死者の奢り・飼育 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 4328
感想 : 357
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101126012

感想・レビュー・書評

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  • 他人の足が面白い。同志だと思っていた仲間が贋物だとわかった瞬間や気持ち悪くて卑しく終わっていく最後がたまらなかった。
    人間の羊も良かった。最初は正義感の為に動いていた教員が次第に壊れていく様はとても怖かった。

  • 死者の奢り・他人の足・人間の羊
    が特に良かった。

  • 3.64/3348
    『死体処理室の水槽に浮沈する死骸群に託した屈折ある抒情「死者の奢り」、療養所の厚い壁に閉じこめられた脊椎カリエスの少年たちの哀歌「他人の足」、黒人兵と寒村の子供たちとの無残な悲劇「飼育」、傍観者への嫌悪と侮蔑をこめた「人間の羊」など6編を収める。“閉ざされた壁のなかに生きている状態”を論理的な骨格と動的なうねりをもつ文体で描いた、芥川賞受賞当時の輝ける作品集。』
    (「新潮社」サイトより▽)
    https://www.shinchosha.co.jp/book/112601/

    目次
    死者の奢り/他人の足/飼育/人間の羊/不意の唖/戦いの今日

    死者の奢り
    (冒頭)
    『死者たちは、濃褐色の液に浸って、腕を絡みあい、頭を押しつけあって、ぎっしり浮かび、また半ば沈みかかっている。彼らは淡い褐色の柔軟な皮膚に包まれて、堅固な、馴じみにくい独立感を持ち、おのおの自分の内部に向って凝縮しながら、しかし執拗に躰をすりつけあっている。』

    『死者の奢り・飼育』
    著者:大江健三郎
    出版社 ‏: ‎新潮社
    文庫 ‏: ‎320ページ
    受賞:1958年上半期 第39回芥川賞受賞(「飼育」)

  • 独特の世界観がとても良く勉強になりました。

  • 特に死者の奢りが素晴らしかった。どこか突き放した様な、でも肉薄してくる表現、文章。短編でなかったら、星5だったと思う。

  • 何気ない描写や書きぶりから生々しさというか、エロさというものが溢れ出していた。文学作品は、その作品に描かれている一種の「暗さ」みたいなものに惹かれる。

  • 都市伝説としてきいたことはある病院の地下でホルマリン漬けの死体を底へとしずめるバイトで、内心、死者と語りあい、手違いでタダ働きをさせられそうで、さらに追加の無賃仕事も押しつけられそうになる「死者の奢り」。脊椎カリエスで二度と歩く望みのない少年たちと、そこへやってきた学生が彼らの怠惰な日常に新風を吹き込んだかに思えたが、学生の足が快方に向かったことで誰からも話を聞いてもらえなくなり、また元の淀みにもどっていく「他人の足」。戦時中の山深い村に墜落した黒人兵が監禁され、最初は恐れられ、徐々に村に溶け込み、最後は子供を人質に生き延びようとするも殺される「飼育」。バスで酔った米兵たちに戯れにズボンを脱がされ辱められた男たちと、傍観者だったくせに不正を正すには犠牲が必要だと詰め寄る教員の偽善、「人間の羊」。米兵を連れた通訳が、最初は歓迎されるも、自分の靴がなくなったのは村人のせいだと決めつけ、ついにはリーダーを撃ち殺し、かえってみずからも川に沈められ、村人たちは何事もないかのように反応を見せなくなる「不意の唖」。米兵を混乱させるために、脱走すべきとビラをまいたら、本当に脱走してきて、何の用意もなく匿うことにした兄弟の困惑と矜持と暴発、「戦いの今日」。/黒人兵への気持ちが、恐怖から憧憬へと転換していく様の描写がみずみずしい「飼育」。己の正義をつゆほども疑わぬ「人間の羊」の教員の身勝手な偽善。次々と好意を得ていく段階の学生をみつめる「他人の足」の主人公の複雑な気持ち。あたりが、印象に。

  • 目に見えないぬるぬるとした暗さがまとわりつく短編集。何層にも折り重なった醜悪な感情に、一つひとつ、生々しくも名前をつけていきます。

  • どっしりとしていて重厚な文章。
    描写のしかたは流石に凄い。

    昭和初期のワケわかめな文学的話でもなく
    きちんとストーリーのあるお話。
    なのだが、暗いよー。
    楽しさや爽やかな読後感を求めている人には不向き。

  • 初めて大江作品を読んだ。
    これを読んだ記憶は、そうそう消えないだろう。
    読みやすく、ぐいぐい読める。
    気づくと、沼みたいなものにハマっている。

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著者プロフィール

大江健三郎(おおえけんざぶろう)
1935年1月、愛媛県喜多郡内子町(旧大瀬村)に生まれる。東京大学フランス文学科在学中の1957年に「奇妙な仕事」で東大五月祭賞を受賞する。さらに在学中の58年、当時最年少の23歳で「飼育」にて芥川賞、64年『個人的な体験』で新潮文学賞、67年『万延元年のフットボール』で谷崎賞、73年『洪水はわが魂におよび』で野間文芸賞、83年『「雨の木」(レイン・ツリー)を聴く女たち』で読売文学賞、『新しい人よ眼ざめよ』で大佛賞、84年「河馬に噛まれる」で川端賞、90年『人生の親戚』で伊藤整文学賞をそれぞれ受賞。94年には、「詩的な力によって想像的な世界を創りだした。そこでは人生と神話が渾然一体となり、現代の人間の窮状を描いて読者の心をかき乱すような情景が形作られている」という理由でノーベル文学賞を受賞した。

「2019年 『大江健三郎全小説 第13巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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