原稿零枚日記

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 988
感想 : 201
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087713602

感想・レビュー・書評

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  • 小川洋子さんコンプリートしたいな、と思ったのだけど「夜明けの縁をさ迷う人々」は一話でギブアップ、「人質の朗読会」は序章で満足してしまった。
    でも、こちらはとても楽しかった。
    「9月のある日(金)長編小説の取材のため…」を読んだ後、みっちり生えた苔を見る機会があったので、とても印象に残った。
    あとは靴を買いに行く話も。

    少し奇妙な日常、というところがちょっとクラフト・エヴィングっぽくて読みやすかったのだな、と。

    コンプリートはできそうにないけれど、少しづつ読める本を増やせたらな、と思う。

  • 作家の日記風の小説。
    著者の本当の話も少しは混じっているのかと思えるくらい、なんだか生々しさを感じた。
    小川氏の小説はいつも感じるけど。

    苔料理の話とかはちょっとないけど、運動会荒らしやパーティー荒らしなんかは、本当にいそう。

    そういう本当にいるかもしれないけど、いないかもしれない話や人をかかせるとうまいなあと思ってしまう。

  • 圧倒的な世界観にただただ没入。
    綴られてゆく言葉の端々に、冷静で確かな人間観察力を感じました。

    風変わりな異世界のド真ん中で、
    やり過ぎなくらい控え目で慎ましやかな主人公の姿が、
    時に可愛く、時に怪しく、時に可笑しく、時に哀しい。

  • 最初、エッセイなのかな?と思いました。

    どこにでもありそうな日常がつづられているのですが、
    いつの間にか、ふわふわと不思議な世界へ・・・

    主人公の女性がとてもかわいらしく、とても静かな気持ちで読むことができました。

  • 沈黙のなかに潜む、ささやかな狂気。夜に読んでいると、自分がどこまでも深い場所にもぐっていくような感覚になる。

  • 2012/08/16
    移動中

  • 小川洋子さんの書く文章は独特な世界観が確立されている。フランス映画と同じで、好きか嫌いかとかじゃなくて、雰囲気重視で観る感じ。読みたい欲求で読むのではなく、おさえとく感じ。だったら読まなきゃ良いのに、と自分でも思うのだけれど、無視できないのは好きってこと?

  • 物語にすぐ影響を受けやすい。映画のヒーローをみると、街の悪も誰かが闇に隠れて屠っているのではないかと夢想する。フィクションであることは理解しているのだけれども、作り手の「想像した世界」は、どこかに取っ掛かりというか、きっかけがあって生まれたものではないかと考えてしまう。

    本書はその夢想に拍車をかけるごとくの内容で、大げさではなくともありもしない出来事を、たんたんとした日常として、日記形式で綴られて行く。あまりにもたんたんとしているものだから、読み手はフィクションであることを忘れさせられてしまう。いや、もしかすると、一部は本当に筆者の日常かもしれない。現実か非現実化か。そんなことはもはや、どうでもよくなり、ただそこにある筆者の行動、出来事を、こちらもたんたんと追いかけてしまう。

    大事件が起こるわけでもないが、現実と虚構のはざまにある、奇妙な「日常」を垣間見るための、すこし不思議な物語。

  • 独特なテンポで並ぶ表現で綴られた日記に非日常的な空気を感じる。
    どこまでが現実なのか曖昧に溶けていくような、終始不思議な雰囲気で。ここからも、実物以上に面白くあらすじをまとめてしまう主人公のらしさが出ているのかも。
    そんな日記のなかでも、ふとした時に漂う侘びしさがなんかちょっと切なくさせる。

  • 久々の小川洋子さん。
    読んだ感じ、どこか初期作品に近いような感じをうけた。「博士の愛した数式」や「猫を抱いて象と泳ぐ」とはまた全然違う感覚。勿論初期作品と比べて表現は上がっていると思うけれども、それでも初期の作品をほうふつとさせるような「鋭さ」みたいなところが垣間見える作品だった。

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著者プロフィール

1962年、岡山市生まれ。88年、「揚羽蝶が壊れる時」により海燕新人文学賞、91年、「妊娠カレンダー」により芥川賞を受賞。『博士の愛した数式』で読売文学賞及び本屋大賞、『ブラフマンの埋葬』で泉鏡花文学賞、『ミーナの行進』で谷崎潤一郎賞、『ことり』で芸術選奨文部科学大臣賞受賞。その他の小説作品に『猫を抱いて象と泳ぐ』『琥珀のまたたき』『約束された移動』などがある。

「2023年 『川端康成の話をしようじゃないか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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