マスカレード・ナイト

著者 :
  • 集英社
3.73
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本棚登録 : 4906
レビュー : 487
  • Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087754384

作品紹介・あらすじ

若い女性が殺害された不可解な事件。警視庁に届いた一通の密告状。
犯人は、コルテシア東京のカウントダウンパーティに姿を現す!? あのホテルウーマンと刑事のコンビ、再び――。

感想・レビュー・書評

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  • 今回は大晦日から正月にかけての事件。「無理」という言葉を自ら禁じている優秀なホテル・コンセルジュの山岸尚美は、またあの新田刑事がやって来ると知って思わず胸の中で呟いた。「無理!」

    若い女性の感電死事件を調べている新田たち警視庁に、「犯人がホテル・コルテシア東京のカウントダウン・パーティーに現れる」と匿名の密告状が入る。またもや、新田たちのホテル潜入捜査が始まった。

    約2年前に「マスカレード」シリーズが始まった時には、帯には「東野圭吾の新シリーズ」と銘打っていた筈だ。そうやって本の「仮面」には偽りの言葉をちらつかせて商品を買わす。今回読んだら解るように、新田と山岸の恋は進むはずもないし、これ以上シリーズの続きが作られるはずもない。(警察による「たまたま」の潜入捜査という)設定から行ってそれは明らかなのに、ついついシリーズになるかもしれないと、読者を誘う。ホントにいやらしい「仮面」である。

    今回はかなり凝っていて、これで犯人に気がついていたならば、私はその読者を尊敬する。明らかにわかるような伏線もなかった(犯人を無事に逮捕できたのは、偶然の要素が高いし、犯人が完全犯罪を目指してなかったからとも思える)。それよりも本書の主眼は、不倫とかのためにホテルが使われていても、気づかないフリをするフロントや、要望を言われたら決して「できない」とは言わないコンセルジュの仕事などのホテルの特殊性にあるのは間違いない。ホテル・サスペンスの末尾を飾る楽しい作品でした。

    今年もたいへんお世話になりました。良いお年をお迎えください。

  • 「マスカレードホテル」に続くシリーズ第3作目。内容は「マスカレードホテル」であるホテル・コルテシア東京でまたもや事件が起こる。そして主人公2人・新田浩介と山岸尚美が事件を解決していく。

    3作目となり、少々お腹がいっぱいになってきた。ただ前回の『イブ』よりもふたりのやりとりがある分、華があり、問題解決に向かうテンポの良さという点で読みやすい。さらには『マスカレードホテル』で、主人公のふたり以外の主要な登場人物も把握しているので理解はしやすかった。

    ここに来て、ようやく『マスカレード』の意味を調べてみた。『マスカレード(masquerade)とは、仮面舞踏会、仮装大会、仮装、とのこと。』と、であれば本作がまさに マスカレード・ナイトにおける殺人でる。前作まではホテル宿泊客もホテル側も見えない仮面をつけて仮装をしていると言う意味であったのだろうが、本作はまさにその大成となるのであろう(と、考えこれ以上のシリーズは出ないで踏んだ)。

    若い女性トリマー・和泉春菜が自宅マンションで殺害された不可解な事件。警視庁に届いた密告状によると『殺害事件の犯人がコルテシア東京のカウントダウンパーティ(ホテル・コルテシア東京年越しカウントダウン・マスカレード・パーティー・ナイト: 通称マスカレード・ナイト)に姿を現す』という予告。

    そこで刑事・新田浩介が、再びホテルマンに扮するのだが…前回と異なるのは、今回の新田のお目付役がフロントオフィス・アシスタント・マネジャーの氏原祐作であること。前作の山岸尚美のように柔軟な考えをもっていない。そのため警察の張り込みは、ホテル業務の営業妨害と考えて、新田には、フロント業務を一切手伝わせない。フロントで何もしないでホテルマンが突っ立っているなんて、不自然だし、犯人にしてみれば、不自然に写るのではないかと案じてしまう。そして、何より新田のフロントクラークの描写を楽しみにしていたので、少し残念に思った。

    一方で尚美は、フロントクラークからコンシェルジュに異動していた。尚美の「無理です」は禁句の精神で挑むコンシェルジュは最強であろう。小説だからではあるが、理想のホテルマンである。

    本作においてもホテル宿泊客の中で、不審な客が何組か上がってきている。それぞれに仮面を被っている。

    ロイヤル・スイートに宿泊している日下部篤哉と特別支援学校の教員・苅野妙子の仮面。
    コーナー・スイートに宿泊する中根緑(牧村緑)と森沢光留の仮面。
    曽根昌明とその妻・曽根万智子、その息子・曽根英太の仮面。
    曽根昌明の不倫相手で、万智子の高校時代の同級生である貝塚由里の仮面。
    浦辺幹夫(内山幹夫)の仮面。
    それぞれに仮面を被り、いつもの自分とは異なる彼ら自身を演じる。

