- Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101133164
感想・レビュー・書評
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9784101133164 322p 2007・1・25 29刷
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戦争の悲しさがみごとに表現されている。西騎兵中佐の最後は凄惨そのものである。
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ロサンゼルス五輪・馬術の金メダリストにして、当時としては型破りな国際人でもあった「バロン西」こと西竹一中佐が、どのような経緯で、陸軍の軍人として硫黄島に送られ、そこでどのように戦い、どのように亡くなったかを描く「硫黄島に死す」ほか、戦時中の出来事を題材にした短編が収められている。戦争が日常であった時代を少年兵として体験した著者ならでは描写が生々しい。
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10/07/26 西中佐の意外な一面を知った。
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城山三郎の短編集を初めて読んだ。
城山三郎の文章は常に簡潔である。それは砂漠に水を注ぐかのようなのに、気付けば洪水が起こっているような、そんな感じ。
ここに載せられている全ての話が、そんな読後感をを味あわせてくれた。
そんなに深く何かを投げかけるかのような感じでもないけど、心に何かを残してくれた7つの短い話に乾杯! -
なかなかオチがいい作家だなぁ
この作家は初めてに近い(キングスレイ ウォードの訳は読んだことがある)。
「著者の戦争体験と深くかかわった作品7編を集めた短編集」といわれる本書を読んだ感想はなかなかいいものだ。
なんというか、淡々としていて説教くさくなく、しかも余韻がある感じ。いいワインを味わう感じもしくは後から辛さがきいてくるインデアンカレーの感じだろうか。
(なんちゅうたとえや・・・)
作品は以下の通り。
硫黄島に死す
まさに表題作。硫黄島で有名な栗林ではなく西から見た戦記かな。かたくなに「勝たなくては」と思う日本の狭さがよく表現されている。
基地はるかなり
銀行頭取・死刑囚二人のそれぞれの生き様。二人の運命は戦争時の一点だけで交わっている。日常の中で戦争と戦友である死刑囚をさくっと振り切るラストが気持ちいい。
草原の敵
遙か異国での少年兵の話だが、イマイチ感情移入ができずに終わった。
青春の記念の土地
なんとなくいい感じがするんだが、戦争を知らない我が身にはイマイチ伝わらないものがあるのかもしれない。
軍艦旗はためく丘に
淡路や宝塚が出てくるので親しく読むことができた。しかし、これも少年兵の頓死がテーマになっており、ピンとこない雰囲気かな。
着陸復航せよ
米人航空技術教官の姿が描かれるなんか一風変わった作品。帰国直前に頓死させる必要があるのか? 伝えたいことが伝わってこないいらいらが残るな。
断崖
前6作とは趣が大いに異なる作品。エッセイのような感じ。便利さ、快適さとかいったものへのアンチテーゼか。より深いテーマがあると思うのだが、この短編からは読みとれない。でも、この伏線はどこかで明らかにされるような気がする。そのときが楽しみだ。 -
戦前も原材料はアメリカに頼っていたのでやっぱり
日本は戦争はしちゃいかんな。。
でもアメリカが対日輸出禁止とかしたから
踏み切らざる得なかったんだけど。 -
バロン西の「硫黄島に死す」(表題作)と、ローリー大尉の「着陸復航せよ」が印象的でした。
どの物語にも、戦争を生き、死んでいく人々の姿がどこか淡々と描かれていて、
それが一層戦争の非情さを際立たせている印象です。
救いがなくて、1話読むたびに休憩をいれたくなってしまいます。
登場人物が皆とっても魅力的なだけに、余計つらい。