宵山万華鏡

著者 :
  • 集英社
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レビュー : 822
  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087713039

作品紹介・あらすじ

祇園祭宵山の京都。熱気あふれる祭りの夜には、現実と妖しの世界が入り乱れ、気をつけないと「大切な人」を失ってしまう-。幼い姉妹、ヘタレ大学生達、怪しげな骨董屋、失踪事件に巻き込まれた過去をもつ叔父と姪。様々な事情と思惑を抱え、人々は宵山へと迷い込んでいくが…!?くるくるとまわり続けるこの夜を抜け出すことは、できるのか。

感想・レビュー・書評

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  • 間もなく祇園祭ということで、久々の森見さん。
    これからの時期にピッタリの作品。

    最初はあまり引き込まれなかったのだけれど、
    各章が分かれつつ、全てリンクされている構成の中、
    いつの間にか森見ファンタジーの中。

    お祭りの妖しい雰囲気の中、阿呆なことに全力を尽くす、
    『偏屈王』元メンバー他(笑)

    現実から宵山様の不思議な世界へ抜け出したい人に、
    お勧めの一冊。

    あぁ京都に行きたい。お祭りに行きたい。

  • 「働く人の目の前で、日の高いうちから飲む麦酒はうまいなぁ。背徳的な味がするよう……」

    阿呆な計画に巻き込まれ、宵山の夜を駆け巡る仲間たち。年中行事により頻繁にバスの運行予定は狂うわ、観光客は多いわ、平日でも山伏御一行に遭遇するわ、帰路はいつもニッキの香りに満ちているわ…京都、先月まで通っていたけれどまことに油断ならないところである。
    宵山の夜、しれっとした顔で妖が紛れ込んでいてもおかしくない。
    宵山金魚、宵山劇場がたまらなく素敵。金太郎に睨まれて宵山様のところまで引っ立てられたい!

    千と千尋✖きつねのはなし✖夜は短し〜 な世界観。ところどころ、ひやりと怖かった。

  • 祭囃子の聴こえる宵山の夜、知られざる京都で開かれた宵山様のお祭り。
    仲の良い姉妹や、高校時代の友人や、画家と作家や、それぞれが体験した宵山の夜。

    それは霊験あらたかで、ときに奇々怪々で、気付けば恐怖に震え、知らずに優しさで包まれたような…そんな集大成が詰まった物語でした。

    森見さんは、やっぱり最高です。
    こんなにも摩訶不思議な世界を作り出して、さも異色の世界に自分も足を踏み入れた気分にさせてくれる技術。超一流だと思います。
    赤提灯や露店の賑わい、浴衣で京都を練り歩く人々の喧騒。屋台に吊るされて揺れる金魚。
    電飾で目がチカチカする祭の夜を味わった気分です!

    “人生には、意味の分からない遊び心も必要なのだよ“

    そう言われた気分です。

  • 最高!!これぞ森見ワールド。
    赤い浴衣の女の子たちに手を引かれて、私も宵山がみせる異世界に迷い込んだみたいな気分。
    金魚、赤い浴衣、風船、山鉾、鯉…紺色と桃色が混じり合う時間。

    失踪した女の子はホンモノの宵山様になったのかなぁ。
    バレエ姉妹の姉の方が会ったのはその女の子では???
    でも結局あれは何だったのか…って考えるよりも、この浮遊感のなかを漂っていたい!

    というか、この世界観を活字で表現できるのが本当にスゴイ。
    表紙の装丁も素晴らしい。
    あと、平成狸合戦ぽんぽこのあのシーンと被る。(笑)
    京都に、祇園祭に、行ってみたくなった。

  • 祇園祭の宵山様は、変幻自在で神出鬼没♪ 目くるめく森見ワンダーランドで、頭の天窓が開きました。
    ストーリーがあちこちでリンクするのが楽しい。再読したら新発見があるかも。
    「宵山金魚」から「宵山劇場」への流れが好き。被害、じゃなくて、もてなしを受けた藤田君、仕掛人の乙川さん、小長井、丸尾、高藪さん、岬先生、山田川、みんないい味出してた。
    あんなにお茶目だった乙川さんが、「宵山迷宮」では怪人物に…。一体何者?

