悪女について (新潮文庫)

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  • 新潮社
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レビュー : 206
  • Amazon.co.jp ・本 (528ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101132198

感想・レビュー・書評

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  • 人の思い込みって本当に怖い。
    特に惚れた女に対する男達の、自分よがりの願望ともとれる「妄想」は滑稽で何度も苦笑いしてしまった。

    27名の証言に基づき徐々に顕かになる、謎の死を遂げ世間を賑わす女・富小路公子の物語。
    様々の立場の老若男女の証言が増える度に、謎はますます深まり彼女の死の真相は藪の中。
    彼女の真実の姿と死の真相は我々読み手に託された形となったけれど、私には最後の次男の証言が特に印象深いものとなった。

    若い頃母に向かって言い放ったセリフ「清く正しく、夢のある人生が私の理想」。
    あらゆる手段を使って己の「夢」を貫いたかに見えた彼女は、若い頃からの理想の人生を歩むことが出来たのか、本人に聞いてみたかった。
    本人が全く登場せず証言上の彼女の姿を想像する物語は面白く、深く考えさせられる作品だった。

  • この本は面白い!
    そして読みやすい!

    ベランダから転落死した女実業家のことを、彼女の周りの人間が話すその会話によってなりたった本なのですが、人の会話なので読みやすいし興味深い。
    それも有吉佐和子さんの文章力があってのことだと思います。

    亡くなった富小路公子は宝石商、不動産経営、女性専用の会員制クラブなど、さまざまな事業を展開する女実業家。
    その公子がバルコニーからイブニングドレスを着たまま昼間に転落死する。
    周囲からは自殺の原因も無いし、他殺かも知れないとさまざまな証言が飛び出す。
    そしてその証言から彼女の隠された生い立ち、性格、生きざまが浮き彫りになる。

    一緒に夜学に通った男性、同級生、彼女とつき合った男たち、彼女の子供・・・。
    語る人によりさまざまに姿を変える彼女。
    ある人は清廉潔白な人だったといい、ある人はとんでもない悪女だと言う。

    とにかく嘘に嘘を重ね、虚飾の人生を生きてきた人だったのだなと思います。
    でも嘘って必ずバレるんですよね。
    不思議なことに・・・。
    私などは昔から嘘をついたらすぐバレると言われるくらい顔に出るからつかないけど、普段嘘をつきなれてる人ですら後で考えるとおかしい・・・とか辻褄が合わなくなり結局バレてしまう。
    恐いのは嘘をつく人って、その嘘が本当だと思いこむようになる事なんです。
    そういう人を何人か知ってますが、必ず自分の都合のいいように事実を変えていく。
    そして、そういう人たちは口が達者なので、「昔のことだし、もうそう思いこんでるならそう思わせとくか」と思わせるところがあるんですね~。

    あと人間って同じ人でも見る人によって全然変わってきますよね。
    ある人は「あの人は優しい」と言うし、ある人は「冷たい」と言う。
    どちらも真実なんだと思います。

    私はこの亡くなった女性、悪女かも知れませんが嫌いじゃないです。
    とにかく自分の目指すところに向かい、必死に生きてきた人生。
    走り抜けるような人生だったのだな~と思って、その精神力が羨ましいと思いました。

    • katatumuruさん
      vilureefさん、こんにちは!
      コメントありがとうございます(^^)

      そうかぁ~。
      慣れたらコメントも長文になっていくんですね。
      ここ...
      vilureefさん、こんにちは!
      コメントありがとうございます(^^)

      そうかぁ~。
      慣れたらコメントも長文になっていくんですね。
      ここって、自分がつけたコメントにコメントの返しがあったのかどうか通知がないのが悲しい所だと思います。
      何せ、私記憶力が悪くて誰にコメントをしたか忘れてしまうので・・・^^;

      ザ・女流作家ですか~。
      もう林真理子さんも大御所ですよね。
      角田さんは私も時々読みますが、すごくいい作品とそうでもないのと結構差があるような・・・。
      いろんな試みに挑戦されてるな~とは見てて思います。

