ウズタマ

著者 :
  • 小学館
3.89
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感想 : 122
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  • Amazon.co.jp ・本 (293ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093864879

感想・レビュー・書評

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  • ウズタマ、は、うずらたまご。


    額賀澪さんの他の作品の感想を書いていて、過去作を振り返っていたら、なんと!この作品の感想を書き忘れていた。

    この作品は、良かった。
    ずいぶん前に読んだので詳しいことはちっとも書けないけれど、星4つを付けたことは間違いない。
    家族でなくても、さまざまなことを乗り越えて築くことができるもの。
    理屈でなく、感じることを受け入れることの難しさ。
    そんなことを思った記憶が。

    良かった作品ほど、落ち着いてちゃんと感想を書こうとしてるうちに書きそびれることがある。
    あー、しまった。
    もし再読する機会があったら、今度こそもっとちゃんと書こう…

  • めちゃくちゃ泣きました。

    誰かのために、自分の全てをなげうってしまえる。
    血が繋がっているか否かではなく、どれだけその人の心と繋がれたかどうかが重要なのかもしれない。

    悟の人生考えると涙が止まらないけれど、周作との第二の人生はすごくすごく幸多いものだと信じて。

  • ストーリーは展開が分かりやすく、伏線提示してくれているので追いやすかったです。重さもあるけど、こういう人の想いが詰まった話は大好きです。

  • 2人の孤独な男達に有った共通点。普通では理解出来ない生活。しかし、その中に家族としての幸せが有った。人の繋がり、幸せを考える物語。
    通勤電車の中で読んだが、前半の事件は朝からテンションが下がる展開。真実が少しずつ見えてくると読み始めの頃に抱いた登場人物へのイメージがどんどん変化してくる。物語りは、激しく揺れ動く出来事が続く。キーワードは「うずらの卵」、「なんでも券」。冷たい氷が溶けるようにゆっくりと「あの頃」が2人の心に蘇ってくる。家族の定義ってなんだろう?と考えつつ、読み終えた時にほっとした。

  • 最後まで読んでボロボロ泣いた〜。
    ウズタマのタイトルの意味、後半でようやくわかった。
    時間が行ったり来たりだけど、分かりにくいことはなく、どんどん読み進められた!
    本当に自分の人生を犠牲にして、赤の他人のちびっこ(彼にとっては赤の他人ではないのか)を守るようなこと、できるのかなぁ。

  • 父親と二人で暮らしていた周作。シングルマザーの紫織と結婚という時、父より誰かが貯めた預金通帳を手渡される。詳しいことを聞き出す前に父は倒れてしまう。調べを進めると、母親は傷害致死事件の被害者ということが発覚。過去を明らかにしようとする周作。自分の母のこと、幼い頃の記憶、紫織の子供・父親のこと、家族の物語。タイトル、装丁のイメージとは少々違かったけれど、それぞれの思い(悲しみ、愛しさ、寂しさ)が凝縮された物語でした。しかし、未成の子が背負ってしまうのは悲しすぎだ。血の繋がりがなくとも家族でありたいという想い、良かったですが、少々劇的すぎかな。

  • ウズタマ。

    「うずらの卵、のせてほしい」
    「お前、そればっかりだな」

    読み終えたあとに、せつなさと、ふんわりした温かさと、本当の意味での家族って何なの?血の繋がりだけが絆なの?そんなことを考えさせ、気持ちの中に残してくれる物語。

  • どんな展開になるの? 自分の過去を探る?
    こんな悲しい出来事。覚えていないのなら、子供に思い出させるようなことはしないな。
    それでもある年齢になったら真実を知ってほしいと思うのか。だから、通帳を渡したんだもんね。
    ここまで調べて、自分が小さい頃、そこまで大切に育てられたとわかったら、これ以上のことはない。

  • 主人公の周作はもうすぐ結婚をする。
    しかし、脳梗塞で父が倒れてしまう。
    そこで、周作は初めて自分の過去を探る。
    25年前に自分に父に母に何が起こったのか。
    謎の青年は誰なのか。

    という感じ。

    父や皆瀬さんがとった策は、
    本当に周作を救ったのだろうか。
    決して最善策ではないと思う。
    でも、そうしてしまったのだ。

    25年後の「なんでもけん」で
    皆瀬さんの決意に揺るぎないものを感じた。
    たとえ短い期間でも一緒に暮らしたことは大切な
    周作の基盤になっているのだろうと納得。

    最後の水族館のシーンは
    暖かい空気が流れていてよかった。

    ただ、私の中ではお母さんがかわいそうだな、
    という気持ちは残ってしまった。
    それは多分、私か母だからでしょう。
    同様の物語が父と母が入れ替わっていたら
    すんなり受け入れたかもしれないし。
    勝手なもんです。

    色々考えさせられる、いい作品です。

  • 遠くて古い、幼い頃の微かな記憶。
    キャベツやピーマン、玉ねぎがこんもり盛られた野菜たっぷりの塩ラーメン。
    その真ん中にはウズラの卵がちょこんと一つのっている。
    その特製ラーメンを夢中で食べる幼い頃の自分を、そっと見守る優しい眼差し…。

    幼い頃当たり前のように食べていた家庭の味は、特別なご馳走でもなく、どちらかと言えば在り合わせの材料でちゃちゃっと簡単に作った手料理。
    けれど、その「味」は誰にも再現できない。
    大人になって真似しようとしても何故か全く違ったものになってしまう。
    幼い頃の楽しかった記憶と今を繋いでくれたあの「味」。
    一人でいることが寂しくて怖い夜も、幼い頃に食べた懐かしいあの「味」を思い出せたら、みんなで一緒に賑やかに食卓を囲んだ記憶を辿ることができれば、幸せな気持ちもきっと甦る。

    私も今度から塩ラーメンを作る時は一手間かけてみようかな。ウズタマもちょこんとのせて。

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著者プロフィール

1990年、茨城県生まれ。日本大学芸術学部卒業。2015年、「ウインドノーツ」(刊行時に『屋上のウインドノーツ』と改題)で第22回松本清張賞、同年、『ヒトリコ』で第16回小学館文庫小説賞を受賞する。著書に、『ラベンダーとソプラノ』『モノクロの夏に帰る』『弊社は買収されました!』『世界の美しさを思い知れ』『風は山から吹いている』『沖晴くんの涙を殺して』、「タスキメシ」シリーズなど。

「2023年 『転職の魔王様』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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