白い巨塔 続 新潮文庫 や 5-11

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  • Amazon.co.jp ・本 (684ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101104119

感想・レビュー・書評

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  • やっぱ続編あったんだと思いつつ、また知り合いの方からもらったので読んでみた。
    結局下巻で勝訴した財前に対して、敗訴した佐々木一家が上告したため、続編も引き続き裁判ネタが主だった。裁判を行いながらも財前教授の学術会議会員選挙についても並行して書かれてたけど。財前教授は裁判、選挙、病院と3つのやらなければならないことに忙殺され、選挙には勝ち、裁判には負けたが、あまりの多忙さゆえ最終的に手術の施しようがないところまで進行した癌を患い、亡くなってしまう。今まですごくえらそうに生きてきた財前が最後の癌を患った時の、患者はかくも不安な気持ちだったのか的な思いが、読んでいてジーンときた。財前教授ってほんとうはそこまで悪い人間じゃないと思うけど、権力に取りつかれた人間が頽廃してしまうといういい例だと思った。死ぬことがわかり、初心に戻る的なありがちな話かもだけど、やはり感動するところがあった。ギャップか。東医院長も最後執刀してくれるとことかよかったし、里見は安定の信念の持ち主だけど、東佐枝子だけは嫌い。何かめっちゃ正義感ぶってるけど、お前の動機はナチュラルな正義感じゃなくて恋愛だろうがって。
    あとがきで山崎豊子が取材に膨大な時間とエネルギーを費やしたって書いてあったけど、そりゃそうだよな。数え上げればキリがない医学の専門用語を必死に勉強し、弁護士の方に話を聞きに行っても、医学紛争裁判はほとんど扱ったことがないという人が多くて困ったって書いてあったけど、よくその状態からこんなちゃんとした話を書けたなって思う。売れなきゃ報われないと思った笑

  • まさに社会派小説!であると同時に、山崎豊子さんの、膨大な取材・調査をひとつの小説にまとめあげる力、というか才能に思いっきり下を巻かせられます。個人的にはやはり完全学究肌の里見助教授の生き方に共感を覚え、第一部(5巻セットの文庫本では第3巻の終わり)を本当に悲しく読んだものです。「名作は色褪せない」の言葉通り、40年前の小説とは思えない瑞々しさです。

  • 続編があるなんてしらなかった。むしろ私は本編の終わり方でも納得したから。他の著書にも人間ドラマの醜さ、生々しさとはこういうものなんだよと飲み込まざるを得ない結末になってるものが多いのだ。でも著者は社会的責任のある結末をという批判に応えて執筆されたらしい。かわらず財前と里見、控訴人と非控訴人の対比がものすごい綿密な専門知識で描かれていて、ただただすごい。それにしても、「華麗なる一族」でも描かれていたが、財前の最期を前にした人間としての医者の姿と弱さと、人は死というものをここまで目前にしなければ自分の愚かさに気づかないものなのか。

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著者プロフィール

山崎 豊子(やまざき とよこ)
1924年1月2日 - 2013年9月29日
大阪府生まれの小説家。本名、杉本豊子(すぎもと とよこ)。 旧制女専を卒業後、毎日新聞社入社、学芸部で井上靖の薫陶を受けた。入社後に小説も書き、『暖簾』を刊行し作家デビュー。映画・ドラマ化され、大人気に。そして『花のれん』で第39回直木賞受賞し、新聞社を退職し専業作家となる。代表作に『白い巨塔』『華麗なる一族』『沈まぬ太陽』など。多くの作品が映画化・ドラマ化されており、2019年5月にも『白い巨塔』が岡田准一主演で連続TVドラマ化が決まった。

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