紅蓮の雪

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 271
感想 : 49
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087717389

感想・レビュー・書評

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  • ここ最近爽やか系が続いて、作風変わった?と心配しつつ物足りなさを感じていた遠田作品。今作は、作者自ら「ドロドロにも程がある」と言っていたので楽しみにしていた。

    読みやすく先が気になる展開、鉢木座の面々の個性、慈丹の眩しいばかりの魅力に心沸き立つ。だけど肝心の主人公・伊吹がなんともいけない。今までの作品では暗いなら暗いなり、重いなら重いなりの魅力があったのに、今回はどうにも伊吹を好きになれない。それどころかイライラさせられるばかり。
    それはひとえに「汚い」という思いへの共感が湧かないからだと思う。

    確かに両親は禁忌を犯したのだろう。だけど子供たちにとってはそこまでのことかなと。今のご時世、同性同士の事実婚もありだし、遺伝学上はどうあれ、そこまで死ぬほど自分を汚いと悩むべきことなのかな〜と疑問。周りの気持ち悪がり方が昔の感覚すぎる。このテーマなら、時代設定を50年前くらいにしても良かったのではと思う。
    作者もそこのところ「時代錯誤感が出ている」と自覚しているようだけど、結局最後まで伊吹のような若者がそこまで自虐に走ることに納得しきれずに読了。

    慈丹の美しさ、真っ直ぐさに救われ、ラストは爽やかな気持ちで終われたのが救い。

  • ゲップが出るくらいの遠田ワールドでした。まあ面白いので一気読みでしたが、この大衆演劇とか歌舞伎などは苦手なのでついて行くのが大変かなあ。

  • 旅芸人一座の座長の子供だった兄妹の因果が双子の子供へと続く.愛を知らずに育った二人だけの世界を頼りに,普通の人の人生を希求する.本当に哀しい物語だった.
    ただ,若座長の慈丹の懐の広い優しさに溢れた人柄にこの物語は救われている.もう,その姿気風の良さ,実在の人物なら絶対舞台を見に行きます.

  • (図書館)

    近親相姦モノって全然共感出来ないんだけど(当たり前か笑)、このお話は、それがどうして起きたのか、アリにしてしまう遠田さんの筆力は凄いと思う。

    伊吹と朱里の両親の謎が明かされて、後は母と伊吹も死ぬしかない状況から(物語としても)救い出した慈丹がこの物語の主役だったんだなと思う。
    伊吹は暗くてイジイジしてるだけだから笑(まぁ、まだ若くて経験が足りなくて田舎の子だから世間が狭いんだろうけど)

    遠田作品は、初めて読んだときからいつも思うけど、出てくる女の子がめちゃくちゃ美形なんだよね。朱里なんてほとんど出てこないのに、凄い綺麗な女の子が想像できる。(お母さんも美人です。寧々ちゃんもめっちゃ可愛いんだろうな)
    文字で読んでるのに、女の子が可愛いって印象が本当に強くて凄い。

    (あらすじ)
    両親に疎まれて育った双子の伊吹と朱里。
    ある冬、朱里は地元の城の石垣から飛び降りてしまう。大学を辞め、朱里が死んだ原因を探すうちに大衆劇団鉢木座を観劇し、入団することになる。
    鉢木座は実は父母がいた劇団だった。父母の実兄である現座長から聞かされる真実。それを聞いて、実の兄弟を好きになってしまった母と同じ血を経つために朱里が飛び降りたと知る伊吹。
    疎まれて育ったが故に自己嫌悪で人に触れることも出来ない伊吹を、天真爛漫さで芝居の世界という現実に引き留めようとする若座長慈丹。

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著者プロフィール

遠田潤子
1966年大阪府生まれ。2009年「月桃夜」で第21回日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。16年『雪の鉄樹』が「本の雑誌が選ぶ2016年度文庫ベスト10」第1位、2017年『オブリヴィオン』が「本の雑誌が選ぶ2017年度ベスト10」第1位、『冬雷』が第1回未来屋小説大賞を受賞。著書に『銀花の蔵』『人でなしの櫻』など。

「2022年 『イオカステの揺籃』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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