- Amazon.co.jp ・本 (283ページ)
- / ISBN・EAN: 9784093865869
感想・レビュー・書評
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やっぱりお料理の話は楽しいです。自分もいろいろ作ってみたくなりとうもろこしのハンバーグを作りました。
歴史ある料理学校の過去の話と今の話が交差していておもしろかったです。留希子と坂崎さんのやりとりも。
しずえさんの生き方は、切なかったけど最後のところで少し報われた気がしました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
品川留希子(しながわるきこ)はフリーのシステムエンジニア。
自分の食生活を見直すために自炊を心掛けるようになり、レンジでできる簡単メニューをツイッターにあげるうち、人気となり、徐々に料理の仕事が来るようになった。
実は彼女の実家は、代々「品川料理学園」を経営している。
留希子が継げば5代目のはずだが、祖母や母と対立して家を出ていた。
時代にそぐわない気取った西洋料理には反発があるし、当然の如く後を継がせるために婿を当てがわれそうになったり、何もかもが嫌になったのだ。
そして、いよいよ料理家としてメジャーデビューか?!という時になんと実家から宣戦布告?
現代のエピソードの合間に、昭和の初めの頃の“しずえさん”のエピソードが挟まれる。
品川家に女中さんとして雇われた彼女は、まだ家庭に普及していない西洋野菜や肉を使って、誰でも作れるレシピを作るよう二代目の丈太郎に命じられて試行錯誤する。
留希子の料理の才能は、受け継がれたものであるし、家庭で簡単に作れる料理を広めて、日本人の食卓を豊かにしたい、という願いも、実は脈々と受け継がれているのである。
同居する風花(ふうか)が、料理できない人の代表として、できる人である留希子が気付かないことを突っ込むのが良いコンビ。
そして、学園の理事長で、留希子に「清潔だけが取り柄」と表現された坂崎の、いつの間にか人の心にするりと入り込む躍進ぶりよ。間違いなくMVP。
切ないお話、と思ったしずえさんも不幸ではない人生を送っており、余計な同情であった。
花嫁修行のための料理学校に行く人は少なくなり、結婚しても姑と台所は同じゅうせず、子供の頃といえば女の子でも勉強優先の時代、料理は誰に習うのかといえば、料理番組、レシピ本、そしてネット、という時代になりました。
でもやはり、冷蔵庫の残り物で何を作るか、「7日目のレシピ」は悩みどころですね。
素人には、用意されたレシピはありがたい。
そこへ「ちょっと甘かったから次は砂糖を減らそう」「もうちょっと豆板醤を足して辛くしよう」と、変化させていくのがレシピの進化でもあるのでしょう。
真似されなくなったレシピはそこで死ぬ、留希子の一言は鋭かった。 -
留希子としずえの話が交互?に出てくる。
フリーのSE兼料理研究家として働く留希子の実家は、江戸時代から続く古い家柄で、老舗料理学校「品川料理学園」を経営。そんな実家に近寄りたくない留希子だが、独り立ちしようとするとどうしても実家の看板がついてくる。SNSではそこそこ有名になれたのに、悩む。
ここにしずえの話がどう絡んでくるか。品川料理学園の目玉の生姜焼きがキー。
最後、坂崎と近くなれた留希子はよかった。なんか、毒気が抜かれた感じ? -
夜中に読むべからず。
これ、夜中に一人で読んでるのつらい、つらすぎる。おなかがすくのもつらいけど、何かおいしいものを作りたい誘惑がすごい。
料理がそれほど得意じゃないけど、なにか「簡単に」「丁寧に」(この二つが両立するってところが大事!)おいしいものを作りたくなる。
口福のレシピ、というタイトル。すごくいい。「口に福を」「口が福に」「口を福に」あぁ、最高だ。
