失われた時を求めて 8 第四篇 ソドムとゴモラ 2 (集英社文庫 ヘリテージシリーズ P 1-8)
- 集英社 (2006年10月18日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (696ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087610277
感想・レビュー・書評
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時代は動いているようだ。これまで社交界の華であったゲルマント公爵夫人が凋落した訳ではないが、少なくてもバルベックでは、ブルジョワ階級のヴェルデュラン夫人が台頭してきた。シャルリュス氏までが頻繁に出入りするほどに。もっとも、このシャルリュス氏の行動の裏には宿痾ともいうべき性癖がある故なのだが。また、成りあがりのヴェルデュラン夫妻にはカンプルメール侯爵とシャルリュス男爵(兼ブラバン公爵、オレロン大公…)との序列さえわからない。いずれは、そうしたことも意味を為さなくなり、物語は大きな転換点を迎えようとしている。
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3.1
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「失われた時を求めて」を読むということを登山に例えれば第8巻は峠の部分に相当するだろう。ここまで読めればあとは下りに等しいと訳者も言っている。峠というだけあって、第8巻もかなり冗長な部分が多く(ブリショの語源談義など)なかなか読むのに根気がいるわけだが、コロナが与えた膨大な時間を有意義に使うためにも頑張って最後まで読んでいきたい。
アルベルチーヌに対する重大な疑惑のために語り手が絶えず苦しむシーンが描かれるが、私にはそれがなぜ苦しむ原因になるのか、いまいち理解できなかった。むしろ男と一緒にいることのほうが嫉妬をよりかきたてるのではないかと思った。 -
最初の方の延々ある地名の語源みたいな説明が意味わからなくて辛い。
見えないアルベチーヌの同性愛的疑いに悩む主人公だがそれよりモレルに入れ込んだシャルリュス氏の方がたいへんだ。っつーかゲルマント大公とシャルリュス氏、血縁ある?‥‥のにモレルと知れずに穴兄弟になってんの? ホモの三角関係とかその修羅場に踏み込むしかも身内とかすげーな。その挿し話がさっくり書かれていてすげー本だと思いました。 -
凡例
はじめに
Ⅱ
第2章(続)
第3章
第4章
訳注
主な情景の索引
本巻の主な登場人物
エッセイ ヴィスコンティを通ってプルーストへ 菅野昭正
(目次より)