サラバ! (下) (小学館文庫 に 17-8)

著者 :
  • 小学館
4.22
  • (657)
  • (551)
  • (234)
  • (40)
  • (7)
本棚登録 : 6573
感想 : 488
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094064445

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 歩の変わっていく姿を見ていて悲しくなりましたし、歩の感じ方や考え方が痛いほどよくわかりました。
    誰もが一度は経験したことある感情を、誤魔化さずにストレートに書くので、読んでいる私も胸が痛くなりました。
    物語の最後の方は、何度も何度も読み返すほど、深く胸に刺さりました。
    物語を通して、たくさんの感覚を刺激されましたし、たくさんの力をもらうことができました。 定期的に読みたいです。

  • 誰の人生にも、外側からは見えないそれぞれの物語があるんだよなと改めて思った。なんの苦労もなさそうに見える人でも、どんなに性格が悪い人でも、強がりな人でも、美しい人でも、それぞれの辛さや悲しみ、喜びと共に生きている。だからどの人の人生も同じ重みがあって、薄っぺらい人生なんかないのだと思った。他者に対して薄っぺらい人生を歩んでるな、胡散臭いやつだな、と思うことがあるなら、それは自分の想像力や優しさ、包容力が足りないんだろうな、そんなことを思わされた本でした。

  • 「一人称の罠」と呼べる小説。
    本の冒頭から読みやすい一人称で、自然と「僕」の気持ちに取り込まれていく。その中で、いつのまにか他人を見下す気持ちが根付かされていく。(それが自分の中に元々少なからずあるものだったことは否めないけれど。)

    だんだんと陰りを見せていた「僕」の栄光が本巻で根底からひっくり返され、自分が他人を見下していたことに気づかされ、残った自分の汚さに絶望する。
    究極に「僕」に感情移入してるからこそ、最後に見つける「信じるもの」に大きな希望を感じられるのではないか。
    少しだけ、最後の展開がきれいすぎるかなあとか、理解できない部分があったとは思いながらも、面白かったと自信を持って言える小説だったと思う。

  • 一人の人間の人生を丁寧に描いた作品。上.中.下巻もあるので読み切るのに時間はかかったが、その分じっくり噛み締めて読むことができた。まるで朝ドラを観ているような感覚で主人公の歩の人生を一緒に味わえた気がする。

  • これはあなたを魂ごと持っていく物語
    まさにその通りだった。
    歩の挫折からの醜い感情がなんとなく自分の汚い部分をこれでもかと見せつけられているような気持ちになった。
    須玖と鴻上、貴子の生き方が眩しく見える。
    大人になったばかりの今このときにこの小説を読むことができて良かった。

    自分にとっての「すくいぬし」はなんだろう。
    自分の信じるものを見つけられるだろうか。
    見つけたい。
    これからたくさんの小説を読んでいきたいと思った。

  • 文庫本全3巻の最終巻にふさわしいスケールの大きさ。
    圧巻の読了感、久々味わう放心。

    1,2巻とはかなり毛色が異なる。あれだけ笑っていた姉の言葉に考えさせられるとは笑
    これまでの姉の行動を全て肯定できるはずはないが、それを経ての姉の言葉は芯が通っていると感じた。

    「信じるもの」の話は、異文化理解とかいう表面的なものよりもっと根本にある話で、多様性を重んじる社会において必要な考え。強く楽しく生きるための人生哲学でもある。

    朝井リョウ「何者」と「ショーシャンクの空に」が掛け合わさったような感じかなってふと思いました

  • あまりに壮大すぎる
    すごすぎて言葉にならない

  • 感受性の塊のような作品!
    ちょうど私も自分に自信をなくしていた時期と重なって下巻は読んでて苦しかったな、、でもその分すごく西さんの筆からにじみ出る何かを、吸収できたような気がします。。私の信じるものってなにかなぁ。揺るぎない何かを自分は見つけれているかな?そんなことを考える作品。読んで良かったです。

  • 姉が信じるもの、愛する人をを見つける一方で、歩がどんどん闇に落ちていくシーンはいろいろと刺さった。歩の今までの生き方、周りからどう思われるかが大事と潜在的に思っていることが、否定されて。でも、姉の愛も素敵だし、そこからエジプトにヤコブに会いに行って、歩が前に歩んでいくシーンは、一緒に前に進んでいるような気持ちになった。
    あまり今まで読んだことのない種類の小説で、新しい出会いだった。

  • 受動的に自分を見せない主人公がその立場を保てなくなり、自分が比較していたものが自分を追い越す、壊す事となる後半は見てて苦しかったが、誰もが持つ人間の醜い点を読むにつれて自分はどうなんだろうか?と考えざるを得なくなった。矢田のおばちゃんが良い。サトラコオモンサマの意味が凄い。面白い。
    2018.2.12

全488件中 81 - 90件を表示

著者プロフィール

1977年イラン・テヘラン生まれ。2004年『あおい』で、デビュー。07年『通天閣』で「織田作之助賞」、13年『ふくわらい』で「河合隼雄賞」を、15年『サラバ!』で「直木賞」を受賞した。その他著書に、『さくら』『漁港の肉子ちゃん』『舞台』『まく子』『i』などがある。23年に刊行した初のノンフィクション『くもをさがす』が話題となった。

西加奈子の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
上橋 菜穂子
米澤 穂信
朝井 リョウ
上橋 菜穂子
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×