世界から猫が消えたなら (小学館文庫 か 13-1)

著者 :
  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (229ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094060867

感想・レビュー・書評

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  • 「忘却は前進の、ためにある。」
    ともすれば、記憶は後進のためにあるのか。或いは停滞。記憶はいつも、私たちをどん底に突き落とす。

  • 一気に読了。
    自分だったらどうなのか考えさせられた。


    ●気になっあフレーズ
    プレゼントは、物“そのもの”に意味があるのではなく、選んでいるとき、相手が喜ぶ顔を想像する“その時間”に意味があるのと同じように。

  • 余命宣告を受けた30歳の青年の前に、なんとも訝し気な悪魔が登場して、薄っぺらい内容で終わってしまうのかと不安になりながら読んでみましたが、最後はすっかり泣かされてしまいました。
    大切なもの=道具ではなく、何かに気づくことかな。

  • 2017.7.8読了。

    映画化されていたのは知っていて、恋愛モノだと思っていたのだけれども、完全に誤りだった。
    恋愛要素はほぼない。これには驚いた。最終的に何とかなるのかなとも思って読んだのだが、まー無い。

    テーマは重く、生と死について。非常に重いのだが、悪魔の存在が、ものすごくファンタジーで、かつ不思議と話全体を軽やかにしている。

    映画はどんな感じなのだろうかと。

  • 「モテキ」や「君の名は。」など大ヒット映画の企画に携わった若手映画プロデューサー、川村元気氏の小説。川村氏の小説は、「億男」でも感じたが、映画界のプロだけあって、名作映画のセリフなどを所々で引用し、教訓めいた展開が多いようだ。
    本作は、主人公が余命一週間と突然言い渡されることから始まる。そこに悪魔なる人物が登場し、余命を1日増やす代わりに、悪魔の決めたあるものを世の中から消す、という少し不思議な物語。病死した母との思い出が象徴的に描かれる。作者は多分、母親のことが大好きなんだろう。父との確執を含め、全体的にはしっとり暗いんだけど、相棒の猫・キャベツとの微笑ましいやりとり、破天荒キャラな悪魔とのちぐはぐな会話が明るさをプラスする。

    この作品のポイント
    「ほとんどの大切なことは、失われた後に気付くものよ」
    「何かを得るためには、何かを失わなくてはね」

    ハッピーエンド好きとしてはラストが悲しく、二度は読まない本だけど、川村氏はとても掴みがうまい。引き込まれて、1日で読んでしまった。

  • もうすぐ死ぬ、と言われた主人公のもとにやってきた悪魔。
    それが言う事には、世界からひとつ『もの』を消したら
    1日自分の寿命が延びる、と。

    ものが消えて行く一週間。
    消えるだけで、それがあった、という認識は
    しばらくはある状態。
    分かってはいるけれど、何だか変な感じです。
    けれど案外、なくても生活できるものです。
    昔はなかったわけですし。

    しかしそれが、寝食を共にするものだったら?
    思い出が詰まりすぎているものだったら?
    最後の葛藤、走馬灯のように回る思い出。
    何をしたいか、ではなく、何をするべきか。

  • 【「当たり前のもの」など一つもない】
    2017.03.31読了

    「私」は猫「キャベツ」と一緒にくらす、30歳の郵便配達員。ある日突然、死に至る病に冒され、余命あとわずかと宣告される。そんな私の前に、見た目が自分そっくりの「悪魔」と名乗る人物が現れ、契約をもちかける。「大事なものを一つ世界から消す代わりに、命を一日延ばしてやる」と。

    私は大切なものを一つずつ世界から消すことを決めた。チョコレート、時計、映画。恋人との思い出、死んでしまった母との思い出、飼い猫を拾ってきたときの思い出、そして4年間も連絡をとっていない、時計屋の父との思い出。一つ消すごとに大切な思い出がよみがえる。そして、ついに悪魔は「次は猫を消す」ということを告げる。

    「死」を題材としていながら、非常にポップな作品で、はじめは”軽い”物語のように思えた。特に、私と悪魔とのやりとりが軽い。
    だが、そのポップなやりとりの中の中に時折、絶妙な緊迫感や重苦しさを感じる。死が刻々と迫っているのである。
    彼女とのやりとりや思い出、母親が死ぬ前に書いてくれた手紙、一緒に暮らしてきた家族のような猫を失うかもしれない悲しみなど、様々な場面に自分の過去の経験などを重ね合わせて、入りこむことができた。

    この本を読み終わって私が感じたのは「感謝」である。変な感想かもしれないが。もし自分が、あと一週間の命だと告げられたら、何を考え、どうするだろうか。今周囲にあるもの、毎日会える人。ありふれた毎日がいかに大切で、ありがたいものであったかに気づくに違いない。

  • びっくりしました。もうすぐ寝る時間だし、1時間くらいで読めそうな薄い本を探してたら、積本の中に発見。そういえば映画にもなって有名だけど読んでないや、読も。っと軽い気持ちで読み始めたのですが...ぼろ泣きしました。何が?お母さんの言葉、キャベツ、自分の余命。なんて言えばいいかわからない感情で今は胸がいっぱいです。半分くらいまではテンポよくスラスラ読めました。悪魔とのやりとりに軽快さがあったり。なのにどんどん心に刺さる。あとがきにもあるように苦い哲学を含んだ寓話。自分の生き方考えさせられるお話だったな。死ぬまでにしたい10のこと。私も誰かの幸せにつながることしたいな。
    h29.3.13

  • 再読

  • 死ぬ間際になって本当に大事なことに
    気づけた主人公は幸せな人生だったと思います。
    お母さん、お父さん、キャベツ、昔の彼女、いい人たちに出会えたこと。それだけで充分幸せ。
    長く生きることが大切ではない。誰のために生きるのか。どういう人生を送るのか。
    そういうことを考えるいい機会になった。

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著者プロフィール

かわむら・げんき
1979年、横浜生まれ。
上智大学新聞学科卒業後、『電車男』『告白』『悪人』『モテキ』『おおかみこどもの雨と雪』『寄生獣』『君の名は。』などの映画を製作。2010年、米The Hollywood Reporter誌の「Next Generation Asia」に選出され、’11年には優れた映画製作者に贈られる「藤本賞」を史上最年少で受賞。’12年に初の小説『世界から猫が消えたなら』を発表。同書は本屋大賞にノミネートされ、佐藤健主演で映画化、小野大輔主演でオーディオブック化された。2作目の小説にあたる本作品『億男』も本屋対象にノミネートされ、佐藤健、高橋一生出演で映画化、’18年10月公開予定。他の作品にアートディレクター・佐野研二郎との共著の絵本『ティニー ふうせんいぬものがたり』、イラストレーター・益子悠紀と共著の絵本『ムーム』、イラストレーター・サカモトリョウと共著の絵本『パティシエのモンスター』、対談集『仕事。』『理系に学ぶ。』『超企画会議』。最新小説は『四月になれば彼女は』。


「2018年 『億男 オーディオブック付き スペシャル・エディション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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