オーデュボンの祈り (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 44239
感想 : 4119
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  • Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101250212

感想・レビュー・書評

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  • 哀しいけどあたたかい
    あたたかいけど哀しい

    相反する感情が常に揺り動く作品だった。
    ファンタジーの要素がありながらも精巧でリアリティーがあり、没入感の強さにひかれた。
    読者の納得感、満足感に寄り添っているようで
    読んでいて安心した。

  • 何とも不思議な物語。世にも奇妙な物語というのかなんなのか。色々考えさせられる話だった。

    今の日本というか明治以降の必要以上に西洋をありがたがるこの国の失ったものはなんなのか、というのが意外と隠されたテーマだったりして。それが音楽なはずはないけれども、そうすることでエンタメとして昇華させて、何かを訴えようとしているのかもしれない。あえて、まどろっこしくしているのかもしれない。でも、別に小説に意義なんて本当はないのかもしれない。

    優午は未来が見える。自分が死ぬことはもちろん予測していた。というか、死期を探していたのかもしれない。名探偵なんて、有難迷惑。名探偵コナンなんてまさにその最たる例。不幸は起きてしまったら、所詮不幸。粗探しをしたところで行先はもちろん不幸。でもそのやるせなさを晴らす為に警察が存在する。でも警察なんて結局はただの人間でほとんど無能に近いから頼りにならず、物事の本質なんてわからない。だから、神のような存在が必要で桜がいる。実は荻島こそ、欠けてるもののない島なのかもしれない。いや、その桜がいることで何か欠けているのか。でもやはり、極端な西洋かぶれを免れたおかげで、城山なような人間を裁けたのかもしれない。そして、もしかしたら伊坂幸太郎氏は案山子なのかもしれない。

    それにしても、最後の一つ一つ知恵の輪を解いていくような回収は、読んでいて心地よかった。

  • 異質な人たちが暮らす隔離された島で起こるミステリーかと思っていたので、良い意味で騙されました。
    どこか御伽話を彷彿とさせる世界観なので、読後は荻島の魅力にどっぷり浸かっているような感覚に。
    これがデビュー作だなんて、、才能が恐ろしい。

  • 不思議な小説だった。
    読み終えてから知ったのですが、作者のデビュー作になるんですかね?
    仙台が出てくる「安心感」の中、モヤモヤした感じで作品のワールドに引き込まれていきました。時折、狂気の暴力のにおいがするのはあまり好きではないのですが終わってみるとホッとする。そんな作品です。

  • 伊坂幸太郎作品を最初から読んでみよう!
    で、一作品目。

    なんとも不思議な世界観と設定。
    その不思議さについて行けず、読む手が止まりそうになるものの、でもでもやっぱり、と読み進めた。

    びっくり衝撃的な結末でもなく、静かなエンディング。まるで荻島に流れている時間のような空気感。

    城山を殺してくれて、ありがとう、桜。
    その結末だけは、途中からなんとなく信じてた。願ってた。

    優午に音楽が届いていると、聞こえているといいな。

  • 作品に没入して世界観を楽しめました!終わりが気になるんだけど終わって欲しくない…という気持ちを久しぶりに味わった気がします。

    ファンタジーと言ってもいいかもしれないような設定なのだが、張り巡らされた伏線やあらゆる描写のリアリティで全く気になりませんでした。自然の描写にはかなり癒されました。

    地面に耳をつけて音を聞く少女、若葉が可愛くて好きです。そういえば自分も昔、耳を塞いで身体の音を聞いて感動したなと思い出しました。

  • 150年間鎖国状態の島には、何でも知ってる喋るカカシがいる。
    そんなカカシが殺させることで物語が進んでいく。

    "何でも知ってる喋るカカシが殺される"がパワーワードすぎて気になって読むしかないやん!

    伊坂幸太郎のデビュー作だけど、この頃から作者はキレッキレでした。
    ☆3.2

  • コンビニ強盗に失敗した伊藤は気がつくと見知らぬ島にいた。

    とても不思議な小説なのに、ミステリー感たっぷりで引き込まれます。
    大好きな小説。
    何度も読み返しています。
    なぜカカシがいなくなったのか、島に足りないものはなんだったのか、人々の死や存在の意味が散りばめられた伏線が最終的に回収される部分は爽快感さえあります。
    島の存在はフィクションなんだろうけれど、オーデュポンやリョコウバトなどは実在する話なので、リアリティとの交錯のバランスが絶妙。
    村上春樹を思わせる設定や文体ですが、全く影響は受けていないようです。
    それでこの世界観を出せるとは天性の才能だと思う。
    純文学ほど性的な部分を強調しないところも好きです。
    おすすめです。

  • 人は誰しも何かの宗教を持っているのかもしれない。
    少しフィクションが混じり純粋な推理小説ではないが、ミステリーの面白さを発見できた小説だった。
    知っている、ということが場合によっては毒になるのかもしれない。

  • ファンタジーで面白かった。
    最後まで楽しめて良かった!

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著者プロフィール

1971年千葉県生まれ。東北大学法学部卒業。2000年『オーデュボンの祈り』で、「新潮ミステリー倶楽部賞」を受賞し、デビューする。04年『アヒルと鴨のコインロッカー』で、「吉川英治文学新人賞」、短編『死神の精度』で、「日本推理作家協会賞」短編部門を受賞。08年『ゴールデンスランバー』で、「本屋大賞」「山本周五郎賞」のW受賞を果たす。その他著書に、『グラスホッパー』『マリアビートル』『AX アックス』『重力ピエロ』『フーガはユーガ』『クジラアタマの王様』『逆ソクラテス』『ペッパーズ・ゴースト』『777 トリプルセブン』等がある。

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