釈迦 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (326ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101144382

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  • いわゆる釈迦が涅槃にたどり着くまでの話。とはいっても、晩年の釈迦が弟子に過去の事を語る感じで話は進む。
    本書では、いわゆる釈迦は、世尊とよばれる。
    世尊は、この世で満たすあらゆる欲望には、深い患いの伴うことを知った。人間の究極の自由と心の平安を求めて世尊は王子の地位を捨て、修行の道へはいった。人々の真の平安は、富でも、武力で保つかりそめの平和でもない。なにが、真の平安なのかを探し求めるために世尊は旅を続けるのであった。
    世尊は、女性こそ人間の煩悩の最もたるもの、渇愛の元凶だといった。女性の容姿の美しさ、可愛らしさにまどわされ、柔らかな体、滑らかな皮膚、豊かな髪、男にとって心地よいものはすべて女性に備わっている。その魅力はたちまち男を刺し殺すと。
    しかし、反対に、世尊は男女は平等だ、ともとく。はじめは、女性は出家できない、としていたが、前述のような弟子からの巧妙な弁論のため、この世に尼僧を誕生させてしまい、これにより、仏法は、五百年早く滅んでしまうといった。
    本書では、とくに、仏教の教えについて、世尊の話したことや、体験を通して語られるような小説ではないのが、物足りない。世尊が、仏法でこのように諭したのは、こういう事実があったからだよ、など、小説で読めれば楽しく、また、仏教への理解も深まるのにと期待していたのだが残念だ。

著者プロフィール

1922年、徳島県生まれ。東京女子大学卒業。63年『夏の終り』で女流文学賞、92年『花に問え』で谷崎純一郎賞、11年『風景』で泉鏡花賞を受賞。2006年、文化勲章を受章。2021年11月、逝去。

「2022年 『瀬戸内寂聴 初期自選エッセイ 美麗ケース入りセット』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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