      私は個人的に今時の言葉でいうと「イヤミス」系の話が好きで、昔からそういうドロドロしたのを好んで読んでるんですけど、その辺りの作家サン・・・湊かなえさんとか、真梨幸子さんとかに注目してます。
      vilureefさん、その辺りの嫌~な感じの話を書く作家さんに心あたりがあれば是非、教えてください~(^^)

      こちらこそ!
      今後ともよろしくお願いします(^^)

      2013/08/09
    • vilureefさん
      ああ、確かにそうですね。
      誰にコメントしたか忘れちゃうことありますね(笑)
      取り敢えず毎日目を皿のようにしてチェックです!

      湊かなえさんか...
      ああ、確かにそうですね。
      誰にコメントしたか忘れちゃうことありますね(笑)
      取り敢えず毎日目を皿のようにしてチェックです!

      湊かなえさんか・・・。
      どうもデビュー作の衝撃が強すぎて(^_^;)
      イヤミスだったら沼田さんはお読みになりましたか?
      「ユリゴゴロ」なかなかでした。
      katatumuruさん、たくさん読んでらっしゃるからお勧めできるものないな(≧∇≦)

      好き嫌い別れそうですが、期待の作家は窪美澄さんですね。
      心情をえぐり出す感じがたまりません。

      私もいい人ばかり出てくる小説よりも、どうにもならない人間の性を描いた作品が好きですね〜。





      2013/08/10
    • katatumuruさん
      ハハハ・・・(*^▽^*)
      目を皿のようにしてチェックですか~。
      やっぱ自分で覚えてないとダメなんですね^^;

      色々とオススメ本を教えてい...
      ハハハ・・・(*^▽^*)
      目を皿のようにしてチェックですか~。
      やっぱ自分で覚えてないとダメなんですね^^;

      色々とオススメ本を教えていただいてありがとうございます(^^)
      沼田さんの「ユリゴコロ」は以前読みました!
      あれは独特な世界観の中に静けさを感じられるような作品で、面白かったと思います(^^)

      窪田澄さんは初めて聞きました~。
      早速チェックチェックです。
      心情をえぐりだす感じっていいですね!

      私もいい人ばかり出る小説はどうも苦手です(-_-)
      何かキレイごとっぽくて表面上の事しか書いてないような・・・物足りなさを感じます。
      たまにはそういうのが読みたい時もありますけど・・・。
      濃密な人間心理や人間関係が書かれたものが好きです(^^)
      それでいうと、やっぱり最近の小説は物足りないと感じるものが多いんです。
      でもそういうのが結構世の中では売れてたりして・・・自分と世間とのズレをいつも感じてしまいます(-_-)
      2013/08/10
  • 沢尻えりか主演のドラマが面白かったので読んでみた。ドラマの印象が強かったのでどうしても公子の描写では沢尻えりかの顔が浮かんでしまう。それにしてもぴったりの配役だったなと思う。
    今読んでも全く色あせることのない面白さ。なんで今まで有吉作品を読んでみなかったのだろう。ぐいぐい引き込まれて読み終わってしまうのが惜しいほど。
    最終的には真実の公子を読者にゆだねることになるのも、またいい。脱帽。

    • 夢で逢えたら...さん
      これ、面白いですよね〜!
      有吉作品の面白さは、人の心の奥深くをぐいぐいえぐり出すところだと私は思います。

      「非色」は15年ほど前に読...
      これ、面白いですよね〜!
      有吉作品の面白さは、人の心の奥深くをぐいぐいえぐり出すところだと私は思います。

      「非色」は15年ほど前に読んだもので、その時に受けた衝撃と感動は覚えているのですが、細かい所は正直忘れてしまっています。
      大好きな作品だけに中途半端なレビューではなく、再読した際に書こうと思っています。
      気長にお待ち下さいませ。ごめんなさい。
      2014/02/07
  • ひさしぶりに読んだ。読むものがないときに夢中になれる殿堂入り鉄板小説のひとつ。
    本当に面白い。

