- Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101228013
感想・レビュー・書評
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世界的指揮者小澤征爾さんが26歳の時に書いた作品。
スクーターとギター一本持って貨物船でヨーロッパに渡ってからの2年間を家族に宛てた書簡とともに振り返るエッセイです。
予想を超えて、超面白かった。
リコーダーすらまともに吹けないし、小澤征爾さんの指揮してる場面もネスカフェゴールドブレンドのCMでしか見たことない私ですが、音楽抜きにおもしろい。
まず小澤征爾さんが魅力的。
文章の中に散りばめられた感受性豊かな表現力や家族を含めた周囲の人への愛情がみずみずしく伝わる素敵な本です。
終盤はYouTubeで小澤さんが指揮したオーケストラの演奏聴きながら読みました。
軽い気持ちで読んでみてください。
60年前の作品とは思えない!オススメです♪詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ニュースで小澤征爾さんの訃報を知り再読。
ブザンソンの川で美人がビキニを着ていたから対抗して裸になったり、愛嬌があってとにかくお茶目な人だったんだろうなと思う。
この1冊だけでも小澤征爾さんはほんとに多くの人に愛されていたということが伝わった。
24歳で1人で世界に渡り、不安も大きかったろうに手紙には離れていてもこまやかな家族への気づかいが書かれていたのが素敵。
作中には「僕は幸せだ」ということが繰り返し書かれている。
周りの人や環境、この時代に世界を旅出来るということを考えれば誰もが当然のようにそのことを幸せだと思うけど、それを時間が経っても世界のどんな場所にいようと忘れず常日頃感じることは誰もが当たり前にできることでは無いと思った。
この本は小澤征爾さんが音楽家として駆け出しの時に書かれた本であるから他の人が彼と同じ環境を味わって書いたのならもっと音楽に対するもがきや葛藤が描かれていたと思う。
けどこの本にそういった描写が無いのは小澤征爾さん自身がずっと音楽を心から楽しんでいたからじゃないかと思う。
さらば、ヨーロッパの章に書かれている内容から伺える通り、小澤征爾さんが音楽にひたむきに情熱を注いで、純粋な姿勢で音楽に向き合っている様が感じられて読んでいて清々しかった。
いい音楽を精いっぱい作りたいということ、たったそれだけを願い、音楽家としての多くの名誉や富を求めずただまっすぐに音楽に向き合った彼は本当に素晴らしい音楽家だったのだと思う。 -
小澤征爾が2024/2/6にご逝去。有名な指揮者ということしか存じ上げなかったので、司書さんに薦められて読んでみた。とても面白かった。文章もモタモタするところもなく、若き小澤征爾が、臆することなくチャレンジしていく様子が、伸びやかに語られていた。コンクールに次々と優勝していくのはやっぱり凄い人なんだなーと思う。ミュンシェ?バーンスタイン、カラヤン、バックハウス?フィッシャー・ディースカウ?最後の2人は、世界中の音楽家の中で、一番尊敬している人らしい。理由は百回演奏会して、九十九回まで同じ様に完璧に演奏できるから。
カラヤンに飯を食おうと誘われてもしめたとは思わないが、バーンスタインに誘われたら、しめた今日は美味いものにありつけると思うー
オーケストラのお国柄というものがあって、ベルリン・フィルハーモニーはどんな指揮者でも崩れない。フランスは、一人一人の楽員の音がバラバラに。
アメリカはビジネスに結びつき、指揮者の技量に出来が左右される。
手紙に出てくる、弟のポンがいい子みたいで、小澤征爾もとても可愛がっているし、頼りにもしている。 -
前を向いて颯爽と新しい道を歩いていく小澤さんの人懐こい笑顔が見えてきそう
何度読んでも元気になれる -
