原稿零枚日記

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 988
感想 : 201
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087713602

感想・レビュー・書評

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  • あらすじを書くのがとても得意な小説家の日記。読んでいるうちに、不思議な世界に連れて行かれました。

  • 40:エッセイかと思って読み始めたら(日記風の)小説でした。原稿を書くこと=物語を生み出すことと、ひとの生死が対比になっているのかな、と強く思ったのですが、どうでしょう。ひとが生きていることの匂いたつような生々しさと、その真裏にある絶対の静けさ。小川さんの観察眼が鋭く細やかに、宝物を見るように描くエピソードは、すごい刺さる。えぐってくるというか。気持ち悪ささえ感じる、というのはこの作品では褒め言葉のような気がします。

  • 小川さんの日常を綴ったエッセイだと思ってわくわく読み出し、F温泉で食事をするあたりで、これは小説なのかもしれないとアテが外れたことに気付きましたが別のワクワクがやってきて大変満足して読了。不条理なことの中に生きることと死ぬことの捉えがたい不思議さが語られているような独特の雰囲気を堪能しました。一日の日記が独立していながら緩やかに繋がっていたのも見事でした。

  • 小川洋子さんの本でまさか爆笑するとは思わなかった。暗くて、怖くて、めっちゃ面白い。苔好きな人は必読。

  • 2009〜10年に「すばる」に15回連載されたものの単行本化。

    日記のモチーフにして、どこからが自意識過剰の妄想なのかよくわからないスタイルの作品だが、引き込まれていく小川ワールドの面白さ。

    一番面白いのは、あらすじ係の話。デビュー前に新人賞応募作品の下読みと200字のあらすじ作成の仕事をしていて、腕を上げ過ぎて、原作よりあらすじの方が面白くなって解雇されてしまう。

    現代アートの見学ツアーの話は、参加者が一人ずつ消えていくミステリー仕立てだが、集合時間厳守というルールのために助けずに置いて行くという不条理がおかしい。

  • エッセイでもない、創作でもない。なんだか不思議な日常を描いた物語。こういうの嫌いじゃないです。

    小説家に憧れながら「あらすじ」を語る才能を持って生まれた主人公。文化講演であらすじを語ったり、運動会荒らしとして学校を巡ったり、盆栽フェスティバルに行ってみたり。

    不思議な日常だけど、なんだか大切なことが書いてあるような気がするのは気のせいだろうか。

    この雰囲気が好き。

  • 女性小説家の、日常。
    苔を食べる。小学校の運動会への潜入と幸福感など。
    原稿零枚。進んでは戻る。

    ちょっと頭を休めたいときに読みたくなる本。気分転換になる。
    2016.2再読。

  • 図書館本。え、自伝?と思いきや、ぶっとんだ方向にお話が飛んでいって驚いた。そしてすっと現実に戻ってきたり。いい意味で振り回されっぱなしだった。さすが小川さん。好きだ。

  • 忘れられないのはカイロウドウケツとドウケツエビの話しでした
    日記形式も面白かった
    この作者の世界観に一度でもハマると他のも読みたくなる

  •  日記形式でお話が進む。ありふれた日常と幻想の世界との境界線が曖昧で、不思議な気持ちにさせられながら、至るところで生と死のにおいも感じた。終始静まりかえった雰囲気の中で、流暢で静謐な文章にうっとりする。
     また、肉体を描く際の表現力もすごい…。

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著者プロフィール

1962年、岡山市生まれ。88年、「揚羽蝶が壊れる時」により海燕新人文学賞、91年、「妊娠カレンダー」により芥川賞を受賞。『博士の愛した数式』で読売文学賞及び本屋大賞、『ブラフマンの埋葬』で泉鏡花文学賞、『ミーナの行進』で谷崎潤一郎賞、『ことり』で芸術選奨文部科学大臣賞受賞。その他の小説作品に『猫を抱いて象と泳ぐ』『琥珀のまたたき』『約束された移動』などがある。

「2023年 『川端康成の話をしようじゃないか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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