    --------------------------------------
    中学生 八百屋の父親死亡、旧華族の家に女中として働きに出る。宝石の職人と親しくなる。
    16歳 簿記の夜学に通う。ラーメン屋の親父、華族家の息子の愛人となる。ラーメン屋のレジをやりつつ最初の夫と同棲。こっそり入籍し、長男妊娠。
    17歳 長男出産 夜はラーメン屋、昼は宝石店で働く。旧華族たちから宝石を集め始める。
    18歳 次男出産、最初の夫が入籍に気づき裁判。
    22歳? 最初の夫と離婚成立、大金を得る。おそらくこのお金をもとに土地を転がしはじめる。ラーメン屋の親父からレストランの経営を任され、経営者に。
    27歳 2度目の結婚。子どもは親の養子にしたため子持ちであることはバレない。
    29歳 離婚。慰謝料として都内の一等地を得る。二人の子を引き取る。
    30代 高級ジムを開く。そこに集まってきた金持ちたちから宝石を安く買い取り、彼らに模造宝石を高額で売る。ごまかせる相手かどうか見極めて売っていた模様。年齢は10歳サバを読む。タレント活動を始める。長男が駆け落ち同然で結婚。
    40歳 ジムの若手トレーナーと婚約。結婚式の数日前にビルの窓から飛び降りる。
     ラーメン屋(次男の父)とは四日前に会っていた。華族の息子(長男の父)とは、結婚式のあとで会う約束をしていた。ふたりともずっと続いていた。

    秘儀は美貌と床上手。「あの女の味を知ってしまったら」なんて台詞、男に言わせてみたいもんだよ。どこで覚えたんだ。
    そして謙遜。けして自慢せず人の悪口を言わず、口先では感謝しまくる。利用されたことに相手が気づいて怒ると、「そんなつもりはなかったのに、誤解されて悲しい」と泣く。
    付け届けは欠かさない。世話になった人、役にたちそうな人には必ず何か、すごいものをあげてる。人付き合いのお金は惜しんだらいけないのね。

    不思議なのは、華族息子との恋愛の継続と、最後の婚約。二度の結婚とラーメン屋は、明らかに財産目当てだが、このふたりとの恋愛にはメリットがない。ラーメン屋だって成功してからは捨てたってよかったはず。
    もしかして本当に好きだったんだろうか。この女に限って、と思うけど、そういいきれない可愛げが公子にはある。
    実の母親に対する態度は嫌な気持ちになるけど、宝石鑑定の人のことは本気で慕っているようにも見える。

    主人公の主観一切なしでこれを書いたのもすごいが、主観では書けなかったのではないかと思う。
    好感とも違うが、女にとってはスカっとするところもある。普通に玉の輿にも乗れたのに、それをせず、男を利用してのし上がって行くのが。


    女とインテリには嫌われてるけど、男とバカには好かれるよう。私はバカの部類に入ります。

  • ある1人の女性の死に関して、27人が証言していく…。

    実際彼女がどんな人物だったのか、なかなかつかめない。
    またそれが、女・人間の恐ろしさか…。


    小説の構成自体が斬新。

  • 2018.5.30 読了

    長編なのに、すごく読みやすかった。
    インタビュー形式なので、文章も硬すぎず、すんなり頭の中に入ってきた。

    物語の中心、富小路公子が本当は何者で、何のために嘘を重ねて生きたのか。
    それが本当に彼女の言う、「美しいもの」のためだけに、そうしてきたのなら、恐怖を感じる。
    しかし、最後にもっと明確なオチがあるのかと思ったが、個人的にはそんなにスッキリするものはなかった。
    まあそれが、狙いなのかもしれないけれども。

