起終点駅(ターミナル) (小学館文庫 さ 13-2)

著者 :
  • 小学館
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  • / ISBN・EAN: 9784094061369

感想・レビュー・書評

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  • 良かったです。

    最初の短編は「イマイチかな・・・」と思って読んでましたが、
    どんどんぐいぐい来ました。

    予約していた本がいっぺんに来てしまい、
    睡眠時間を減らして一日1冊のペースで読んで(!)ます。
    でも、この本はもう1度借りなおして、
    ゆっくりじっくり読みかえしたいです。


    再読したら、また感想かきます。

  • 小説を泣きながら読んだのは何年ぶりだろう。6話の短編集。女性が主人公で皆それぞれ仕事や私生活にストレス抱えながらも頑張って生きている。胸に秘めた恋愛もそれぞれ形は違いながらも最後は昇華していく。刹那さに満ちた内容だがラストは爽快感を覚えるのは、この作家さんが文章が上手いからだろう。読んで良かった本。

  • 短編集です。
    どれもが、じわじわと心に沁みる物語でした。
    桜木さんらしい良い本です。
    映画化されているようですので、観てみたい。

  • 僕が学生の頃、本屋の棚は男性作家、女性作家と分けられていた。今はそんな棚分けをしているところは少なくなっているが、この小説は女性にしか書けないものだと思う。
    しかし、その内容は男、女に関わらず、”私はどうあるべきか”を問われているような感じで、物語に哲学的な力強さを感じる。
    読後は涙を止められない。

  • 短編集なのに、ひとつひとつが心にずしんと重みが乗っかってくる。北海道のカラッとした夏空なんてありゃしない。あるのはモノトーンの海と埃っぽい4月の空気。そして殺伐とした都会とムラ社会。

    憂鬱な北の大地。

    でも、不思議と心が前向きになり、まだまだ人生これからよと思えてくるんよね。

    初桜木紫乃さんだった。これはうちのオカンが渡してくれた小説やったけど、そういえばこういう重たい空気漂う大人な話オカン好きだったな〜とふと思い出した。ホテルローヤルも読んでみたい。

  • 初めての桜木先生。
    ろくすっぽ見ないまま購入したため、短編集ということを読み始めて気づく始末。

    いやいや、結構爽やかなイメージを予想してたら、、、、暗いじゃないか!!
    どの作品もすごい暗いじゃないか!!!

    人間誰もが抱えている孤独だったり、後悔だったり、過去の失敗だったり、、負のパーツを結構表面に押し出した上で、そこからの再生を描いたであろう作品。

    ただ、繰り返しになりますが、その再生がちっとも明るくないわけです(じゃあ再生じゃないのかな?)。
    それが巷にある無理やりハッピーエンディングに持っていくものとは真逆で、現実的にはこういう感じなのかなと考えさせられるリアルが描かれています。

    楽しく読ませてもらったので星4つにしたいんですが、良い意味ではありますが予想を裏切る暗さということで、3つです。

    全編に渡る情景描写がひじょーに好きです。
    一気に北海道までワープした感じになります。

  • 2019/4/10
    あと1章を残してずいぶん放置されていた。
    表面上の起伏が少なく、微細な動きを読み取らないといけないような気がして、なんというか読むのにパワーがいった。
    アンテナしっかり立てとかなきゃ!というような。
    だから疲れてるときはのらなくて放置したのかも。
    長い休みとかに快適な環境で読んだらもうちょっとイケた気がする。私がそこまで余力なかった。
    通勤の時に読んでるからね。不向きやったなと思った。

  • 「自分は誰よりも有利だと思っていました。私には竹原さんを追いかける勇気と気持ちがある。それだけで、人の心がこちらに傾くと思っていました。」 ーかたちないものー

    「人には、それぞれに合った幸福のかたちがあるからね」 ー起終点駅ー

    「恋愛を「たたかい」と詠み、敗れても咲けと己を叱咤する。」 ーたたかいにやぶれて咲けよー

    「自分という人間の性質も、出会った人の心の数ほどあるに違いない。」 ー潮風の家ー

    「一日の長さと、残された時間の短さ。そのふたつの時の流れが持つ隔たりに、うまく折り合いがついている人いない人、それは老いも若きもあまり関係がなさそうだ」 ー潮風の家ー

