釈迦 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2005年10月28日発売)
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感想 : 20
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いわゆる釈迦が涅槃にたどり着くまでの話。とはいっても、晩年の釈迦が弟子に過去の事を語る感じで話は進む。
本書では、いわゆる釈迦は、世尊とよばれる。
世尊は、この世で満たすあらゆる欲望には、深い患いの伴うことを知った。人間の究極の自由と心の平安を求めて世尊は王子の地位を捨て、修行の道へはいった。人々の真の平安は、富でも、武力で保つかりそめの平和でもない。なにが、真の平安なのかを探し求めるために世尊は旅を続けるのであった。
世尊は、女性こそ人間の煩悩の最もたるもの、渇愛の元凶だといった。女性の容姿の美しさ、可愛らしさにまどわされ、柔らかな体、滑らかな皮膚、豊かな髪、男にとって心地よいものはすべて女性に備わっている。その魅力はたちまち男を刺し殺すと。
しかし、反対に、世尊は男女は平等だ、ともとく。はじめは、女性は出家できない、としていたが、前述のような弟子からの巧妙な弁論のため、この世に尼僧を誕生させてしまい、これにより、仏法は、五百年早く滅んでしまうといった。
本書では、とくに、仏教の教えについて、世尊の話したことや、体験を通して語られるような小説ではないのが、物足りない。世尊が、仏法でこのように諭したのは、こういう事実があったからだよ、など、小説で読めれば楽しく、また、仏教への理解も深まるのにと期待していたのだが残念だ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: その他史記
感想投稿日 : 2019年9月3日
読了日 : 2019年9月6日
本棚登録日 : 2019年9月3日

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