硫黄島に死す (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101133164

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  • 城山さんの体験に基づいた短編集。
    戦争の残酷さ、まだ幼い少年兵をいたぶる上官。戦争で人は内部までおかされてしまうのか。

  • 全7作品よりなります。
    全5作が戦争小説です。
    後半2作は城山三郎さんには珍しく私小説です。

    自己の体験から,戦後の残された者たちや社会を書いた貴重な作品です。

  • (欲しい!) 硫黄島/文庫

  • 10.1.17

  • (2009.03.11読了)
    7つの短編が収められています。「硫黄島に死す」「基地はるかなり」「草原の敵」「青春の記念の土地」「軍旗はためく丘に」「着陸復航せよ」「断崖」です。最初の5編は、戦争小説です。「着陸復航せよ」は、航空自衛隊に材を取った航空小説。「断崖」は、私小説風の小品です。本の後ろの「解説」に適切な内容紹介がしてありますので、興味を持った方は、解説を読んでみてから、読む・読まないを決めるといいと思います。

    映画「硫黄島からの手紙」2006年、に馬に乗って海岸を走る軍人がいました。ロサンゼルスオリンピック大会(1932年)で馬術、大障碍飛越競技で優勝した西竹一中佐です。
    「硫黄島に死す」は、西中佐を主人公にした話です。「硫黄島からの手紙」の脚本家も、この小説を読んだのではないでしょうか。
    西は、騎兵学校で学び、騎兵連隊で過ごした。騎兵士官の心得に(一、服 二、顔、 三、馬術)という言葉があるそうです。騎兵士官たるもの、まず容姿に気を配れというわけで、伊達者にならざるを得なかった。
    ロサンゼルスオリンピックには、ヨーロッパの馬術チームは参加しなかったそうです。馬術は貴族の遊びで、馬を大事にしている。遠いアメリカまで馬を送って傷つけでもしたら、という気持ちで、参加しなかった。(34頁)
    1936年のベルリンオリンピックでは、「西も落ちたし馬も落ちた」ということで、惨敗だった。西が転倒したのは、主催国ドイツの勝つための仕掛けがあったためということです。
    大障碍の水濠の深さが右寄りの部分を残して、深くえぐってあった。ドイツチームは事前に知らされていたので、右寄りに飛んで転倒を免れた。(38頁)
    太平洋戦争のころには、騎兵連隊は、戦車連隊に衣替えしており、西中佐、43歳も、硫黄島へ赴任するときは、戦車第26連隊長としてであった。
    西の最後の突撃は、3月22日であった。
    (2009年3月20日・記)

  • 映画を見て衝撃を受け、表題作だけ目当てに図書館で借りました。
    私が考える戦争をテーマにした小説の理想を具現したような書き方だったと思います。
    戦争の悲惨さを伝えるのが目的とか、戦争の良い悪いを主張するとかじゃなくて、戦争の中で流れに呑まれながら生きた人たちの時間をそのままに切り取るような。それこそが本当に戦争を伝えるってことじゃないかなと。

  • オリンピック開催時期と終戦記念日が重なった今年、馬術・法華津選手の出場という話題もあり興味が出てきたのがバロン西。名前だけで、いつ活躍した選手だったのかも知らなかったです。戦争というとどうしても惨めさやひもじさ、浅ましさが先に来てしまうので積極的に触れたい話題ではなかった。中にはそういう作品もありましたが表題作では何よりも妻・武子の悲しみが深く心に刻み込まれました。豪気で遊びも派手だった西の妻として、噂になった女性と仲良くなったり夫の顔や対面を崩さないように振舞うのが辛くなかったわけじゃない。将来年を取ってから「あんな苦労があったのよ」と笑えるようになりたい。そんなささやかな幸せがもう叶わない。たった数行のその下りが忘れられません。

  • 夏休みには戦争について考える良い機会だ。このような本を毎年キチンと探して継続させよう。

  • ロサンゼルス五輪の馬術で金メダルを獲得しながらも硫黄島で死ななければならなかった西中佐の話。などの短編。

  • 戦争に関する本が好きな人にはお勧め。

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著者プロフィール

1927年、名古屋市生まれ。海軍特別幹部練習生として終戦を迎える。57年『輸出』で文學界新人賞、59年『総会屋錦城』で直木賞を受賞。日本における経済小説の先駆者といわれる。『落日燃ゆ』『官僚たちの夏』『小説日本銀行』など著書多数。2007年永眠。

「2021年 『辛酸 田中正造と足尾鉱毒事件 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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