ローマ人の物語〈10〉ユリウス・カエサル ルビコン以前(下) (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101181608

感想・レビュー・書評

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  • ■評価
    ★★★☆☆

    ■感想
    ◯いよいよガリア戦記も大詰め、相手もガリアを束ねてカエサルと伍して戦ったヴェルチンジェドリックスが登場。ガリア戦記の最終決戦を迎える。

    ◯一方ローマでは、ポンペイウスを取り込んだ元老院の反カエサル派が、元老院最終勧告を出すに至る。
    ◯かの有名な「賽は投げられた」のシーンが最後に出てくるムネアツなシーンが載っており、ルビコン以後も期待してしまう内容である。

    ●「ここを超えれば人間世界の悲惨。超えなければ我が破滅。 ―進もう、神々の待つところへ、我々を侮辱した敵の待つところへ。賽は投げられた!」

  • ガリア戦記最終章です。
    ガリアの平定から内乱記に続くところまでのお話しになります。
    とても刺激的で楽しい場面の連続でした。

  • ガリア戦記からの賽は投げられた、までの道のり。
    最後の賽は投げられた、に胸が熱くなる。
    ラビエヌス!君もルビコンを越えたんだね。
    早く次が読みたくなる!

  • 「ローマ人の物語」の中で、カエサルを描く、8、9、10は面白かった。それまでは、中だるみがあったが、この三冊は一気に読んだ。ガリア戦記をもう一度読みたいと思った。

    〇情報の重要性を知らない人間が相手を見くびるようになれば、普通でも入ってくる情報を集めることさえ怠るようになる。
    〇カエサルは全軍を集め、兵士たちを叱った。ただし、叱ったのであって怒ったのではない、カエサルは怒るということを極度にしない男だった。
    〇私はお前達に、勇気と誇り高い精神を望むと同じくらいに、謙虚さと規律正しい振る舞いを望む。
    〇我々シビリアンは、軍人たちが隊列を組む訓練や規則正しい行進に執着するのを笑いの種にすることが多いが、これは物笑いにする方が間違っているのである。隊列が乱れていては、行軍でも布陣でも指令が行き届かない怖れがある。可能な限り少ない犠牲で可能な限り大きな成果を得ることを考えて、軍隊は構成され機能されねばならない。
    〇叙述は客観的であらねばならないとやかましく言われることさえも、新聞週間のモットーのようなものではなく、自尊心によってしか達成されない。
    〇安全は、防衛の努力なしには得られない。防衛努力には、金がかかる。故に税金は、必要である。
    〇他者からどう思われようと意に介さず、かつ公的にはやり遂げたい何ものかを持たない人は、実質的な隠居人生に徹する方が、人間社会に害をもたらさないで済むのではないか。古代ではそのようなライフ・スタイルをエピキュリアンと呼んだ。これとは反対に、何かをやることで人間社会に積極的に関わるライフ・スタイルを選んだ人を、ストア派と呼んだのである。
    〇人間誰でも金で買えるとは、自分自身も金で買われる可能性を内包する人のみが考えることである。非難とは、非難される側より避難する側を映し出すことが多い。
    〇この内戦が終われば、カエサルは名誉を回復し、我々は自由を回復する。

  • ポンペイウスの活躍のおかげで、それまでの最大版図を支配するようになったローマ。軍の司令官としては優秀で民衆からも高い支持を得ていたポンペイウスだが政治には関心がなく、再び元老院支配が強まる。弁論の祖とも言われるキケロが活躍した時代。のちの英雄である若きカエサルはしばらく雌伏の時を過ごすわけだが、内乱によって命を狙われたり、借金して人妻をたぶらかしたり、海賊に囚われたかと思うと身代金の値段を自ら跳ね上げたりと、荒唐無稽・破天荒な青年期を過ごす。敵方の衰退によりやっとローマに戻ってからは、それまでとは別人のように、ただし慎重に頭角を表す。ここまでが8巻。元老院を抑えて実権を握ってからは、歴史でも有名な三頭政治を実現し、自らはガリアの平定に赴く。このガリア戦記が9巻と10巻。ガリア戦記はそれだけで書籍になっているし、それを題材にした様々なファンタジー小説や映画にもなっている。カエサルの将としての才覚が遺憾無く発揮され、現在の西ヨーロッパの原型ともいうべき町や街道が作られる。その時の街の名前が、2000年を経た今でも残っているというのは、先見の明というだけでは足りない神がかりな大事業。この後、元老院との対立が深まり、いよいよルビコン川を渡ることになる。ローマの長い歴史の中でも、一つのクライマックスを迎えることになる。

  • 長年のガリア戦役の末、ユリウス・カエサルはヴェルチンジェトリックスの軍勢を降してガリア全域の平定に成功する。しかし首都ローマでは反カエサルの元老院派がポンペイウスを抱き込み、カエサルを排除する動きがますます強くなる。追い詰められたカエサルがルビコン川を渡る決断をする、その直前までを扱った一冊。

  • 本編はガリア戦役後半部およびルビコン川渡河までの物語です。本編ではまたもカエサルの軍事家、政治家としての手腕の高さが如実に示されていることに加えて、物書き(ガリア戦記)としての才能の高さも示されています。正確には口述筆記ですが、カエサルの文章は飾らず、自分に酔わず、物事を客観的に述べながらも読者を惹きつけるやり方が著者によって説明されています。私の周りにも会議などの発言録をそのまま文章にして、校正なしに本が出せる人がいますが、カエサルも頭の中がものすごく整理されていた人物であったことと思います。
    ガリア戦役最大の正念場、アレシアの戦いについては包囲模式図や陣地断面図などが掲載されているので大変親切でした。ほかの巻同様是非購入し、休日にでも一気に読んでください。

  • カエサルの人としての魅力が強烈に伝わってきて、非常に惹き込まれた。

  • 『ローマ人の物語10 ユリウス・カエサル ルビコン以前(下)』塩野七生

    読了。カエサル、ルビコン川を渡る。
    「賽は投げられた!」
    もうめちゃめちゃ面白い。

    カエサルには通底した信念があった。巨大化したローマにおいて共和制は対応できていない、おそらくは帝国的なる形を取るしかないのではと考えていた。
    これに近しいことを、現代日本の哲学者、東浩紀さんが言っていた。要約すると「スケールが大きくなると民主主義が機能しなくなる」東さんはロシアや中国を念頭に置いていた。
    しかし、ここで念頭に置いておくべきなのはカエサルはロシアのプーチンとも、中国の習近平とも異なり「母国のシステムを母国のために破壊しよう」としていた。

    ポンペイウスも、ラビリエヌスも、キケロも、小カトーも、皆が魅力的。
    しかし、もう圧倒的にカエサルが一貫してる。一貫性のある人間を人は信頼する。
    一貫するということは、それだけ初心が強く、つまり当初からよくよく考えて迫るものを抱えていたからブレないのだろう。

    次を読むのがとても楽しみです。カエサル編大変に面白い!!!

  • ガリア戦役に突入してからのカエサルの目覚ましい活躍。ここに至るまでの構想が明確にカエサルの頭の中にあったのだろう。そうでないと揺るぎない意志で戦うことが出来なかったように思う。
    カエサルがガリアをローマ傘下に治めたことが、今のヨーロッパという政体の根源なのだろう。
    境界のない違う民族同士が争いあっている時代に法律の基づいて国を治めようとしているローマ人を不思議に思う。

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