木槿の花 (新潮文庫 や 7-26 男性自身)

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  • Amazon.co.jp ・本 (386ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101111261

作品紹介・あらすじ

どうにも暑くてやりきれない8月のある日、私はふと庭に咲く木槿の花に目を奪われた…悪戯っぽい少女と快活な少年と人生の達人である中年女性とが同居していた向田邦子を、純白の木槿の花に託して懐旧した随想を中心に、身辺で起きたヨシナシゴトを、時には絵描きの眼で、時には作家の眼で切り取りました。『男性自身』から精選したエッセイ60篇を収録。今回はちょっぴりしんみりさせます。

感想・レビュー・書評

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  • 八月三十日 山口瞳文学忌
    1926.1.19〜1995.8.30 草臥忌 俳号から

    作家でエッセイスト。こちらは、過去の四冊のエッセイ集からセレクトされた一冊。
    向田邦子さんの文学忌名は、山口瞳さんが考えたとのこと。このエッセイ集前半に、「木槿の花」と題して、追悼9話が収録されている。

     向田邦子さんは、少年と少女と中年女性の魅力を持ち、どれだけ周囲から可愛がられていたか、楽しいエピソードや、呆れたエピソードを盛り込みながら書かれています。前年、向田さんの直木賞を推した一人でもあり、亡くなってから、直木賞を取っていなければ、という声も聞こえてきたようです。
    向田さんが亡くなった日に ご自宅の庭で木槿の花を見つけ、その日のうちに文学忌名を考えたとか。
    後半は、野球系のエッセイや、将棋、競馬、と幅広い。同業者も時折取り上げていて、懐かしい名前もあり面白いだけでなく、人生の後半の哀愁もありました。

  • 山口瞳(1926.1.19~1995.8.30)著「男性自身シリーズ 木槿(むくげ)の花」、昭和57年4月発行。著者は向田邦子の大ファン、悪戯っぽい少女と快活な少年と人生の達人であろうところの中年女性とが同居している。一粒で三度おいしい趣きがあると。昭和55年7月17日、直木賞選考の夜、劣勢の「思い出トランプ」を強力にバックアップしたのが、水上勉、阿川弘之、そして山口瞳だったそうです。向田邦子は、その翌年昭和56年8月22日、絶頂期に航空事故死で没。

  •  再読。読んでいて気持ちよいのは、切れ味良い文体、昭和時代の温もり、作者の人柄と思想の根本に安心できるからだろう。事故死した向田邦子氏について詳しいが、作家というのはこういう距離でこういうふうに書くものなのか。解説の久世光彦氏の文章が凄い。何だか「あ、うん」の世界のようだ。毎年正月の向田邦子脚本、久世光彦演出、田中裕子主演のTV特別番組を見たいと思った。

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著者プロフィール

1926年東京生まれ。小説家、随筆家。『江分利満氏の優雅な生活』で直木賞受賞。おもな著作に31年間連載したコラムをまとめた「男性自身」シリーズ、『血族』『居酒屋兆治』など。1995年没。

「2014年 『ぐつぐつ、お鍋 おいしい文藝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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