  • とても評価の高い作品のようだったので読んでみましたが、自分のコンディションが良くない時期だったのか、読むのに力のいる1冊でした。

    一話一話、深いお話だと思うので、時間のゆっくり取れる時に再読してみます。

  • 短編集だけど、北海道つながり。一部主人公が同じ話あり。良かった、なんか。この人の本、他も読んでみたいと思った。一人旅など、一人でいるときに読みたい本。

  • 私にとって初めての桜木紫乃作品。
    住んだことのある釧路が出てくるので、読んでみたいとは思っていたものの、映画化されると告知がしつこかったので敬遠していた一冊。
    それに、ホテルローヤルで一発屋なのかな?と勝手に思い込んでいたので…

    釧路、函館や広尾(たぶん)、天塩、江別と、道内の各地域が舞台になっているだけあって、道産子の私にはすごく情景が思い浮かびやすく、サラサラと読めた。

    表題の、ターミナル が一番おもしろかったかも。
    今度はウラルやホテルローヤルも挑戦してみたい。

  • 映画化で気になり、桜木紫乃さんの作品を初めて読んでみました。
    人生で挫折を経験した人達が、諦めと共に生きている様子を切り取った短編集です。
    全編通して著者の地元である北海道の寂れた街が描かれていて、物悲しさに拍車をかける一冊。
    解説を読むと、"孤独"や"生きづらさ"を感じる人達を描く著者が、"孤独"と"生きづらさ"をどう捉えているのかがわかり、胸を打たれます。
    他の作品もぜひ読もうと思いました。
    個人的には、強い女性ばかり登場するのが印象深かったです。たしかに真理かな。

  • 初の桜木紫乃作品でしたが
    6編の短編集です
    とれもハッピーな物語ではなく
    孤独で悲しい結果のお話でしたが
    すべて後に希望もない
    終わりではないなと思った

    読者がその後の登場人物の
    物語を作れるような作品で
    今後も桜木紫乃作品読みたいと
    思いました。

  • 桜木さんの著書は初めてでした。
    北海道の田舎を背景に、リアルに描かれていてよかった。

    面白かったです。

  • この人の中で1番すき。どの短編も粒揃いでよかった。特に最後の話読み終わるときには涙がでた。人って 酷いことするなぁ。

  • 孤独な人達のお話
    何故だか、すっと物語の中に入っていけた。
    映画化された表題作
    終わり方が…
    映画はどう表現されているのだろう?
    ちょっと気になったので
    映画も見てみようと思いました。

