オルタネート (新潮文庫 か 93-3)

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  • Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101040233

作品紹介・あらすじ

私は、私を育てていく――。誰しもが恋い焦がれた青春の普遍を真っ向から描き切る、加藤シゲアキ、これが新たな代表作。高校生限定のマッチングアプリが必須となった現代。東京のとある高校を舞台に、3人の若者の運命が、鮮やかに加速していく――。恋とは、友情とは、家族とは、人と“繋がる”とは何か。悩み、傷つきながら、〈私たち〉が「世界との距離をつかむまで」を端正かつエモーショナルに描く。渾身の青春小説。

感想・レビュー・書評

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  • 加藤シゲアキという人がアイドルだということを、巻末の「解説」を読んで初めて知った。そもそも作家としても実は全く知らなかった。本書が書店に山積みにされているのを見て、思わず手に取ってしまったのだ。本屋にはこういう出会いがある。

    もうすでに多くの人が読了しておられるだろうが、タイトルの「オルタネート」とは、高校生限定のマッチングアプリ。架空のものです。念のため。現実世界にこんなものがあったなら、生きにくくて仕方なかろう。とはいえ、私がこの世界の高校生だったなら、嫌だなと思いつつ、同調圧力に屈しまくって、何となく使っていることだろう。

    このアプリを軸に、本書の登場人物たちの青春が描かれる。それがまた瑞々しくて、純粋に物語世界に没入できた。

    意図的なのか、アプリの運営会社のことは作中に詳しく述べられていない。爽やかな青春ものにあって、それがやや不気味である。運命って何というところを、もっと突っ込んで書く余地はあったのではないかなと思う。続編とか予定があるのかな。

    二足の草鞋を見事に履きこなす、凄い才能だなと思う。もし事前にタレントとしての加藤さんのことを知っていたら、本書は手に取らなかったかもなと思う。反省。きっと彼はそういう偏見とも闘ってきたのだろう。注目していこう。

  • 高校生って俗的な面ばかり切り取られがちだけど
    その瞬間を自分なりにありのまま生きてる
    登場人物がみんなまっすぐで正直で愛らしくて
    青春の場面ひとつひとつがまぶしい

  • 青春を謳歌している登場人物たちがキラキラしてて眩しかった。何かに熱中できる人はやはりかっこいいし羨ましい。読みやすくて学生にもオススメ。

    3つのお話が同時並行で進み、オルタネートを通じて1つに繋がっていくストーリー。文章が読みやすくて最初から世界観に引き摺り込まれました。まるで彼、彼女らの高校生活を擬似体験していたかの様。

    オルタネートは今で言うインスタとマッチングアプリを合わせたようなイメージかな。実際、プライバシー筒抜けなのは怖いけどちょっと面白そうだな。

  • 高校生の瑞々しい青春小説という感じで、爽やかではあるものの、3人の登場人物についての群像劇だったので、視点がコロコロ変わって個人的には少し読みにくかったように感じました。

    テーマが高校生限定のマッチングアプリが広まった世界ということで、恋愛メインなのかなと思ってましたが、料理コンテストとか文化祭のバンドとか割と青春詰め込みパック的な感じでした。

  • SNS時代の青春小説。
    大人も、登場人物と同世代の人も染みる作品。

    3人の主人公それぞれがSNS『オルタネート』を「信仰してる」「やらなくても良い」「やりたいのに出来ない」状況から経験・成長していく姿を描く。
    SNSが普及している今、ぜひとも世代ドンピシャの若い人たちに勧めたい!
    部活・人間関係・恋愛…悩みの種は尽きないし、学生生活も山あり谷あり。
    だけど、いつか光は見えると背中を押してくれるのが本作だと思います。

    上の世代は青春を追体験するようで面白いかもしれない。
    若い頃の不器用さに痛みを感じるけれど、客観的に学生時代を見ているようで。。
    「自分もちょっとは大人になったのかな〜」と思う(笑)

    解説で重松清さんが引用されていた加藤氏のインタビュー。
    「読む手が止まらない、という読書の楽しさを感じてもらえれば…」
    しっかり感じ取りました。

  • とても読みやすい。

    各主人公達が成長していく様が良かったです。

    息子世代(高校生)の子に勧めたい。

  • 感動してウルッと。。。
    文学賞はジャ○ーズに忖度しないだろうと、文庫化を機に手に取った。

    『オルタネート』とは近未来アプリの名。
    高校生限定のSNSで、本名・生徒手帳の登録も義務化。退学や卒業同時に退会する仕組み。マッチングを目的として利用している子も多い。

