面白南極料理人 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101153513

感想・レビュー・書評

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  • 第38次南極観測隊ドーム基地越冬隊9人の中で調理担当として過ごした日々のエッセイ。

    標高3800m、平均気温-57℃の想像を絶する環境の中で、トラブルあり、笑いあり、ストレスあり、アルコールありの笑って、胸にグッとくる話でした。軽い語り口ですが、その裏にどれだけの苦労があったことか。

    どんな時でも、どんな環境でも、食べるって大事だなぁと改めて思えました。そしてそれらを準備し、揃えることの大変さったら、、、。大量の食材を詰め込むところから興味深かったです。
    そして、水の調達の大変さと貴重さに驚きました。あんなに雪や氷があっても、極寒の中でそれらを水に変えることは全然別のことなんですね。

    それぞれの研究のため、そのサポートのためと集まったエキスパート達ですが、南極で過ごすには、人間力とか生命力みたいなのが必要なんでしょうね。上手く言えないですが。

    ちょっと調べてみたら、現在、南極観測隊は第66次隊が活動していて、女性の隊員も、もちろんおられますし、夏隊の隊長は初の女性のようです。
    しかも、ドーム基地は雪に埋没して建物の中での生活が危険な状態になったため、通年滞在を中止しているそうです。

    昔と状況は変わってそうですが、大変なことには変わりないのでしょうね。

  • 第38次南極観測隊ドーム基地越冬隊の経験をつづったエッセイ。

    とてもおもしろかった!
    海上保安官という、おかたい公務員のイメージを覆す、ユーモアのある文体。
    赤裸々な日々に、何度もふきだす。

    明るく豪放磊落。
    手を抜けるところは程よくぬき、南極での暮らしを楽しんでいるのが伝わる。

    毎日料理をする身としては、新規の食材が入ってこない状況で、1年間大人数の食事をまかないつづける筆者のすごさに脱帽。

    南極でも使えるレベルの冷凍食品の進化ぶりにも、驚く。

    必要なものが常にそろうとは限らない南極。
    臨機応変、柔軟な発想が大事だと痛感。

  • 富士山より高い標高3800m、年平均気温-57℃、酸素も薄い過酷な環境の南極ドーム基地での8人の仲間との一年の暮らしを綴った1冊。

    おもしろかった!
    そしてラストはしっかりグッときた。
    「そんな極寒地で人間って生きられるんだ」という驚きと笑いの1冊でした。

    全然笑い事じゃない体験がいっぱいなんだけど、著者の語りが実に軽くて楽しげだから生死に関わる緊迫感が希薄で笑ってしまう。

    南極観測隊のみなさん。
    研究員と設営(サポート)隊員が派遣されるとのことで、著者は調理担当として海上保安庁から派遣。

    著者の数々の料理や観測の様子、遊び心満載の仲間たちとの暮らしぶりが覗けます。
    食材は信じられないくらい豪勢だけど、代わりに一年間この生活をするかと問われたら…御免被りたい。

    特殊すぎて恐らく本書でしか味わえない体験ばかり。
    -36℃で「今日は暖かいな」と感じる南極感覚。
    人間の適応能力もすごいけど、彼らの肉体的・精神的タフさに拍手をおくりたい。
    あと、知られざる冷凍食品のラインナップにも衝撃を受けました。

  • 一年分の食事をやりくりするのだけで、本当にすごいなって思う。

  • 「読みたい本」に登録してから1年弱・・で、実現。

     いやあ、おもしろ楽しく読了。-70℃越えの極限状況で1年以上を過ごす・・・・これは、かなり壮絶な出来事かと。
     筆者の文体がまたユーモラスで語り口も面白いため、時折くすりと笑いをかみ殺しながら読んできた・・・。

    面白おかしいエピソードがたくさんちりばめられてはいるけれど、それはまあ、描写が面白いからそう思えるのであって、実際に自分が南極にいて同じ同じ出来事が起きたなら・・・と考えると、きっと修羅場になりかけたことも何度もあるのだろうな、と。

     出てくる料理、出てくる料理・・・とっても美味しそう。また、我々が普段気軽に食べることなどできないだろう高級食材のオンパレード。羨ましい・・・気も、少しだけ。

     税金を使ってそんな贅沢な食生活を!!!
    ・・・などとは、決して言うことなかれ!!!!!!

