硫黄島に死す (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101133164

感想・レビュー・書評

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  • クリント・イーストウッド監督の「硫黄島」シリーズを観て、その勢いで買ってしまった本。でも、それは正解だった。映画の中で一番印象に残ったバロン西が主人公の表題はもちろん、戦争を題材にした短編の数々は、「戦争」がもたらすものの大きさ、計り知れない力は何だろうと考えさせる。こういう人が亡くなってしまった後には、一体どうなるんだろうとつい思ってしまう。

  • どうしてもオリンピックで勝たなければならなかった馬術日本団。
    どうしても戦争で勝たなければならなかった日本軍。

    戦争物だけど、破裂するような悲惨さではなくて
    鉛のように重い感じがじわじわ後まで残る、城山三郎の腕の良さが見えます。

    7編ある内の最初の4つしか読んでないけど、どれもよかった。

    次は「鼠」を読みたい・・

  • 「硫黄島に死す」は同名小説を含む短編集で、
    この間、新潮文庫の100冊フェアにも並んでました。新潮の100冊フェアも長いなぁ。

    ちなみに「硫黄島に死す」は2007年12月公開予定で映画化も決まっているそうで、なんとなく見に行こうかななんて思いも。
    その関係なのか、バロン西をテーマにした特別展「バロン西と硫黄島の戦い」が、北海道本別町の歴史民俗資料館で開催中(期間:2007年7月3日〜22日)なんだって。

    でも、この小説で一番心に残ったのは実はバロン西ではなく、同収録「基地はるかなり」の死刑囚の「あわあわと生きる」という言葉です。
    「基地はるかなり」では、特攻隊として死ぬはずの元少年兵がやがて死刑囚となるまでを辿った終戦後の人生を描いています。その中で彼の人生観を「日々をあわあわと生きる」という言葉で表現しているのですが、この「あわあわとして生きる」という表現がとても気に入ってしまったのです。

    私もまた彼の言う「あわあわ」とした生活を目指している、求めている人間と思うのですが、
    「あわあわ」とした生き方はたぶん現実的に流れている実社会では実用的ではないんですよね。まして彼の生きた時代、立場ではより「あわあわ」が幻想だと気付かなくちゃいけないんだと。でも、戦後がさらに進み、ぼやっとした現代においては、この「あわあわ」とした人々が実はすごく多いんじゃないかなとも思わされます。うん、「あわあわ」と生きちゃダメなのかもしれません。でも、「あわあわ」と死にたいとは思います。

    この他にも、

     「草原の敵」
     「青春の記念の土地」
     「軍艦旗はためく丘に」
     「着陸復航せよ」
     「断崖」

    以上を合わせて全部で7編が収録されています。

    いずれも、戦争というものに関わった人間のさまざまな視点・観点から描かれ、戦争という時代がよりリアルに伝わってくる気がしました。

    戦争関係にはほとんど疎かった私ですが、この小説は本当にいい小説だな〜と思いました。

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著者プロフィール

1927年、名古屋市生まれ。海軍特別幹部練習生として終戦を迎える。57年『輸出』で文學界新人賞、59年『総会屋錦城』で直木賞を受賞。日本における経済小説の先駆者といわれる。『落日燃ゆ』『官僚たちの夏』『小説日本銀行』など著書多数。2007年永眠。

「2021年 『辛酸 田中正造と足尾鉱毒事件 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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