまくいかない辛さを
    動物でなごます女性の短編集です。
    面白くないわけではないのだが、
    タイトルに全てもってかれた感はあります。

    でもいい、タイトルがいいから。(←)

  • 2013.2.13 start ⇒ 

  • 短編集。
    身につまされちゃうんだな。
    意地悪とか計算高いというレビューも多いけれど、
    結構誰だってみんなそうなんじゃないかなって思っちゃう。
    必死なんだよ。切羽詰まったらもっと怖くなれる気がする。
    そして寂しい。強がって迷いながら幸せになろうともがいてる姿だと思うのよね。なんかそう頑張れる元が犬とか猫で、そう頑張れる元がない私は今何も頑張りたくないと思うのです。

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