     そんな贅沢な食事が許されるくらいの生活を、彼らはしてきたんだなぁと、素直に納得できる。


    ★5つ、9ポイント半。
    2016.09.20.古。

    ※南極生活エピソードはもちろん面白かったし、南極料理もすべて美味しそうだった・・・けれど、自分が一番心に残ったのは・・・

    ドーム大学なる余興(?)にて筆者が語った「キャンプ講座」だった。まさしく、今すぐにでもキャンプに出かけてみたくなってしまった。


    ※映画「南極料理人」も以前に視聴。あちらも面白かった。書籍とはまた違って、物語としても楽しめるので、未観の人にはそちらもぜひ、薦めたい。

    ・・・西村さんを演じるのが堺雅人さん。すっごっくいい味を出していて、とても良かった。堺さん演じる西村さんと、この本で描写される筆者(西村淳)の姿とのギャップを楽しむのも、アリでしょう。


    ※文庫本を読む際の楽しみの一つに、「巻末解説文」を読むことがある。評論家だったりタレントだったり作家だったり・・・が、それぞれどんな視点でその本を読み、それをどう語るのかが、とても楽しい。
    (あらすじ列挙に終始した文は、除く)

    今回は、佐々木譲さん。さすが。この解説文だけ提示して読ませられただけでも、本書を読んでみたくなることまちがいなし。こういう「巻末解説文」、好きだなぁ。

  • 堺雅人主演の映画『南極料理人』がとっても面白くとても気にいったため。
    映画で料理人の西村さんを演じたのは堺雅人さんですが、本物の西村さんはヒゲぼうぼうのおじさんでした☆
    南極に持ち込めない食材は色々あるのでどういったもので代用できるか、知恵と工夫の数々に感心し通し…
    カレー+太田胃散=本格インドカレーには驚き。
    やってみたいような、みたくないような。

  • 海上保安庁から南極越冬隊サポート要員としてドーム基地に渡った著者の食を中心とした記録エッセイ。気楽そうに読めるが、マイナス70度とかマトモな人間が生きて過ごせる気がしない。

  •  この本を読むきっかけになったのは、小林聡美さんの対談集に出ていた
    飯島奈美さんというフードスタイリストがきっかけです。
    「かもめ食堂」のフードスタイリングを手掛けた人というのを知りました。
    あの映画で、小林さんがおにぎりを握る音、コーヒーをドリップする音を映画館の音響で聞いて、すごく印象に残っていて。
    で、ウィキペディアで調べたところ「南極料理人」という映画のフードスタイリングも手掛けているのだとか。
    その作品がちょうど、今月の新刊シネマデイジーにありました。
    早速聞いたのですが、どうも映画だけでは疑問に残る部分がいくつかありました。
    (映画は映画でよかったですよ!)

    ということで、その映画の原作本を読んでみたというわけです。
    なるほど、映画で疑問に思っていたことがいくつか解決されました。
    出てくる料理のおいしそうなこと。
    そして何より、平均気温マイナス60℃という過酷なところで一年暮らすその大変さを著者は面白おかしく書いていました。
    極限状態の環境に追い込まれると、精神が破綻するんじゃないかと思うぐらい、すごい日常でした。
    南極に興味を持つきっかけになった作品。

  • 昔、映画を観て去年ドラマを観たので
    原作も改めて読んでみようと再読

    西村さんのテキトーさが文章にも出ていて
    少しわかりづらい部分もある

    あと、すげー食って飲んでるな(笑)というイメージ

    西村さんが奥さんに何回も感謝の意を表明してて、愛妻家なんだなーと思った
    あとドーム大学のキャンプ講座面白かった

    キアヌ・リーブスのエピソードもクスッと笑いました

  • 読み始めてから入り込むまで時間がかかったけど、最後まで読んでよかった。映画でもそうだったけれど、出てくる料理がとにかく美味しそうで、でもそれは体力的にも精神的にも一般人にはとてもじゃないけど耐えられない環境にいる隊員たちに与えられる数少ない癒しや活力のようなものだったんだろうなぁ。極限状態にいるのに、(いるからこそなのか?)屋外でのジンギスカンやソフトボール大会、度々の宴会など、きっと全員超人であろうオジサンたちが楽しく過ごそうとしているのがかわいい。と同時に尊敬する。個人的には福田ドクターのキャラクターが好きでした。

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著者プロフィール

神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部教授

「2023年 『社会保障法研究 第17号』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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