- Amazon.co.jp ・本 (528ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087712346
感想・レビュー・書評
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主人公 "祖父江 九(そふえ きゅう" の
波乱万丈な人生を送る彼の一生を綴った物語。
様々な事情により普通の人とは違う人生を送る事になる彼だが、
"幸せ"は、そのような特殊さとは関係ないという事を教えてくれる。
本自体522ページに及ぶ長編だが、
内容はまだまだ広がりをみせる事が出来るくらいの濃さがある。
ヒロイン"寺内 茉莉(てらうち まり)"の物語は共作の"左岸"に綴られているが、
その他にも出てくる共演者達も個性的で、とても本に収まり切らない気になる物語が隠れている。
そう!幾重にも重なる物語があるのだ。
肝心のヒロイン茉莉の九に対するアプローチはこの本だけでは?はてなマークがつく。これは左岸を読まないと分からないだろうな。
何故ここで茉莉が出てきて、このような行動をとったのか?
ホント分からない。
しかし、読んでて、(読者として)主人公 九に寄り添い、その一生を共に歩み見つめる感覚でずっと読む事ができたため、かなり感情移入することができた。
おそらくまたこの先、読み直したくなる作品だ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
江國さんと対をなす作品と言うことで、「冷静と情熱の・・・」を想像しましたが、全く違いました。
ですが、コレはこれで面白かった。
日本人的な宗教感で書かれていて、小さい頃に祖父母に言われたことを思い出すような感覚です。
多くのレビューで言われる通り、前半は性的な描写が印象的です。後半は、主人公の特殊能力に対する「老い」を描いています。
途中で「ノンフィクション」と錯覚してしまったほど、引き込まれました。
江國さんの「左岸」レビューは以下より
http://booklog.jp/users/kickarm/archives/1/4087712354 -
祖父江九と寺内茉莉。
福岡を同郷とする二人の幼馴染はお互いに魅かれあいながらも
それぞれ別々の人生を歩んでいた。
辻仁成さんが男性の立場で九の人生を書いた『右岸』と
江國香織さんが女性の立場で茉莉の人生を書いた『左岸』。
2冊の本によって2人の人生は書かれていた。
茉莉の幼馴染、祖父江九は無骨で身体は大きいが、
無垢で純粋な子供の心を持っている男性である。
スプーン曲げのような能力を持っていたが、
そのために流転の人生を歩む事になる。
茉莉同様に、彼も結婚し子供をができ肉親との死別も体験する。
九の人生は波乱万丈で、とてもユニークだった。
超能力や予知能力を仕事にし、予知夢や霊まで見えていた。
そんな彼も最後の方ではやはり一人になる。
やっぱり、心の支えは幼馴染の茉莉だった。
小説全体を通して、
『左岸』が茉莉の人生をさらさらと流れる清らかな清流の岸辺とするなら、
『右岸』は九の人生を轟々と音をたてる大河の岸辺にたとえているようだ。
それでも両岸は、しっかりと向かい合ってなりたっている。
2冊を読み終えた今、書き方は違うけれど(作家が違うから当たり前)
まるで映画のように両者の事情がわかるようなストーリー仕立てになっていたのがよくわかる。
片方だけ読んでもりっぱな小説で、それはそれで面白いだろうが、
対面の岸の方からみた人生も読みたくなる。
せっかく対面の本があるのだから、ぜひ読んでみるべきだろう。
もちろん、どちらから読んでもかまわない。
茉莉の人生を詳しく知りたければ、『左岸』をどうぞ。
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左岸より、右岸のほうが好きでした。
なんでだろう、最近辻仁成結構読み慣れてきたからかな。
というより右岸のほうが圧倒的に深い気がする。
左岸で茉莉も色々な苦労をしたけど、結局恋多き女のおしゃれすぎる話に終始していたような気がしていて(女性女性しすぎているのは残念ながらあまり好きじゃない)。右岸は人生そのものを中心にしていて、恋愛もかなり色々あるけど中心は九の特殊能力を持ちながらの生きざまっていうか。
読み応えは圧倒的にあった。ていうか左岸がぐだぐだな気がしていたので、右岸のほうが全くぐだぐだじゃないわけでもないけど面白いと思いました。 -
超能力をもった主人公の人生を描いた話。
恋愛小説を期待して読んだら、相当残念だった。
超能力とか宗教観とか、悲劇に悲劇をあまりに重ねすぎて、安っぽく感じてしまった。
ただ、主人公の弱さや恋愛観の部分については共感出来る部分があった。
恋愛小説(冷静と情熱の間みたいな作品)を期待して読むと後悔するので、左岸のみを読むことをすすめます。 -
左岸で意味のわからなかった最後の意味、ようやくわかりました。
左岸より読みやすかったです。
ただ、超能力とかは、理解できなかった。 -
寝る間も惜しんで読み進めてしまうくらい、熱中してしまった一冊。
個人的には、自分と重なる点が多く、まただからこそ、少し救われた部分もあった。超常現象や、スピリチュアルが苦手な人には、受け入れられないかもしれないけれど、たとえばよしもとばななが好きなひとには、当たり前のようにすんなり受け入れられると思う。
まだ左岸は読んでいないけれど、女性より、男性に読んでほしいと思った。
それは単に主人公・目線が男性だから、というわけではなく、その目線から描かれていてもなお(いるからこそ?)生々しい、女性の姿があるから。
九の人生をみつめようとすればするほど、人間として強く存在する女性の存在が、より際立った。
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『冷静と情熱の間』の著者二人による男女異なった視点の小説。でも今回は「恋愛」小説よりももっと長い目で見た男女の人生の物語で、より深い内容です。男性側の「右岸」女性側の「左岸」を交互に読んで楽しみました。読んでいる一週間はとても楽しかったです。何となくみえてしまう最後がちょっと駆け足な気がしたけど、それ以外は良かった。はじめて「右岸」「左岸」という言葉が出てくる場面は美しかったです。