- Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087713039
感想・レビュー・書評
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間もなく祇園祭ということで、久々の森見さん。
これからの時期にピッタリの作品。
最初はあまり引き込まれなかったのだけれど、
各章が分かれつつ、全てリンクされている構成の中、
いつの間にか森見ファンタジーの中。
お祭りの妖しい雰囲気の中、阿呆なことに全力を尽くす、
『偏屈王』元メンバー他(笑)
現実から宵山様の不思議な世界へ抜け出したい人に、
お勧めの一冊。
あぁ京都に行きたい。お祭りに行きたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
悲しみはそのまま胸のうちにあったけれども、今はそれを表に出すことはなくなっていた。街で行き過ぎる人たちは、浴衣姿で歩く彼のことを気楽な見物客としか思わなかったろう。病で咳きこみ続けると、やがて咳きこむ力さえなくなってしまう。しかし病は癒えたわけではない。
(P.147)
「信じますよ」
私は静かに言った。「信じます」
「とても不思議なことなんですよ」
「私も不思議な目に遭いました。だから信じます」
(P.202) -
初めて宵山を見た2013年夏。実際に見た宵山は、勇壮なわけではないのですが、ものすごい喧噪と狂騒を感じさせる、とても強烈な「熱気」でした。
「夜は短し歩けよ乙女」ですっかり魅了された作家である森見登美彦氏が、その宵山をタイトルに入れた本品を、このタイミングで読んだというのは、運命という言葉を好かないワシであっても、ちょっと、巡り合わせみたいなものを感じます。
作品自体は、一言で言うなら不思議です。でも、あのお祭りのもつ空気の中でなら、こんな不思議な物語がその裏で、その隣で、その中で紡がれていたところで、不思議ではないかもしれません。宵山を見て、本作を読むと、それがしっくりと来るから不思議です。
とまぁ、「不思議」の大安売りみたいな段落になってしまいましたが、その他にも、オムニバス形式のような視点切り替えの構成が面白かったです。ただ、物語がフワッとしたまま終わってしまった感はあり、そこには良し悪し意見が分かれそうです。 -
現実と幻想の間で、複数の物語が少しずつリンクしながら、しかし、パラレルワールドのように進みます。
子供のころは単純に楽しいお祭りも、少し冷静に見てみれば、一種異様な盛り上がりが感じられ、提灯の灯りなど異世界、非現実の世界への入り口のようにも感じられます。
色々な表情を見せる万華鏡のように、様々な主人公の視点から宵山の物語が作られる。
本作でも不思議な世界に迷い込んでしまったように感じられた。
今、自分が生きている世界は本当の世界であろうか、明日は来るのであろうか。 -
京都祇園祭宵山を舞台とした6話収録の短編集。
でも著者お得意のリンクが仕掛けられて、
聞いたことのある名前がポンポン違うお話にも登場してにんまり。
どうしようもない阿呆な話や、ちょっと不思議なミステリーや、
背中がぞくっとくる話もあり、色々なジャンルを楽しめますが、
全体的に言えばファンタジーなのかな。
日本三大祭に称される祇園祭の宵山。
読み終えてから検索してみて驚きました。凄い人人人…・
こりゃ姉妹も迷子になるわな(笑)
というわけで、バレエ教室の帰りにはぐれてしまう妹と姉のそれぞれの話や、
宵山を堪能すべくやってくる友人に、”ニセ宵山”を演出する話や、
阿呆大学生の青春物語を取り入れた、”ニセ宵山”の舞台裏話や、
ずっと宵山の1日を繰り返す人のお話などなど、
個人的には全部印象深く、全部面白く読みました。
細かなツッコミどころは多々ありますが、
それを差し引いても恐るべし森見登美彦。
阿呆とユーモア話以外にもぞくっとする話、なかなかのものですな。
何よりも読み終えた時に、京都に行きたくなります。
物語と同じところに行きたくなるって言うのは、
結構な褒め言葉ではないでしょうか。 -
宵山を舞台にしたファンタジー。
ただ少し作者の自己満足で終わってる気がします。
1つ1つの話ごとに、主人公を変えながら、物語を進めているのですが、
逆にそれが、複雑に難しくしていると思います。 -
日常から非日常の移り変わりが急展開すぎてついていけなった。
宵山劇場はとてもテンポがよく、面白かった。
やっぱり大学生がばたばたしているものを書くのが上手い。
巻き込む人と、巻き込まれる人がとても魅力的。
宵山回廊も不気味で良かった。
最初と最後を読むには、とても想像力が必要。
あと漢字力。 -
森見本即買い。
バカ話は好きだが、オカルトな不思議部分にあまり惹かれない。
いろんな森見カラーが出ているとは思う。