- Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101294728
感想・レビュー・書評
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スタンス・ドットてなに?とおもっていたら、ボーリングの球を投げるとき指針にするあの点々のことだった。
補聴器をはずしてボウリング店主が店じまいに聞きたかった音のお話。
静かで、やさしい。
ほかのおはなしは
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いいな。こういう静かな読書。
ちいさな町に暮らす人たちの日常。
ゆるやかにやわらかく、でもちゃんととつながって生きている人たち。
それぞれの生き方が丁寧で。心地いい。
彼ら彼女らの生活の音まで聴こえてくるような感じ。
心が静かになっていく。 -
良いお話ばかりだった。人生を、一日を大切にしようと思った。細やかな表現が心地よかった。
2014/11/15 -
雪沼という架空の田舎を舞台にした7編からなる地味な連作。身体的な短所や障害、子どもの死といった傷を持つ人たちはなぜここに移り住んだのか。過去とどのように折り合いを付けているのか。ここに住む住人たちの関係はどのようなものなのか。声なき声に耳を澄ませて、ようやく聞こえてくる市井の人たちの小さな声。ここには英雄はいない。だけど普通の人たちの半生が斯くも劇的で胸を打つのかってことを思い知らされた。5年後、10年後、読むたびに違った味わい方ができるはずで、そのあたりのことをちゃんと計算して、結末を少し寸足らずにしているところも絶妙。
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☑スタンス・ドット
☑イラクサの庭
☑河岸段丘
☑送り火
☑レンガを積む
☑ピラニア
☑緩斜面
解説 池澤夏樹 -
堀江敏幸「雪沼とその周辺」http://www.shinchosha.co.jp/book/129472/ 読んだ。自分たちのペースで静かに暮らす人たち。一人一人の生活が世界を形づくる。この人を読む楽しみは、トーンを味わうだけじゃなく生活道具や機械の描写を堪能することでもある。他を読みこの人に戻ってくるとほっとする
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【本の内容】
小さなレコード店や製函工場で、時代の波に取り残されてなお、使い慣れた旧式の道具たちと血を通わすようにして生きる雪沼の人々。
廃業の日、無人のボウリング場にひょっこり現れたカップルに、最後のゲームをプレゼントしようと思い立つ店主を描く佳品「スタンス・ドット」をはじめ、山あいの寂びた町の日々の移ろいのなかに、それぞれの人生の甘苦を映しだす川端賞・谷崎賞受賞の傑作連作小説。
[ 目次 ]
[ POP ]
最後の営業日を迎えたボウリング場の経営者や、こだわりの音を届けるレコード屋の店主など、山あいの静かな町で暮らす人々を主人公とする連作短編集。
なんと語彙が豊かで綺麗な日本語なのだろう、とため息が出る。
かなりの長さをもちながら、すらすらと淀みなく流れる品の良い文章。
とても上質な布に触れたときのような幸福な気持ちで読んだ。
『送り火』に登場する陽平さんは、針金でも入っているかのようにいつでも姿勢の良い人物として描かれている。
それだけでもう心のありようが透けて見えるのだが、陽平さん以外の登場人物も皆、つねに背筋をすっと伸ばして日々を過ごしているような印象を受けた。
誠実で控え目で、自分の流儀を守りながら、しっかりと地に足をつけて毎日を暮らす人たち。
便利でもなければ刺激が多いわけでもない雪沼という架空の場所での生活が、とても羨ましく思える。
どの物語も、すこし緊張をはらみながらも決して過剰にならず、淡い余韻を残して終わる。
贅沢、とはこういう作品を指すのではないかと思う。
すこしずつ、じっくりと味わいたい。
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
描写は鋭いというよりも丁寧で、品がいいって感じです。
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青森の成田本店で購入。北海道旅行中に読み始める。『河岸忘日抄』以来、3年半ぶりの堀江敏幸。この人の小説も全部読んでみたいなと、思わされた。収録されている6編すべてに満たされる、いずれも良作。
「スタンス・ドット」
「イラクサの庭」
「河岸段丘」
「送り火」
「レンガを積む」
「ピラニア」
「緩斜面」の6編収録。
2003年 - 第29回 川端康成文学賞 (『スタンス・ドット』)
2004年 - 第8回 木山捷平文学賞 (『雪沼とその周辺』)
2004年 - 第40回 谷崎潤一郎賞 (『雪沼とその周辺』) -
雪沼のゆったりとした時の流れを上手く表現しながら、一方で短編とすることでテンポよく展開できている。
加えて、著者の言葉選びのセンスが光る。
奇をてらった表現はないが、比喩も言葉もしっくり来るものが多いと感じた。