- Amazon.co.jp ・本 (212ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087520019
感想・レビュー・書評
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クイズノック読書ライブの機会に読了。
負の人間をここまで書けるのかという感じ。
名作と言われているが、これを名作と言える人は感情がないのではないか。
読むと心がきつい。未成年にはなおきついだろう。
フィクションとして読めてよかった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
人間失格 太宰治 2020/12/4
「他人の人生を追体験できる」とか言って読書の素晴らしさを説くタイプの人間を、僕は信用しない。
そもそも作家論にあまり腹落ちしていないというのもあるが、人に読んでもらうために書いた文章である時点で、それはある種まがい物だ。
僕はそのまがい物をまがい物として楽しむタイプだけれど、若干テクスト論寄りの考え方なので、読者である自分の人生を照らし合わせながら本を読む。
それこそが読書の醍醐味だと、少なくとも今はそう思っている。
『人間失格』が太宰の遺書であるとか、太宰は死ぬために『人間失格』を書いたのだ、なんてのは腐る程論じられているだろう。僕にその真贋は分からないし、あまり興味もない。
ただただ、主人公の自意識が世間と馴染まないことへの自己嫌悪や、幸せに対する恐怖心、その心情の描写に引きずり込まれるだけだ。
一体、誰(何)が人間として合格/失格の判を押すのだろうか?
他者との比較を通じてというのであれば、世間・社会によって判断されるものであり、世間というのは個人であると書かれている。つまり、自分が自分を人間として認められるかどうか、ということ?
▶︎Pick up
自分は、自分を生れた時からの日陰者のような気がしていて、世間から、あれは日陰者だと指差されているほどのひとと逢うと、自分は、必ず、優しい心になるのです。(P55~56)
「世間というのは、君じゃないか」(P109)
名詞には、すべて男性名詞、女性名詞、中性名詞などの別があるけれども、それと同時に、喜劇名詞、悲劇名詞の区別があってしかるべきだ(P130)
主人公の歯車が社会のそれと噛み合わない描写に目がいきがちだけど、ヨシちゃんとの話の文章、とっても綺麗じゃない?
あと、これを中学生の読書感想文の指定図書にするのってなかなか鬼畜じゃない? -
この本は、自分自身であるって思った。又吉直樹もそうだったようで、意外とそう思う人は多いのかもしれない。小さい頃の写真をみるとみんな額に皺が寄っていることや、睡眠薬中毒なんて全て一緒なのがヤバイ。
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ステイホームということで、本棚の奥から引っ張り出してきた。太宰より年上になった今のほうが沁みる。
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こんなバカバカしいことで悩むのは人間くらいだ。彼の人間らしさが好きだ。
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最近***に食傷気味で、水を欲するように純文学を手に取った。
太宰治の自伝小説とも言われる本作。内面を口に出さない葛藤を仮面で隠して振る舞う不器用さが心に響く。酒にクスリに溺れ、行き着いた先が精神病棟。狂人・癈人、人間、失格と自分で刻印を打つ。
太宰の年譜を見るに「人間失格」に当たらずも遠からずの人生を歩んでいるわけだが、自分を客観視してこの小説を書いている。狂っているように見えつつ冷静でもある二面性が心を打つ。
集英社文庫版だけなのかもしれないが鑑賞を太宰の実の娘が筆を取り、"『人間失格』は、決して暗い小説ではありませんでした。"、"太宰治の『人間失格』は、何よりも私に「父性」について教えてくれた作品です。"と書いている。
久しぶりに現実世界を忘れさせてくれる約200頁でした。 -
21歳の誕生日、今日2017年6月4日に「人間失格」を読む私である。そういう人生なのである。
人の目を欺いて生きているところは私にも自覚しかなくて、でも最後の「葉ちゃんは神様みたいな子でした」ってセリフが、その対称性を表してると思う。
人からはそう言われるくらい好かれていい印象を持たれていても、葉ちゃん自身は生涯を通じてこんなにこんなに辛い。現代でいうメンヘラだろう。
葉ちゃんもそうなんだろうけど、人から愛されることだけを生きる目標としていると同時に辛くてでも愛されなくなりたくなくてでも自分を偽りたくなくて…ってそういう人が不幸に生きているんだとおもう
でも、最後の方で、廃人になってからが喜劇というのは、人間の社会「世間」の息苦しさを描いているようだった。
私が葉ちゃんの環境で生まれてきていたら、無理してでも世間に溶け込むよう自分を変えていただろうけど、苦しくても自分の気持ちに向き合うことを辞めなかった彼は、人を欺き続けてたなんて言っていても、立派だと思う。
心に残る小説で、太宰のことを少しでも知れたようでした -
言わずと知れた大宰の代表作。中学時代に初めて読んで、人間の転落を知った。
思考が内面へ向かい過ぎる人間は世の中を生きにくい。
定期的に取り出して、鬱屈とした心理描写に共感、自己陶酔してしまう、そんな本。-
2013/05/02
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葉蔵と共に滅んでみたい・・・
この作品を読むと、何故か堕落が美しく思えて、つい、陶酔してしまう。
そして、自分が堕落気味の時には、
心にぴったりと寄り添ってくれる。
まるで、悪い恋人のような存在だ。