  • 京都の祇園祭宵山で起きる摩訶不思議な出来事の数々。

    バレエお稽古の帰りに寄り道した宵山ではぐれてしまった姉妹。
    同級生の乙川にまんまと騙された偽宵山作戦。
    偽宵山作戦に駆り出された人たちの奮闘。
    かつて宵山で姿を消してしまった従姉妹と叔父の行く末。
    繰り返す日々に悩まされるときに乙川に差し出した物によって助かった画廊。

    赤い浴衣を身にまとって、ひしめき合う人たちの合間を泳ぐようにすり抜けていく女の子たち。
    ふてぶてしい顔をした妖怪じみた超金魚。

    現実のなかに入りまじった奇怪なものたちの世界。

    どこからが現実でどこまでが異世界なのか、境界線が曖昧になりつつも、祭りの喧騒を感じて魅力的だった。)^o^(

  • 京都の宵山の情景が目に浮かぶようで、きらきらしてとても綺麗でした。
    宵山劇場から面白みが分かってきて、最後の宵山万華鏡を読み終わった後は脱帽でした。

  • お久しぶりの森見さん。

    森見作品に限っては「阿呆」と「くだらない」が
    最大級の褒め言葉だと思っているのですが(笑)
    今回は阿呆はすっかり影を潜め、妖しい雰囲気の短編集。

    こういう感じのもすごく好きだわ~♪
    系統的には「きつねのはなし」に似ているかな。
    京都という土地の持つ魔力を存分に堪能できるお話です。

    読み進めていくうちに、宵山の奥へ奥へと誘われるような…
    赤い浴衣を着た女の子達に付いて行きたくなるような…
    何とも不思議な吸引力のある作品です。

    プッと笑えるお話もあれば、ちょっぴり怖いお話もあり。
    連作短編集になっていて、お話がリンクしているのが面白い。
    また京都に行きたくなりました。

    余談ですが、孫太郎虫をググってしまった事に後悔(笑)

  • 初めて宵山を見た2013年夏。実際に見た宵山は、勇壮なわけではないのですが、ものすごい喧噪と狂騒を感じさせる、とても強烈な「熱気」でした。

    「夜は短し歩けよ乙女」ですっかり魅了された作家である森見登美彦氏が、その宵山をタイトルに入れた本品を、このタイミングで読んだというのは、運命という言葉を好かないワシであっても、ちょっと、巡り合わせみたいなものを感じます。

    作品自体は、一言で言うなら不思議です。でも、あのお祭りのもつ空気の中でなら、こんな不思議な物語がその裏で、その隣で、その中で紡がれていたところで、不思議ではないかもしれません。宵山を見て、本作を読むと、それがしっくりと来るから不思議です。

    とまぁ、「不思議」の大安売りみたいな段落になってしまいましたが、その他にも、オムニバス形式のような視点切り替えの構成が面白かったです。ただ、物語がフワッとしたまま終わってしまった感はあり、そこには良し悪し意見が分かれそうです。

  • ちょっと不思議な話。と思ったら、どうも大掛かりな舞台装置と役者による悪戯らしい。と納得したら、奇妙な空間が混ざっている。
    一見、宵山を舞台にした短編集のようだが、1話1話がどこかで重なっている。夢現が曖昧な話も、同一時間軸における群像劇のような書き方も、私好み。宵山を見た(行った?)ことはないが、祭りの夜の、なんとなく非現実の入り混じっていそうな妖しげな雰囲気が、そのまま閉じ込められている気がする。
    そして、つい先日、「聖なる怠け者の冒険」を読んだ身としては、実は同時進行でぽんぽこ仮面騒動が起こっているのかしらと、想像してみたくなる。

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著者プロフィール

森見登美彦(もりみ・とみひこ)
1979年奈良県生まれ。京都大学農学部卒、同大学院農学研究科修士課程修了。
2003年、『太陽の塔』で日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。2006年に『夜は短し歩けよ乙女』で本屋大賞2位、山本周五郎賞などを受賞し注目を集める。2010年『ペンギン・ハイウェイ』で2010年日本SF大賞、2014年『聖なる怠け者の冒険』で第2回京都本大賞、2017年『夜行』で第7回広島本大賞をそれぞれ受賞。
2010年に『四畳半神話大系』がTVアニメ化、2018年8月に『ペンギン・ハイウェイ』が劇場アニメ化された。
『きつねのはなし』『新釈 走れメロス 他四篇』など、京都を舞台にした作品が多い。2018年11月に『熱帯』を刊行し、第160回直木賞にノミネートされた。

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