食べることって、生きていくうえで必要不可欠だけどあるいみ「必要最小限の栄養」さえ摂っていれば生きていけるわけで。「料理」を食べなくてもサプリだのゼリーだのでなんとでもなるけど、それでもなお人は「口が福」になる料理を求め、「口を福に」する料理を作り続ける。
祖母、母、娘の料理物語なのだけど、本当は曾祖母しずえの蒔いたタネを三代それぞれがどうやって咲かせるか、というお話。
とりあえず豚の生姜焼きが食べたい。 -
またしても料理関連の本。
好きだな、自分。
いまひとつ主人公の留希子さんには共感できませんが、
もう一人の主人公しずえさんの存在感が
作品の中で増してきたら、
面白みも増してきました。
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現代の留希子と、戦前と思われる時代の女中しず、ふたりの目線を行き来しながら進む物語。
留希子は、品川料理学園の一人娘であるものの、会長の祖母、校長の母ともに多忙で幼い頃から縁が薄く、学園を継ぐつもりはないまま大人になった。
料理は好きで、SNSでは簡単レシピを紹介してはバズり中。レシピ本やアプリ作成の依頼もあるほどの売れっ子だ。
読み進めていくと、しずが女中としておつかえしているお宅は、どうやら品川料理学園(当時は料理教習所)の二代目のお宅らしい、とわかってくる。
留希子の祖母と母との確執や、学園を継ぐために外部から呼ばれた坂崎さんとの関係性については、普通程度のおもしろさだった。
留希子(るきこ)って変わった名前だから、名付けの話とかいずれ出てくるのかな?と思ったけど、それはなくて少し残念。個人的に名付けの話って好きなので。
体が弱くて子を望めない二代目の奥様から無理なお願いをされて、それを受け入れて、赤ん坊を本宅に託してからは一度も会うことなく…というしずの人生が、私にはショッキングだったし、悲しかった。
留希子の母は、結婚が決まってしずの家に行った時、愛人であるしず(実際は違うのだが)の作った料理は汚らわしくて一切食べなかった、それを酷かったなと後悔してる…と留希子に言うものの、しずはそんなことを全く気にしてなくて、我が子とその息子とお嫁さんに会えただけで幸せだったと感じている。
同じお墓には入れてもらえないけど、ご主人についても隣で包丁塚に奉納できたことを心の支えにしていた。
報われないことが多い人生って、捻くれ者にもなりそうだけど…でも、少しのご褒美を大きな幸せとして胸に抱えて生きていけるものなのだろうか。
この本を読むと、昔は本当に女性の人権ってなかったんだなと思う。子どもを産むだけの存在のようだった…。いくら、しずが過去を美しく振り返っても、私にはそう思えてしまう。
しずが生きたのは、それを疑問に思わなかった時代。今とは違う。
少子化も、高齢出産も、社会が進んでいけば当たり前に生じる事なんだなと思った。現代には社会問題の弊害があるとしても、しずの時代に戻りたいとは女である私は思えなかった。 -
下ごしらえの日曜日
月曜日の骨酒
火曜日の竹の子
水曜日の春菊
木曜日の冷や汁
金曜日の生姜焼き
土曜日の梅仕事
日曜日のスープ
あとしまつの日曜日
主人公の品川留希子は、料理学校を営む家柄。
母や祖母が校長、会長として営んでいる。
そんな家に生まれたけど、家業を継ぐつもりはない。
けど、なんだかんたで料理が好き。
そして、留希子の料理ブログとか料理アプリが
世間で認知されていく。
家のこととか、自分の料理好きのこととか、
いろんなことに悩んでいく。
留希子目線とは別に昔の時代のしず目線でも話が
同時進行していく。
留希子としずの話がリンクし始めると面白い!!
どうやって料理学校のレシピが生まれたのか、
一般家庭に、肉料理を普及させるための作り方、
お腹が空くと同時にほっこりしたなー。
初めましての作家さんだったけど、好きだったー!!
他の作品も読んでみよー。 -
食べ物の話にはひかれる。だって、食べるの大好きだもん。
料理にも時代の流れがあるんだろうな。年とともに好みも変わるし。その変化が楽しい。