  • 直木賞を最近取られた方だ、という情報と、佐藤浩市さん主演で映画化されている、という情報だけありました。
    だからまあ、正直に言うと、「佐藤浩市さんが、まあまず面白い、と思ったはず」というのが保険としてはありました。
    (そんなこと言われても佐藤浩市さんも責任取れないでしょうけど)
    全般的に、ちょっと影があって、浮世は何かと生きづらく。
    男女関係は常に何かしら不幸という湿気を含んでほんのりと色づいているような。
    解決は常に明快ではなく、曇り空の人の営みが愛おしいような。
    嫌いじゃないです。そして、なかなか筆が上手い!
    連城三紀彦さんの「恋文/私の叔父さん」とか思い出しました。
    短編集。ただ、ある種、連作短編の趣もあります。
    6編全てが、舞台が北海道各地。それから、6編のうち2編は主人公が同じです。
    で、率直な印象で言うと、どれも雰囲気はあるし読ませる力はあるんだけど、なかなかこういう娯楽小説って実は難しい。
    ただ、表題作は面白かったです。(さすが佐藤浩市さん?)
    そしてなにより、70年代から80年代のにっかつロマンポルノ映画のような、後ろ向きな人間模様。
    ため息と諦めと不幸と男女関係をブレンドして蒸留したような、負け組の背中が煤けた焦げ目が味わい深いような。
    こういう肌合いと世界観っていうのは、無くならないんだなあ、というのがちょっと、嬉しいような。不思議なような。
    フランスの恋愛ミステリー、ジョルジュ・シムノンのメグレ警視とか。ジャン・ギャバンの映画「ヘッドライト」とか。そういうムード。
    そんな懐かしい、ちょっと甘口のお酒を飲むような。
    たまには、悪くないものです。
    #####################
    簡単に備忘録。
    ●「かたちのないもの」
    東京の大手のデパートでバリバリ働く、アラフォーで独身の女性総合職。
    かつて、愛人関係にあった、やり手で魅力的だった年上の上司。
    その上司は、今の主人公の人間性もキャリアも作り上げてくれた。
    だが、出世街道の途中で、ポキリと折るように退職して故郷の北海道に隠棲してしまった。そして長い年月の末、病死。
    その葬儀で知り合った不思議な持ち味の若いイケメンの牧師男性と、酒を飲んだり、死んだ元上司の心象風景を探ったりする。
    謎は謎のままで、という淡い味わい。「こういう雰囲気で行くからね」というA面1曲目、という感じ。
    ●「海鳥の行方」
    北海道の新聞社。そこの入社2年目くらいの若手女性記者。
    男社会でセクハラ、パワハラ。嫌な上司に苛められ。トイレで泣いたりの日々。
    というありふれた青春模様なんですけど、「大学時代の彼氏が同じような境遇なのか、鬱になった」というスパイスがあったりします。
    ひょんなことで知り合った人生に一度挫折した中年男性。
    その人が事故死。実は聞かされた人生の話は半分嘘で、前科者だった。
    その男の記事を書こうとして、元妻に会いました。でも色々な人生模様を感じてしまった。
    ●「起終点駅ターミナル」
    北海道で、国選弁護しかしない、という偏屈な初老の男性弁護士。
    過去に元カノとの浮気から、その元カノが自殺して、罪悪感で妻子を捨てた。元裁判官。
    そういう過去から、他人との交流を避けて隠棲しているが、ひょんなことからヤクザの情夫をかばう可哀そうな境遇の女性と交流してしまう。
    恋愛関係になりかかるけど、そうならずに別れる。
    ●「スクラップ・ロード」
    サラリーマンからドロップアウトした主人公。
    ひょんなことから、かつて自分と母を捨てて蒸発した父と再会。
    父は、スクラップ・ゴミを拾ってごみためで生きていた。
    ごみのように人生ぼろぼろになった女性を拾って、共に暮らしていた。
    詰ったりするけれど、父はそこで体を壊して死んでしまう。
    ●「たたかいにやぶれて咲けよ」
    「海鳥の行方」の主人公の女性記者が、無くなった北海道の大歌人の追悼記事を書く。
    奔放に恋多き女性だったその歌人。
    その歌人の晩年の愛人と言うかパートナーと言うか、そういう存在だった、小説家志望の男性から話を聞く。
    世間の評判に撃たれながら、懸命に生きた歌人の晩年を知っていく。
    ●「潮風の家」
    北海道の場末の田舎町。貧乏な家に生まれた女性。弟が街の中で殺人を犯した。
    貧しい上に後ろ指を指される中、故郷の街を出る。
    当然のように水商売、そして、水商売仲間と、ほそぼそと堅気な仕事を始めた。
    年月が過ぎて、もう若くない。
    法事があって、故郷の街を数十年ぶりに訪ねる。
    家族同様に面倒を見てくれた、近所の老女とのふれあい。
    同じように苦しい境遇で、恐らくは水商売どころか風俗までやっていたらしき、老女のキャラクターが魅力的。

  • 自分の環境とは全く異なる環境にいる登場人物たちではあるが、気づけば自然と感情移入しており、一冊読み終えると別の人生の一端を経験したかのような錯覚に陥った。物事は全て綺麗事のようにはいかず、人が生きていくというのは苛酷なことなのだ。一人と思っていても決して一人ではなく、一人の人間は必ず誰かの人生に影響を与えており、自分の人生を生きるというのは誰かを生かすことでもあるのだなと思った。

  • どれも、深みのある短編集でした。
    尾野真千子さん好きなので、『終着駅』観たいと思いました。

  • 当初、無縁、という通しタイトルで連載されていたとあとがきで知り、なるほど、確かに。妻子を捨てて失踪し零細廃棄物収集業を営む男。司法試験受験を支えてくれてたのに失踪し、妻子ができ生活も安定した頃に再開したのにホームに飛び込んでしまった女。新米新聞記者にも温かく接してくれた釣り人が実は名前も何も嘘で死んだあとも引き取りてがなく…などなど。個人的には、国選しか受けない頑なな弁護士と、依頼人の女性、彼をひきこみたいヤクザ者のコミカルなやりとり。新米新聞記者が中堅になったころに行き交った、手ごわい女性歌人の一筋縄ではいかないところ(「たたかいにやぶれて咲けよひまわりの種をやどしてをんなを歩く」)。関係を切って東京から函館へ戻り、おそらく自分の最期も自分で幕を引いた男、その死にいたるまでを伝えてくれた牧師と、その男の最後の交際相手だった女性とのやりとりが、印象に残りました、というか好みだなと思った。

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著者プロフィール

一九六五年釧路市生まれ。
裁判所職員を経て、二〇〇二年『雪虫』で第82回オール読物新人賞受賞。
著書に『風葬』(文藝春秋)、『氷平原』(文藝春秋)、『凍原』(小学館)、『恋肌』(角川書店)がある。

「2010年 『北の作家 書下ろしアンソロジーvol.2 utage・宴』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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