小澤征爾がフランスへ渡り、指揮者コンクールで優勝してミュンシェ、カラヤン等々名だたる指揮者のレッスンを受け、バーンスタインのもとで副指揮者となり、2年半後に日本に凱旋するまでの物語。私が物心ついた頃には有名だった小澤さんの凄さを改めて認識した本だった。しかも日本凱旋したのは弱冠26歳だったというのだから驚く。
もちろん彼に基礎やそもそもの素養があったに違いない。が、小澤征爾を際立たせたものは、音楽に素直に感動する気持ち、それを求めて向上したいという気持ちや努力、そんな自分を応援してくれる人に感謝し、同時に弱音もはける素直さを持っていたことではないか。そう思わせてくれる内容だった。そんな人間みが滲み出ているからこそ、オーケストラの人間にこの人と音楽をやってみたいと思わせ、周りの人に手を差し伸べたいと思わせる力があったのではないだろうか。
それにしてもスクーターでヨーロッパ大陸に乗り込み(登録番号が違っているのを許してもらったり適当に免許取ったり)、コンクールの締切後に受け付けてもらったり、なんといい時代だったんだろうと羨ましくなる。←ただし後書きによると、締切後の手続きを手伝ったパリのアメリカ大使館の女性は小澤の将来を予見していたらしい。だからこそ頑張ってくれたのだろうが、才能ある若者のめをつまない柔軟な対応! -
これはある本屋さんに行かなければ、きっと出逢えなかった、もしくは出逢えたとしても、もっとずっと後になってしまったであろうと思う。
学生時代、ドラマで“のだめカンタービレ”にハマって、“音楽”の世界にとても興味を持っていた時期があったことを思い出す。
わたし自身、小学生までピアノを習っていたからその影響も大きかった。
そしてこののだめで知る“指揮者”の世界。
なんだか、この本を読んでいるうちにあの頃観た映像がありありと思い出されて、とても感慨深い…
小澤征爾さんのお名前はとても有名だけど、彼が音楽するところを観たことは、残念ながら1度もないと思う。
どんな風に音楽されるんだろう。
わたしのやりたいことリストにまた1つ項目が増えた。 -
小澤さんの夢に向かう姿がかっこいい。
そして家族に対しても筆まめな姿に驚いた。
どうやら日本という国は好きらしい。
小澤さんについてけっこういろいろなことが分かった。
海外に行くのが困難な時代に自分の夢に向かって行動して行くのがすごいと思うし、私ももっと頑張ろうって思えた。 -
高校時代の恩師があんまりにも「小澤征爾小澤征爾小澤征爾小澤征爾」とうるさいもんで、父の本棚で偶然見つけた際に読んでみた一冊。今まで指揮者としての彼しか知らなかったので、まさか本当に本を出しているとは思いもしなかったのだ。てっきり恩師がボケたのかと……。それはさておき、内容はあの小澤征爾自身が実際に体験したむちゃくちゃな音楽修行である。まず、出発の方法から何かオカシイ気がするが、当時と現在は全く違うから良しとしよう。というか、正直羨ましい道中である。何気なく音楽に対する考察も出てくるし、その論じ方も思わず頷いてしまうもので、結局楽しく一気に読んでしまった。そんなわけで、今では父の本棚から私の本棚へとこっそり移動させた。未だにバレていないので、このままシラを切り通そうかと考えている。
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小澤征爾が死亡してからその追悼として紹介されているほんであった。今から45年前に出版された本であるが面白い。音楽について欧米に行く人には必携のものであろう。
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貨物船に便乗してわたり、日本から持って行ったバイクでヨーロッパをめぐる。
小澤征爾氏が世界の音楽界に第1歩を記すまでの、珍道中と言っていい思い出が書かれた本です。
中学校か高校の時の読書感想文を書くために読んだ本です。
(どんな読書感想文を書いたか忘れましたが…)
この本を読んで初めて小澤征爾氏を知りました。
世界の小澤征爾氏がこのように誕生したのか、と今は感じています。