さいごの色街 飛田 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (493ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101263915

感想・レビュー・書評

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  • 私が知っている飛田情報と言えば、ノーピクチャー、ちょんの間、というだけ。実際行ったこともないし、すすきのや歌舞伎町なんかと違って女が普通に歩いているという場所じゃないらしいし。すすきののちょんの間はたぶん15年以上前に、黄金町のは10年ぐらい前に一掃されたし、もう本当に飛田だけなのかなあ。
    章の表紙に使われていた一枚の写真が九份まんまで驚いた。本当にそういう感じなんだーと。単純に写真目当てで行きたい。今は昔と違ってわりかし客層も若く、外国人も普通に歩いていて写真とか撮っている人もいるらしい。あとアベノハルカスから見た飛田の写真がよかったなあ。あれがほとんどすべてと言ってもいいぐらいの外からの飛田じゃないだろうか。

  • 10年以上に亘って飛田を追い続けた女性ルポライターの本。取材が体当たりすぎてハラハラする場面もあり、興味深く読めた。光も闇も感じたことをサラッと書いていて、ちゃんと歴史も調べた上で、視点が偏らないように控えめに冷静に書いてあったのが良かった。

    飛田って何だか非日常感のある場所。風情があって幻想的ってイメージ。金魚鉢の金魚みたいな、鮮やかで美しく、儚くて寂しい女性たち。そんな遊郭の趣きを未だに残す貴重なところ。売春に賛成でも反対でもないけど、あの風情は残して欲しいな。

    性風俗店で働く女性が、自らの価値を試すことだったり、最低限の生活費以外でのお金だったり、何か目的があって働くなら他人がどうこう言うことじゃない。だけど、家庭環境とか社会システムによって、そこで働くしか選択肢がない(もしくは選択肢を思いつかない)状況で働いていて、負の連鎖から抜け出せないなら、肯定できないな。

  • 他にこういう風俗系のノンフィクションって読んだこと無いので飛田以外の風俗街の人々についてはよく判らないのだが、元の認可地。赤線地帯で、往時の気配を濃厚に残す「アンタッチャブルの街」飛田を10年に渡って取材して著した労作。
    エピローグ間近のエピソードと、単行本発行後を記した文庫版あとがきにある加速度的な街の変わり様がすごい。

  • あいまいな部分、触れられない部分を残しながらも、作者の長年の体当たりの取材が生きた読み応えのある一冊だったと思う。飛田の歴史に触れながら、時代が流れても性産業と貧困は社会からなくならず、絡み合って存在し続けるんだろうな、と物悲しく思った。

  • 自分の足で、目で、耳で、確かめた「飛田」というマチの記録。実感が感じられる、ある意味、謙虚な、ノンフィクション。読んでよかった。

  • 単行本から以降の追加の情報が興味深い

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著者プロフィール

井上 理津子(いのうえ・りつこ):ノンフィクションライター。1955年奈良県生まれ。タウン誌記者を経てフリーに。主な著書に『さいごの色街 飛田』『葬送の仕事師たち』『親を送る』『葬送のお仕事』『医療現場は地獄の戦場だった!』『師弟百景』など多数。人物ルポや食、性、死など人々の生活に密着したことをテーマにした作品が多い。

「2024年 『絶滅危惧個人商店』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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