    彼女の存在もだが、一体インタビューしてきた週刊誌の人も何者なんだろうか…。

  • ひとりの謎めいた女性の生涯を、彼女を知る人々の語りで伝えるというもの(典型的ドキュメンタリー仕様)。それぞれの章の語り手(インタビューに応えるえるかたち)となる人物のだれもが巧く描き分けられていて、その異なる立場で語られる主人公への毀誉褒貶が魅力ある人物像を形作っている・・つまり作者の狙いは成功している。ただ全体に古臭さの感じられるもので、またそれはもしかしたら刊行時に読んだとして同様に感じられたものであったかもしれない。
     昭和の匂いのするエンタメの佳品。

  • 悪女っていうのはやはり人を強烈に惹き付ける何かを持っている女の人のことを言うんだなと思った。
    主人公の富小路公子という女の印象は、人によってとてもいい人か性悪女という2つに分かれている。どちらにしても人々の記憶に刻み込まれるような存在であったに違いない。
    解説にもあったが、本人の口から自分自身について語られていないところに面白さがあるのだろう。公子の口癖である「まああ、」を思い出してはどんな人物であったのか想像してしまう。

  • ぐいぐいと惹きつけられて最後まであっという間だった。
    ミステリーに近いエンターテイメントとして優れていると思う一方、この本をどう捉えればいいのか、自分がこの作者の意図を掴められているのか不安になった。

    富小路公子の人間像を27人の視点からあぶり出すのだが、
    彼女の何が真実なのか、分からない。公子をどう思うのか。読み手によっても変わってくる。

    そして、公子をどうとらえるのかを考える自分すらもその中の1人に過ぎないことが分かる。
    「虚飾の女王」の事件が起きた時、それを捉えられている人というのは誰もおらず、一人ひとりの接点から浮かび上がる事実を紡いで、それをあたかも「事実」として受け止めなければならない。
    これは「週刊朝日」の連載だったが、連載で読んでいたならば
    「あなたは、一つの記事をどう読むのか」と有吉佐和子に挑戦状(問いかけ)を送られているような感じだったんだろうと思う。

    「真実はない、事実の積み重ねがあるだけだ。そこには虚実ないまぜになった証言しか残らない」

    公子をどう思うかという問いかけから、報じるとはどういうことなのかまでを問いかけている。27人は口々に言う。

    「週刊誌はあることないこと書き立てて、ひどいですよね」
    でもあなたの見た公子すら、嘘か本当か分からないじゃないの……

    有吉佐和子の挑発。格好が良すぎませんか。

    ※岡崎京子の「チワワちゃん」は有吉作品に強く影響を受けたものだと感じました。

  • 沢尻エリカ主演でテレビドラマでやってたのを見て借りた
    男性と付き合って、当たり前に子どもが出来てなぜ悪女か?
    テレビではずいぶん省略されて、2回目(一回目は男性に黙って籍を入れ)の資産家との結婚生活はカットされていて、
    最後の仕事内容もふわっと紹介する程度
    (エステ・美容体操ありの婦人専門の会員制クラブ)
    当時にしては衝撃的だったのだろうか
    母を偽り、宝石詐欺を働いたことは褒められないが、
    今はこんな人ゴロゴロ居そう。
    まわりの人のインタビューばかりで本人の思いは一切出てこない、
    宮部みゆきの『火車』を思い出した。
    美人も大変やなと思い、読後感は悪くない。

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著者プロフィール

有吉佐和子(ありよし さわこ)
1931年1月20日 - 1984年8月30日
和歌山県和歌山市出身の小説家、劇作家、演出家。娘は作家の有吉玉青。日本の歴史や古典芸能から現代の社会問題まで幅広いテーマを扱い、多くのベストセラー小説を発表している。
東京女子大学英文学科入学後に休学を経て、1952年同短期大学部英語学科卒業。1956年に『地唄』が文學界新人賞候補、そして芥川賞候補となり文壇デビューを果たす。1963年『香華』で第1回婦人公論(中央公論新社)読者賞、第10回小説新潮賞を受賞。1979年 『和宮様御留』で第20回毎日芸術賞を受賞。ほか、多くの受賞歴がある。
その他の代表作に、『複合汚染』、『紀ノ川』、『華岡青洲の妻』、『恍惚の人』、『出雲の阿国』、『和宮様御留』など。

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