- Amazon.co.jp ・本 (704ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101050058
感想・レビュー・書評
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やっとこさ読み終わった。
1,2ヶ月ごとに中断ばかりしてその度に忘れた筋書きを読み返しってから再開するからこんなことになった。国語の苦手な私には難しかったー。
前半は右も左もわからない青年が老人の復讐に手を貸す事になったという話のように思った。自分の生きる世界からはかけ離れたどろどろした印象だったものだから、ちっとも読む気が湧かなかった。後半は悠一が次第に地に足の着いた人間になっていく感じがして読みやすかった。
終り方もさっぱりしていたのが一番好きなところかもしれない。
あと、鏑木婦人凄い。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
あー…うーん………(唸)。
なかなか集中して読めず、最終的にぜんっぜんのめりこめないまま終わってしまった。がくん。
わからないようでわかるようで、やっぱりわからなかったんだろう、と思う。悠ちゃんを危機におとしめる稔の登場の突飛さとか、どうなんだろう、とか気になったし。あとは最重要場面だったに違いない、康子の出産の場面はきもちわるくなってとばし読みしてしまったし(痛い描写がほんっとーにダメです。こっちも痛くなるし、吐き気とかしてきちゃうので)、まだあたしには早かったか、と(なにが)。
オトナになったら再読します(いつだよ)。 -
とにかく登場人物が全て三島。
ゲイの超絶美青年南悠一も、卑屈で女好きな老作家檜俊輔も、
夫婦揃って悠一に入れ込んじゃう鏑木夫妻も、全て三島が擬態
しているんじゃないかというくらい、高純度。
数ある作品群の中でも最も凝った美文の羅列と相まって、もう
「俺が描きたいんだ!文句あるか!」という叫びが聞こえてくるよう。
三島由紀夫という名の鈍器で後頭部殴られたような経験。
三島の代表作品をあらかた読んでもっともっと読みたくてたまらない
人のみに渡された、三島ワールドへの鍵です。
(人に勧めはしないけど)
誰が何と言おうと、私にとって人生の一冊。
死んだときには一緒に燃やしてほしい。 -
男のヒトは体と心が別と言うけれど、その男と男どうしだと一体どうなるのたろうか、というのは女にとっては一生の謎。
悠ちゃんはどうして最後、涙を流したのだろうなぁ。 -
坂本龍一+デヴィッド・シルビアン『禁じられた色彩』のモチーフ。美青年の性愛の苦悩を描いた耽美の作品。
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ページを開いたときの字面からして美しい。
女は本を読めない~のような下りがありましたが、私も漏れなくその一人なんだろうと思います。そういう楽しみ方で満足してますから。 -
『仮面の告白』が読めないヒトは無理だと思う。そんな内容。
テーマは三島由紀夫全開の「男色」です。無理です。
文章は華麗だし、人間関係も面白いのだけれどももうさ空気が濃密です。
でも最後まで読むとすごーくよかったと思えました。
あの怒涛のような俊輔の独白の間、
『「風が出て来たらしい。野分だね、……暑いかね。暑かったら、あけておくが……」』
という風の音がかすかに流れ込んでくる生々しさ、それが恐かったです。
しかし最後の独白は三島由紀夫の美の観念のような気がします。
近くて遠い。触れられそうで、触れた気がする存在なのに離れた存在。
あの人はそんな世界をひとりできっと生きていたのだろうと思ったら、
なんだか無性に、自己愛の三島由紀夫は自分のなかの美を
ずっと追い続けていただけの人だったのかもしれないと考えたり。
せっかくなので独白の一部を最後に残します。
『「
問いによって真理に到達するというのが彼が発明した迂遠な方法だ。しかし自然としての肉体の絶対の美からは、決して答は得られないのだよ。問答は同じ範疇の中でだけ交わされる。精神と肉体とは決して問答は出来ないのだ。
精神は問うことができるだけだ。答は決して得られない。谺のほかには。
(中略)
精神にとっては何もかもへ問いかけるほかに己を証明する方法がないからだ。問わない精神の存立は殆くなる・・・・・・
・・・そこでだ。精神はたえず疑問を作り出し、疑問を蓄えていなければならぬ。疑問そのもの、つまり自然を創造することになる。それは不可能だ。しかし不可能へむかっていつも進むのが精神の方法なのだ。
精神は、・・・・・まあいわば、零を無限に集積して一に達しようとする衝動だといえるだろう。
(中略)
・・・・・・そうして、美(自然)とは、いいかね、美とは到達できない此岸なのだ。そうではないか?宗教はいつも彼岸を、来世は距離の彼方に置く。しかし距離とは、人間的概念では、畢竟するに、到達の可能性なのだ。科学と宗教とは距離の差にすぎない。六十八万光年の彼方にある大星雲は、やはり、到達の可能性なのだよ。宗教は到達の幻影だし、科学は到達の技術だ。
美は、これに反して、いつも此岸にある。この世にあり、現前しており、確乎として手に触れることができる。
(中略)
此岸にあって到達すべからざるもの。こう言えば、君にもよく納得がゆくだろう。美とは人間における自然、人間的条件の下に置かれた自然なんだ。人間の中にあって最も深く人間を規制し、人間に反抗するものが美なのだ。精神は、この美のおかげで、片時も安眠できない。・・・・・・
」』
ここから続く生と死の論も面白い。
『死者にとっては、われわれが青いと思っている空も、緑いろに煌いているかもしれないのだ』
この文章が、生者にとっての美とは、この論に繋がります。
この仄暗くて寂寥感に苛まれる最後がとても素敵でした。
同性愛がテーマなので嫌悪感もあるでしょうし、生理的に無理な人も多いかと思いますが、
この最後だけでも読む価値は絶対にあると思います。面白かった!! -
たのしい。
ラストが三島由紀生っぽくて
すきだ -
普通に考えたら有り得ない話だけど、面白かった。
じいさんの復讐劇と悠一の美貌にくらくら。 -
女性への復讐を遂げ、究極の美青年を描くために生まれたとも思われる小説は一幅の絵。しかし主人公はやがて絵を抜け出し、妻との間に子を生します。ナルシストとしての勝利と生へのあこがれ。作者が本当に望んでいたのはどちらだったのでしょうか。