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著者 :
  • 集英社
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感想 : 163
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087712988

感想・レビュー・書評

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  • OUTも読んだんだからINも読もう、と借りてきました。

    似たような話かな? と思ったらまるで違いました。

    なんかすごく気味が悪い話。
    タマキにはオットと息子がいるのに、その2人にはほとんど触れられず、タマキも全く家庭を省みてないというのが怖かった。
    なんだ? 婚姻関係続けてる意味は何?

    ○子が誰なのかすごく気になって、最後「○子なんていなかったのよ」で終わるんだったらガッカリだな〜と思ってましたが、さすが一筋縄ではいきませんでした。

  • 自分の恋愛と、小説の恋愛と交錯しながら、話が進む。
    結構おもかった。
    夜寝る前読むと、変な夢見たし(;´▽`A``

  • 小説家 緑川未来男が『無垢人』で書いた愛人「○子」、小説家 鈴木タマキが『淫』という小説を書くにあたり、○子を探す話。
    鈴木タマキ自身の編集者との激しい愛、『無垢人』の描写、関係者とのインタビューなど凝ったつくり。
    面白くはあったが、結局何が言いたかったのか。
    (図書館)

  • 何だかよくわからないままに終わってしまった。

    桐野ワールドはいづこ?

  • 表紙とタイトルからして「OUT」の続編かな?と勝手に思ってました。
    内容は別モノ。
    そこから冒頭部分も併せて肩すかしに合ったような感想をもちました。

    主人公は担当編集者と不倫の関係にあった女流作家。
    彼女は緑川未来男という小説家が書いた私小説「無垢人」の中に登場する、〇子という女性を主人公をした小説を書こうとしていた。
    「無垢人」は緑川が自身の妻と愛人をモデルとし、その修羅の日々を描いた小説で、〇子はその愛人。
    記号として名前が明かされていない〇子とは誰なのか?
    取材を進めていく彼女は「無垢人」に関わった人々と会い、それと同時進行で不倫相手との関係が回想されていく。

    最初に〇子のモデルではないか?と会った女性が変わった人で、しかも作家との関係が異常なものだったので興味をもちました。
    お、桐野夏生さんらしいじゃないか~。
    謎めいて衝撃的な話っぽいと期待して読んでいると、話が進むにつれてそうでもなくなりガッカリ。
    妻の異常な嫉妬と行動、そして関わってくる人々のちょっとズレた性格、そういうのはあるものの、最初に思い描いた印象と比べて「普通」だという印象をもちました。
    各章のタイトルがタイトルの「IN」に合わせて、淫、隠、因・・・と韻を踏んでるのは心憎いな~と思いましたが・・・。
    思わせぶりな割には物足りない内容というのが個人的な感想です。

  • この著者の作は、私には、本当に重いです。

    とにかく読後にどんよりとした空気を吸っているような気分になってしまいます。

    おそらく、桐野さんが描く女性があまりにリアルなせいかなとも思います。

  • 私にとって桐野夏生は江戸川乱歩小作家で女探偵「村野ミロ」シリーズの著者。
    その後はテーマが変わってしまったので、あまり読んでいません。
    久々に読みましたが、私はすっかり引き込まれ、一気に最後まで読みました。皆さんそうでもないのに逆に驚きを禁じえない感じ。

    不倫という形の2つの結末。主人公の女流作家の私生活とその女流作家が紐解こうとしている故大作家の私小説に登場する名の明かされない愛人の謎が絡み合って話は進みます。謎に迫りたくて読み進みました。
    ひとつ気持ち悪いのは。。。この方が推理作家としてデビューしていながら、謎解きのエピソードがすべて使われず中途半端にぶら下がったままで話が終わることでしょうか?
    ここで、星マイナス1.5くらい。
    星3.5。四捨五入で4とおまけしておきましょう。

  • 故人の作家の作品に出てきた不倫相手を探す物語。登場人物が作家ばかり。結局、特に盛り上がりもなく、過去の回想&インタビューがほとんどで、何なのかよくわからなかった。

  • 桐野さんのわかりやすい小説とは違い上質な方の小説。

  •  恋愛の抹殺---恋愛相手の心の抹殺---心からの抹殺---を書く女性作家・鈴木タマキの荒涼たる魂の遍路が、淫・・・隠・・・『無垢人』・・・因・・・陰・・・姻・・・「IN」と辿られてゆきます。

     タマキは担当編集者・阿部青司との不倫関係に終止符を打っていた。そんななか、タマキは往年の名作家・緑川未来男のスキャンダルめいた作品『無垢人』に惹かれ、恋愛相手の心(から)の抹殺をテーマにした小説『淫』の執筆を始める。
     作品『無垢人』に出てくる愛人「○子」という仮名の女は誰なのか・・・その正体を調べるために、名作家自身や当時の関係者が鬼籍に入りつつある中、生き残っている人たちへのインタビューを続けてゆく。

     『無垢人』は劇中劇ならぬ小説中小説です。
     緑川未来男が不倫相手の「○子」を主人公にして書いた小説としてINのなかで入れ子状態で描かれているのですが、この小説『無垢人』は実在の小説「死の棘」(島尾敏雄 著/1960年初版) のようです。
     というのは、4年前に「死の棘」(演劇企画集団THE・ガジラ )@シアタートラムを観ていて、その折にその原作である島尾の「死の棘」も読んでいたので、その酷似に思い当たったというわけです。

    「彼は、小説に命を懸ける、と何度も言った。」

    「それが真実かどうかは誰にもわからない。夫の真実、妻の真実、愛人の真実、子供たちの真実。各が真実と信じるものの集合が、事実という名の、過ぎゆく時間である。」

    「小説は悪魔ですか。それとも、作家が悪魔ですか?」

     今回も、桐野の作品は読むものをして、かなりの自省と覚悟を必要とさせる佳作であると思う。

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著者プロフィール

1951年金沢市生まれ。1993年『顔に降りかかる雨』で「江戸川乱歩賞」、98年『OUT』で「日本推理作家協会賞」、99年『柔らかな頬』で「直木賞」、03年『グロテスク』で「泉鏡花文学賞」、04年『残虐記』で「柴田錬三郎賞」、05年『魂萌え!』で「婦人公論文芸賞」、08年『東京島』で「谷崎潤一郎賞」、09年『女神記』で「紫式部文学賞」、10年・11年『ナニカアル』で、「島清恋愛文学賞」「読売文学賞」をW受賞する。15年「紫綬褒章」を受章、21年「早稲田大学坪内逍遥大賞」を受賞。23年『燕は戻ってこない』で、「毎日芸術賞」「吉川英治文学賞」の2賞を受賞する。日本ペンクラブ会長を務める。

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