遙かなる城沼

著者 :
  • 小学館
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本棚登録 : 46
感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093863902

作品紹介・あらすじ

人の絆の大切さを描いた書き下ろし時代小説

館林藩の武士である村瀬家の長男惣一郎は、弟や妹、友人と塾や道場通いを続けていたが、藩校に行くことになった弟に幼馴染みの寿太郎が乱暴し、惣一郎から離れていった。父源吾は、罪人を逃がしたことで家禄を減らされていたが、何か事情がありそうだった。そのうち成長した惣一郎は、病に倒れた父に代わって藩の仕事を行うようになる。
そんなある日、筆頭家老の岸田が殺された。表向きは、病死とされた。それは藩を二分しての内紛が背景にあり、源吾は牢破りの件もその派閥争いと関わりがあると、真相を語ったのだった。
やがて、浜田藩への国替えが決まる。嫁を迎え子どもの生まれた惣一郎は、家族とともに、主君の松平斉厚に従った。そこに故郷に帰りたいと、寿太郎からの手紙が届く――。
家族や友情の絆の大切さを歌い上げた、著者久々の書き下ろし時代小説。

感想・レビュー・書評

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  • 最初のページを読んだだけで、これは良作だなと思えた。最後までその気持ちは変わらなかった。ずっと安心して読んでいられた。
    過不足なくちょうど良かった。
    ほっこりした読後感だった。

    ところで、先程本書への作品紹介をクリックしてみたのだが、やたら長文だなと思い読んでみると、なかなかストーリーを明かしていて驚いた。なんだこりゃ。

  • 宮本昌孝 『藩校早春賦』を思い出す武士YA小説でした。
    勉学に秀でる弟と剣術に才がある妹その二人に比べて勉学も剣術も普通な嫡男の鬱屈から誠実に生きようとする流れが正しくYAでした。
    いつの時代も思春期の思い悩みは特有よなあ……と思いつつ幼馴染の寿太郎は母親が毒親であることを差し引いてもこじらせすぎのような気がします。もう一人の幼馴染の梅ちゃんがいいヤツでした。
    ラストは青春時代の終わりというには物悲しすぎて爽やかさは少なめでした。

  • 大好きな安住さんなのですが期待外れ。
    少年武士の成長物語。
    藤沢周平の名作「蝉しぐれ」、葉室麟の「銀漢の腑」、宮本昌孝の「夏雲あがれ」、こうした少年の成長物語によくあるような3人組が主人公です。
    しかし、そのうちの一人が負け犬体質というのが特徴ですが、どうもそれが物語の面白さに全く貢献していないと思います(通常なら癒し系でしょうね。能力は無くても前向きで、周りを心地よくさせる)。
    それと、やはり物語全体を盛り上げ、少年たちの青龍の志を示すような事件がないのも肩透かしを感じさせます。
    期待が高すぎたのかもしれませんが。。。

  • L

    雰囲気は葉室作品。
    突出して語るべきところがない。惣一郎の成長記。学問に秀でた弟、剣を鍛錬する妹への劣等感に苛まれる平凡な兄。過去に藩政に関わる事件に関わり、それをひた隠す父。前を向く友人と母のプレッシャーに押しつぶされる友人。
    …物語のどこが山だったんだろうか。
    つまらないわけじゃない。話の続きが気になって読み進めるも、期待した内容はなく。期待が大きすぎて肩透かし的な。
    ある若者の、心の持ちようを描いたのか。
    現代にも通じるところだけど、そこを読ませたかったのなら、個人的な期待とは違ったのかも。

  • 頭の良い弟、剣術の才がある妹、何をやってもそこそこな兄。・・・でも、実父の過去にあった出来事の真相を知ってからは、たくましくなった。
    やるじゃん、惣一郎!と言いたい。
    最後、尻すぼみな感じがして、残念。

  • 友情がテーマの話。こういう雰囲気は葉室氏と似ているけれど、安住さんの方が柔らかい気がします。お家騒動、派閥争いはあるけれど突き詰めないところに救いがあって、ほっとします。
    惣一郎は出来が良い秀才の弟とお転婆な妹を持ち、自分に自信がなかったのですが、慎重で思いやりがあり、理解ある家族に支えられ自分の道を歩んでいきます。対照的に幼馴染の寿太郎は母の期待に押しつぶされ、己を見失ってしまいます。惣一郎は寿太郎を救えるのか…。
     心弱く、少しずつ堕ちていく寿太郎のことをどうしようもないと思いつつ、憎めないなぁ。

  • いいですねえ。木曜時代劇でやって欲しいです。終盤ちょっと急ぎ過ぎたかと思われますが、続編も書いてもらいたいです。

  • 地方の藩での青春、友情、成長、そして家族の絆を大切に、爽やかに、描かれている、とても良い作品です。
    どなたにもお勧めします。

  • 館林の徒目付の倅に生まれた惣一郎は、秀才の弟、剣の才をもつ妹とともに、ふがいない兄としての思いとともに塾や道場に通っていた。
    友の離反、父の病、筆頭家老の暗殺、館林から浜田への国替えを経て、成長していく下級武士の日常を切々と描いた力作。

  • わかるわぁ、惣一郎の劣等感。自分はいなくてもいいんじゃないかと思って落ち込んじゃう気持ち。

    でも大人になっていくにつれ少しずつ変化が・・・。自分に与えられたお役をこなし、たぶんその頃には昔の劣等感はあまり気にならなくなっていたのかな。でもいつまでも謙虚で控えめなところは変わらず。

    道を外しかけていく幼なじみを案じ、家や家族を思い、何か役に立ちたいと思うところもよかった。

    男の子は外の世界を知ったり、働き始めたりすると急に頼もしくなるね。

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