    オルタネートを敢えてやらない子・崇拝者・やりたくても出来なくなった子と三者視点で描かれて、オルタネートに翻弄されている。

    ン10年前に通ってきた時代が、甘く切なく、懐かしく胸に甦る。作者を色眼鏡で見てはいけなかった、みずみずしく素晴らしい

  • 「なれのはて」が直木賞にノミネートされている今。
    ハードカバーは通勤に持ち歩きにくく、
    最初の加藤さんは本書になりました。
    -------------------------
    わたしは、わたしを育てる――
    10代3人の恋、友情、そして未来のゆくえ。
    -------------------------
    どうしても著者の加藤シゲアキさんとほぼ同年代のため、
    アイドルとしての印象が強くて、読めるか不安でした。

    第一の感想は、
    「顔良くてアイドルで文章が書けるって…!」と
    羨望と嫉妬と感心ととにかく一言でした。笑
    天は二物を与えないんじゃないのか!笑
    というのと、
    普通の青春送ってないんだろうと思っていたけれど、
    どうしてこんなに青春小説描けるんだろう、でした。

    高校生限定のFacebookのような「オルタネート」を主軸に三人の高校生(ひとりは中退ですが)を描いています。
    料理コンテスト、文化祭、バンド、オルタネートでの出会い、とにかく盛沢山です。

    登場人物が多すぎて名前が覚えられず挫けそうになりましたが、メインは数名なので他のクラスメイト達はなんとなくで大丈夫です。苦笑

    途中、ちょっと胸キュンな場面もあり、
    そこはやっぱりアイドル思い出して
    ちょっとニヤニヤしちゃいました。苦笑

    あっちが動いて、こっちも動いて、
    合流するのかと思いきやすれ違って、
    最後はちゃんと着地する。
    結構ボリュームありましたが、
    途中からはハイペースで読み終えました。

    ご飯がおいしそうです。

  • 作中の『ワンポーション』の話が個人的に好き。読み進めるたびに胸が熱くなる。
    オルタネートを軸として、高校生たちの喜怒哀楽や絆を感じられる、爽やかな青春小説だと感じました。
    自分が高校生のときにオルタネートがあったら、なんの疑いもなくやってたかも笑

  • 料理に情熱をかける高校生。音楽に情熱をかける高校生。相性が最高の恋人を探している高校生。の青春群像。

    中盤までは盛り上がりに欠ける展開だったんですが、オルタネートを通じて凪津と桂田が実際に会ったところぐらいから急展開。その後は疾走感・緊張感のあるストーリーが良かったです。

    「オルタネート」っていうのは、高校生しか使えないSNSアプリ。マッチング機能もある。この「オルタネート」が引き起こす事件、みたいなのを想像していたのですが、違っていました(笑)。

    スマホやSNS、マッチングアプリは出てくるし、同性愛とかストーカーとか、現代的な描写もチラホラありました。が、普遍的な青春物語だなぁ、と思いました。

    料理の人気配信番組の「ワンポーション」の決勝と、文化祭の軽音楽部のステージを乗っ取るほどの音楽・バンド活動への熱。
    高校生の若い情熱が、文化祭の盛り上げて。物語はクライマックスへ。

    その文化祭のクライマックスの盛り上がりと新学期の新しく始まるスタートの静けさの対比も良かった。

    スマホなどのテクノロジーの出現・進化で人の行動や考え方が変わったところもありましたが、高校生の青春や情熱や恋愛なんかは変わっていないんだなぁ、と思いました。

    現在、高校生とか若い方はもちろん、それこそ私のように高校時代が遙かな昔っていうオッチャン・オバチャンも楽しめる作品だと思います。

    初読みの作家先生でしたが、面白かったです。ジャニーズだから、とかで敬遠して読まないのはもったいない。

    別の作品も読んでみようと思いました。

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著者プロフィール

1987年生まれ、大阪府出身。青山学院大学法学部卒。NEWS のメンバーとして活動しながら、2012年1月に『ピンクとグレー』で作家デビュー。以降『閃光スクランブル』、『Burn.-バーン-』、『傘をもたない蟻たちは』、『チュベローズで待ってる(AGE22・AGE32)』 とヒット作を生み出し続ける。2020年刊行の『オルタネート』で、21年に第164回直木三十五賞候補、第42回吉川英治文学新人賞受賞、第18回本屋大賞第8位、第8回高校生直木賞受賞。アイドルと作家の両立が話題を呼んでいる。

「2022年 『1と0と加藤シゲアキ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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