人間失格 (集英社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (212ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087520019

感想・レビュー・書評

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  • けっこう昔に読んだので曖昧なところもあるが、結局のところ人間失格が一番人間らしいと感じた覚えがある。太宰治の遺書的な構成になっている。

  • 太宰治が見た3枚内容から展開していく話。主人公は自分の気持ちを伝えることができず、他人にはお道化をひたすら演じ、自分の本性を見せることができなかったが、ある時信頼できる人に出会いその人には自分の本来の姿を表現していく。しかし財布として使われ、財政難に陥る。そこからの主人公の人間性にとても共感できる良い話であった。

  • 何回か読まないと理解できないかも知れない

  • 『この作品は、ある性格を持って生れた人々の、弱き美しきかなしき純粋な魂を持った人々の永遠の代弁者であり、救いであるのだ』(新潮文庫の解説より)
    何回も心中する気持ち悪いやつでしょ、と思ってた10代中盤〜後半は人生がシンプルだった、というか自分の仮面と向き合えてなかったのだと思う。純粋にひたむきに生きればそれだけ裏切りや愛情の欠落の反動を受けやすい。前半では、生きるのが上手いタイプだったんだな〜と思ってたけど、徐々に人間への疑惑と被ってきた仮面との矛盾に耐えきれなくなっていってあっという間に取り返しがつかなくなってて…気持ち悪いとは思えなかった。
    また何年後かに読んだら違う印象を持つんだろうなぁ。あと太宰が生きていた時代に読んでたらまた違ったと思う。

  • この作品が完成したひと月後、太宰は自らの命を絶ちました。主人公葉蔵のモデルはおそらく太宰自身。人の心が見えすぎる「神様みたいないい子」にとって、生きるということは難しいことであったに違いありません。


  • 夏目漱石の「こころ」に引き続き
    中田敦彦のYouTube大学・文学編で扱ってたんで、こちらも再読

    「人間失格」は、学生時代
    文学のレポートのために読んだ以来なので
    実に、29年振りだ 笑


    本作は、太宰治の自叙伝的小説であり
    脱稿後、愛人の一人である
    山崎富栄と入水自殺をしたことで
    伝説的な作品となったようです


    葉蔵は、東北の裕福な名家に生まれる
    11人兄弟の末っ子で、大勢の使用人に囲まれ
    何不自由ない生活のはずが
    真面に人と話せず
    取った手段が、道化に徹することだった

    常に、大人達の顔色を伺い
    その場の人たちを笑わすことでしか
    アイデンティティが保てない幼少時代

    下女の一人から、性的虐待を受け
    人間の裏側を垣間見ることで
    益々、人間不信に陥る

    兄弟の中でも、頭脳明晰だった為
    東京の高校に進学するも
    堀木という、6歳年上の不良と関わることで
    悪い遊びを覚える

    亭主が刑務所に入っているという
    女の元に転がり込み、入水心中を図るも
    自分だけ生き延びてしまう

    その後も、女の元を転々とするが
    純粋無垢な、年下の少女に助けられ
    内縁関係となる

    ある日、内縁の妻が
    出入の編集者に犯されているところを目撃

    絶望のあまり、妻が隠し持っていた
    睡眠薬を大量に飲んで、自殺を図るが
    未遂に終わる

    廃人同様となった葉蔵は、脳病院へ収容され
    家族が用意した家でも
    老女に犯され
    それでもただ、時間は過ぎていく

    27歳にもかかわらず、白髪だらけの頭髪で
    40歳以上に見られる

    というところで、手記は終わる





    「恥の多い生涯を送ってきました」

    という、余りにも有名な書き出しで始まる手記は
    これから起こる何かを
    深く暗示させる効果絶大

    もう、この一文だけで名作だと
    今では思える

    が、しかし…
    20歳だった私には、ただひたすら
    なんと情けない男なんだと
    金持ち坊ちゃんの、一番情けない成れの果てじゃないかと
    レポートの題材に選んだ事すら、後悔したものです


    「自分の幸福の観念と、世の中の全ての人達の幸福の観念とが
    まるでくい違っているような不安」

    とか

    「互いに欺きあって、しかもいずれも不思議に何の傷もつかず
    欺きあっている事にさえ気づいていないみたいな」

    とか

    「幸福に傷つけられることもあるんです」

    とか

    「人間は、お互い何も相手を分からない、まるっきり違って見えていながら
    無二の親友のつもりでいて、一生気がつかない」

    とか

    「自分の不幸は、拒否の能力のない者の不幸でした」

    などなど…


    勢いだけで生きていた
    20歳の時には、全く気がつかずにいたけど
    実は、なかなかの名言が散りばめられている

    生きていく為には、仕事をしなくてはいけないし
    その過程で、純粋な心は
    どんどん世間という汚れに侵食されていく

    誰もが、一度は向き合うような
    哲学的な問いを忘れてしまう


    大人に失望し
    世間に失望し
    女に失望し
    自分にも失望する


    『してその翌日も同じ事を繰り返して
    昨日に異らぬ慣例に従えばよい
    即ち荒っぽい大きな歓楽を避けてさえいれば
    自然また大きな悲哀もやってこないのだ
    ゆくてを塞ぐ邪魔な石を
    蟾蜍は廻って通る』

    という
    ギイ・シャルル・クロオの詩句が引用されていたのが
    素晴らしく印象的で

    まさに、私の目指している生き方だと
    歓喜したのだけれど

    葉蔵は
    一人で顔を赤らめ、自分は犬よりも猫よりも劣等な動物なのだ
    蟾蜍のように、のそのそ歩いてるだけだと…

    なんとも、救いようのないMrネガティヴ (^◇^;)

    とは言え…
    人間が持つ普遍的な要素が満載であるが故に
    夏目漱石の「こころ」と双璧で
    時代を超えて、読み継がれているんだろうな





    #太宰治
    #人間失格
    #読書
    #ギイシャルルクロウ
    #蟾蜍








  • 読んで楽しい本ではない

  • いや、自殺してしまうのかーーーーーい!!!

    って感じでした。


    悩んでた時に読んだから、
    何も参考にならない……と思ったけど、
    そういう事じゃないのか。小説だから。


    私に10個の悩みがあって、
    それを他の人が1個でも持ったなら
    その人は死んでしまうのではないか。というくらい辛い

    っていう表現が分かる〜~〜~〜ってなった

  • 幼い頃から道化を演じてしまった彼は、常に第三者として自分を見つめていた。自分と重なる部分もあり、今でも共感できる部分が多い。自分をこんなにも客観視し、言葉で表すことは難しく、美しい。人間を演じきれなかった彼は、果たして人間、失格なのか。

  • R.3.21読了
    作者が何を言いたいのか、良くわからなかった。
    再度読んでみようと思う。

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著者プロフィール

1909年〈明治42年〉6月19日-1948年〈昭和23年〉6月13日)は、日本の小説家。本名は津島 修治。1930年東京大学仏文科に入学、中退。
自殺未遂や薬物中毒を繰り返しながらも、戦前から戦後にかけて作品を次々に発表した。主な作品に「走れメロス」「お伽草子」「人間失格」がある。没落した華族の女性を主人公にした「斜陽」はベストセラーとなる。典型的な自己破滅型の私小説作家であった。1948年6月13日に愛人であった山崎富栄と玉川上水で入水自殺。

「2022年 『太宰治大活字本シリーズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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