    今回もそれぞれの仮面を剥がし事件を解決していく刑事と、宿泊客たちが着けている仮面を受け入れているホテルマンとの考え方の違いが衝突する。

    自分がどんな時に仮面をつけるのか、あるいはいつもと異なる自分になるのかを考えた。誰しもがそうではないと思うが、自分自身の心の動きに応じた仮面を持っている気がする。例えば、家で家族といる自分は、外で友達と会っている時の自分とはちがう。それを仮面と言うのであれば、やはり「分人」の考え方と同義であるように思えた。

    現実はこんなに手の込んだ犯罪はないだろうとなかば小説として読んでしまったが、心理を読み解いていく推理小説は面白い。

  •  以前に「マスカレード・ホテル」を映画で鑑賞し思い出したように、「マスカレード・イブ」を本棚から手に取って読み始めると、過去に読んだ記憶が甦りdbを検索したら再読だった。勿論再読でもおもしろい。

    「イブ」は「マスカレード・ホテル」の伏線の一部が書かれています。時系列に読むなら、「イブ」が先と思うけれど、出版は「ホテル」が先になっています。おそらく伏線は書き足したと思う。教材に例えるなら「イブ」が副教材の位置付けではなかろうか。

     前置きはさておき、ホテルシリーズは、「ナイト」もあるので早速買い求めた。
     テーマはマスカレード(仮面舞踏会)ですね。物語の舞台をホテルにしたというところが面白い。一流のホテルのコンシェルジュを担当している山岸尚美と切れ者刑事新田浩介は、またしても同じホテルで事件と対峙することになる。二人の間は敵対していない。寧ろ尚美にとって、新田は命の恩人なのだ。

     しかし、ホテルはお客様の仮面を、知っていても剝がしてはならないし、守秘義務を負っている。それが仮に道徳に反していてもだ。方や警察は、犯罪(殺人事件)に結びつく重大な可能性を秘めているのなら、多少手荒な行為であっても、情報入手のために個人情報を調べる必要があり犯罪を未然に防ぐという点については相反する。実際に作品の中でも、数々の対立で揉め事を起こしているが、ホテル側としては、最悪の事態を回避するため、出来るだけ協力すると約束したのだ。

     事件は、十二月三十一日大晦日の午後十一時過ぎに行われると密告状が警察に届いたのだ。ホテル側は「マスカレード・ナイト」というイベントを企画し、お客様に仮装を呼びかけ午前零時までは、思いっきり仮装と歓談を楽しみましょうというものでカウントダウンをもって終了する。当然顔には覆面をしている。ある人はマイケルジャクソン・ピエロや若い女性はウェディングドレスを着ている。仮面に隠された素顔が、善良なのか否かは分からない。警察は素顔を届けるようホテルに要請するが、総支配人が却下する。

     窮地に立たされた警察は、徹底的に要注意人物をマークするのです。勿論、潜入捜査は、数日前から実施している。この作品の中で直接事件に結びつかないエピソードも面白い。
     あらゆる可能性を模索している新田は、単独で捜査を能勢という刑事に外部の情報収集を依頼している。この刑事は、なかなか渋い味を出し、記憶に残る刑事です。「ホテル」では、新田と尚美二人だけの食事を演出しました。さて今回は?
     キーワードは「超望遠レンズ」かな!
     実におもしろい。

  • 4.4
    マスカレードホテルを読んだあと読みました。
    面白かったんですが、マスカレードホテルの方が良かったですね、山岸さんは登場回数は多かったものの魅力が半減してる感じがしました。
    無理難題を解決するコンシェルジュですが、ちょっと感情移入出来なかったですね、氏原さん?氏家さん?だったか、、この人とのやり取りも最終的にはもう一歩踏み込むのかと楽しみにしてましたが、意外とあっさり。
    ストーリーの仕掛けはさすが東野圭吾という感じです、物語の骨格は良かったですが、周囲の登場人物の関連する話をもっと読みたかった、それをやると本が分厚くなっちゃうでしょうけど、、
    山岸さんロスにいっちゃうから、続編は無いんですかね、、ホテルコルテシアロサンゼルスで事件とか笑笑
    でも新田さんがどう絡むのか、なんとか強引な手法で二人のコンビを読みたいです。

  • マスカレードシリーズ3作目。今回も面白かった!このシリーズ好きだな。
    ホテルを訪れる、お客様の仮面を被った人々に私もかなり騙された。
    事件の真相は、何人もの人物が複雑に絡み合ったもので、到底予想できるものではなかった。
    それにしても、コンシェルジュの仕事は本当にどんな無理難題にも「出来ません」と言わないのかな?!尚美が抱える仕事があまりにも大変そうで、同情したくなってしまう。
    新田と尚美の関係性が今度こそ変化するかと思ったら、しなかった笑

