ひざまずいて足をお舐め (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101036120

感想・レビュー・書評

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  • 派手な人をたんに派手な人として捉えたりとか職業で人を判断するとか、そういう人には理解できないようなところで、主人公もその友達も繊細でやさしく強いと思う。

  • 最初は面白く読んでいたが、
    段々とつまらなくなった。

  • 主人公ちかのあっけらかんとしているようで作家としてもがいていく姿がいい。

  • 実は高校先の時好きな人が読んでるのを見て、自分も読んでみた本。山田詠美との出会い。
    その彼も、彼の好きな人が山田詠美好きで読み始めたらしいのだけど。
    出会いは衝撃的で、そこから山田詠美の世界にハマった。思い出の一冊。

  • 「文学をするのではなく、その人自体が文学」!憧れてしまう
    自分の内面に確信を持たないこと、徹底してたつもりでも、結局たったひとりの承認なしには生きられず。。まだまだ修行が足りない

  • すべての人間は「いじめたい」という欲望と
    「いじめられたい」という欲望を2ついっぺんに持っている
    しかし今や人権第一の時代で
    暴力反対の社会的抑圧があまりに強いものだから
    おかしなことになっている
    要は、「いじめられるほうが悪い」という自己責任論で
    「いじめたい」欲望から目を背けがちなのである
    そういう自己欺瞞によって私は
    いじめるヤバい連中と一線を画した気になれるわけだが
    そうやって、「いじめられたい」欲望を悪に直結させた結果 
    「いじめたい」欲望が正義と直結してしまい
    まあなんつうか
    正義を騙る悪党の、はびこる世の中になっちまった

    いじめられたいおっさんたちというのは多分だけど
    普段、立場の弱い人々をいじめていることに
    罪悪感を抱いているんだと思う
    社会的にはそれなりの地位を確立しているように見えても
    人は弱いもの
    一皮むけば誰もみな変態であるということは
    まあ言えなくもない
    そこで、いじめられたい欲を満たすために
    秘密のSMクラブへと通っていく
    この小説の語り手は、女王様としてはたらく「忍お姉さん」
    出だしはけっこう嫌な女である
    お金を介した関係で食っているくせに
    他人を大上段から批判するようなところがある
    私生活がどうしても職業意識に引きずられてしまうのだ
    それは、客も一線を踏み越えようとしがちな商売であるから
    強気を保ってないとやってられない部分もあるだろうが
    一人称で語りかけられると
    読者としては正直、反感を禁じ得ないのだった

    そんな彼女に微妙な変化をもたらすのは
    年少の友人「ちか」との対話である
    元々はちかも女王様をやったりしてたんだけど
    ある日とつぜん新人賞を取り
    作家デビューしたことで、マスコミに追いかけられるようになって
    自分というものを意識するのか
    なにか妙に、批評的な物言いになるものだから
    忍お姉さんもつられて、ちかに自分語りをしたりして
    それで最初の話
    「いじめたい」「いじめられたい」という2つの欲望を人の中に見出し
    まあ自分の両親なんかも許していくんだろうと思う

  • SMクラブで働く忍(しのぶ)と、彼女を「お姉さん」と呼んで慕うちかの物語。

    ちかが書いた小説が新人賞を受賞してしまい、スキャンダルの渦中に巻き込まれることになりますが、彼女は周囲の好奇のまなざしにさらされても自分自身の軸がブレることはけっしてなく、明るく振る舞いつづけます。忍は、そんな彼女に感心したり呆れたりしながらも、ちかの鋭い観察眼を通して見られる世の中に対する見かたに耳を傾けます。

    本書の著作紹介には「著者の虚構的半自伝小説」と書かれており、著者のスキャンダルに関心をいだく世間や文壇のおかしさをコミカルにえがいた作品といえるかもしれません。ただ、そうだとしても忍やちかなどを除いて登場人物たちが愚かでプライドだけは高い薄っぺらな人物としてえがかれていて、くり返し読もうという気にさせられる作品ではありませんでした。

  • 授業をサボって麦畑を眺めるちかちゃん、ステキ、、忍姉さんは今のエイミー?

  • SMクラブの忍お姉さんとちかを中心にした物語だけど、スケベな気持ちにならずに読みふけったのはいい小説だったからかな。少なくともオイラがノーマルってことだ。一見あばずれだけど、実は純情で考え方は普通の人より普通かもしれない。オイラにとっては正しくも思える。それなのに二人の会話はお笑いのネタのようでもあるし、下手くそどうしのキャッチボールのようだ。だけど、家族やパートナーにも負けない絆を感じるよ。お互いをリスペクトしているし、一緒にいるだけで嬉しいのが伝わってくる。忍お姉さんにしてもちかにしてもお互いに絶対的な存在なんだよな。二人の関係がどうか末永く続くことを祈ってしまう。お互いが失くしたくない大切な存在だから離れ離れになったら一大事だ。小学生くらいの頃は近所の同じ奴らと毎日遊んでも飽きることがなかった。ケンカしても気が付くとまた一緒に遊んでた。忍お姉さんとちかは大人だけどそんな関係だな。すごくチャーミングだ。

  • タイトル程は刺激的な内容ではなかったが、世の中のままならなさを知った。

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著者プロフィール

1959年東京生まれ。85年『ベッドタイムアイズ』で文藝賞受賞。87年『ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー』で直木賞、89年『風葬の教室』で平林たい子文学賞、91年『トラッシュ』で女流文学賞、96年『アニマル・ロジック』で泉鏡花文学賞、2000年『A2Z』で読売文学賞、05年『風味絶佳』で谷崎潤一郎賞、12年『ジェントルマン』で野間文芸賞、16年「生鮮てるてる坊主」で川端康成文学賞を受賞。他の著書『ぼくは勉強ができない』『姫君』『学問』『つみびと』『ファースト クラッシュ』『血も涙もある』他多数。



「2022年 『私のことだま漂流記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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