  • 若い女性が殺害された不可解な事件。警視庁に届いた一通の密告状。
    犯人は、コルテシア東京のカウントダウンパーティに姿を現す!? あのホテルウーマンと刑事のコンビ、再び――。
    「Amazon 内容紹介」より


    今回もなかなかに複雑だった.全然関係ないはずのことがからんでいたから余計に複雑に見えたんだと思われる.「ホテルに来る人は仮面をかぶっている」、という名言が前のシリーズで出ていたけど、今回はほんとに仮装パーティで仮面かぶってるしww その辺もなかなかいいなと思った.

    で、この本を読んでいると、人の行動を決めるのはやっぱり心とことばなんだなと思う.そして、その心とことばがそのまま100%伝わることもないんだろうなということも改めて思った.共感はできても、100%はありえない.わずかなすれ違いが妄想を生んで、人を行動するに至らしめる.そういうすれ違いが生む悲劇を感じた.

  • さすがの東野圭吾作品で、1日で一気読み。

    このシリーズはホテルの従業員である山岸尚美さんの魅力が光り、その魅力はミステリー部分が翳るほど。

    殺人事件が起きなくても、山岸さんに次々に起こる難問は、それだけで十分な読み物になってしまうほど魅力的に描かれている。

    ホテルマンの話だけでも盛りだくさんなのに、そこへ複雑な殺人事件が絡んでくるのだから面白くないわけがない!

    一点気になるとすればスイトピー。あれは怒りを買わないか??と思ったくらい。受け取り方は人によって色々かもしれないが(^_^;)

    いやしかし、さすがの東野作品。丸1日ドラマを見ているように楽しく過ごさせて頂いた(*^^*)

  • 新田・能勢コンビ(?)の復活が嬉しい!
    そしてホテルマンたちのプロフェッショナルぶりも、大いに刺激されました。かっこいいなぁ。
    『マスカレード・ホテル』の登場人物たちに加えて、新登場の曲者(笑)、氏原さんもいいキャラしてる。面白くて一気読みでした!

  • 東野さん、どうしてこんなに文章が巧いのか!
    スラスラとなんのひっかかりもなく
    どんどん先を読めてしまうのだ。
    (しかも面白いから途中で止められない・・・)
    でもその弊害として、
    確かに読み終わったはずなのに
    しばらくするときれいさっぱり内容を忘れてしまうということがしばしばおこるのです・・・あまりにサッサと読み過ぎてしまって。。。

    この本も、最後まで
    犯人は誰?という推理の面白さを存分に味わうとともに一流ホテルの舞台裏を覗き見できる面白い小説でした。。。が、、、、またしても
    一気に読み過ぎてしまった(>_<)
    まぁ、いいか。
    一年後くらいにまた新鮮な気持ちで再読する楽しみが味わえると思えば。

  • 続きものって、時が経つとやっぱり前作を忘れてしまいますね。
    でも新田さんと山岸さんの存在は覚えてますけど(笑)

    今回はなんかピンときませんでした。ごめんなさい。
    登場人物がごちゃごちゃしてたし、犯人像もいまいちスッと入ってきませんでした。

    とにかくホテルの仕事は大変ですね。

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著者プロフィール

東野圭吾(ひがしの けいご)
1958年大阪市生野区生まれ。大阪府立大学工学部電気工学科卒。大学在学中はアーチェリー部主将を務める。1981年に日本電装株式会社(現デンソー)にエンジニアとして入社し、勤務の傍ら推理小説を執筆する。1985年『放課後』で第31回江戸川乱歩賞を受賞し、小説家としてのキャリアをスタート。2006年『容疑者Xの献身』で第134回直木三十五賞を受賞。2013年『夢幻花』では第26回柴田錬三郎賞を受賞、2014年『祈りの幕が下りる時』で第48回吉川英治文学賞受賞。現在、直木三十五賞選考委員を務めている。代表作としてガリレオ・新参者シリーズに加え、映画化された『手紙』『ラプラスの魔女』。ほかにもテレビドラマ・映画化された作品が多い。2018-19年の作品では、『人魚の眠る家』、『マスカレード・ホテル』、『ダイイング・アイ』、そして今後の映画化作として玉森裕太、吉岡里帆、染谷将太らの共演作『パラレルワールド・ラブストーリー』(2019年5月31日映画公開)がある。なお、中国で『ナミヤ雑貨店の奇蹟-再生-』が舞台化・映画化され、映画はジャッキー・チェンが西田敏行と同じ雑貨店店主役で出演する。2019年7月5日、「令和」初の最新書き下ろし長編ミステリー『希望の糸』を刊行。

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