- Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101294728
感想・レビュー・書評
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「スタンス・ドット」を読みたいがために、本屋Titleさんで購入。
ボーリングの言葉だったことと雪沼という場所に住む人たちを主人公とする連作小説だった、知らなかった。
前知識はタイトルのみ、というのは、知らない土地にポイッと置かれてそこがどんなところで自分は何をしに来たのかも分からない、とりあえず恐る恐る周囲の様子を探っていくという感じの読書体験、どきどきした。
それぞれの話の終わり方が終わっているような終わっていないような分からない感じで、それが雪沼での生活が本になっていない見えない部分では続いているんですよ、と感じさせるなぁ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
とりあえず過去にセンター試験にも出た作品も。わたしの恩師がプレゼントしてくれた。1つ1つの話の伏線を考えるのがとても難しい。表現力にやられる。
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特になんの印象も残らない作品。
何故Amazonでの評価が高いのか分からない。
ほのぼのしてて至って普通の小説だから? -
雪沼という、寂れかかった町と、そこに住む人々を描いた短編小説集。
この小説の登場人物たちは、みな人生も後半、といった年代の人たち。
耳や目、体に衰えを感じている人たち。
事件らしい事件が起こるわけではない。
でも、こうした人たちの暮らしや、歴史、ものとの関わりを、暖かく、しかし適度に抑制されたトーンで描き出していく。
イラクサのスープ、手すきの和紙の凧、ブランズウィックのボーリングマシンなど、人々の横で、ものが不思議な存在感を放つ。
この作品の、何とも言えない味わいを、どう言葉にしていいことか! -
この作家にどうやらはまってしまったようだ。短編のつながりは、その架空の土地を中心に、しかもゆるやかにつながりながら、点の物語から面の物語へとかすかな関係性でつながってゆく。しかも、それも作者の計算の上かと思うと、口惜しいけど、引き込まれている自分がいて、降参しております。
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p.9
このまま仕事をつづけていたら、俺の人生もなにかを冷やすためによけいな熱を出すだけで終わりかねないぞと胃が痛むほど悩んでいた三十代の自分の姿を、しかし彼はもうはっきりと思い出すことができなかった。
雪沼地区の人々を巡る連作短編集。最初の一ページから、素敵な文章を書く人だぞという予感があり、最後まで読んでその通りだった。
連作というよりも、各話の登場人物にスポットを当てた結果、なんとなく周囲の人が見えてくるという感じで、それが小さく(寂れた)田舎の様子を伝えられるのではないかと思った。人のお話なのに、「雪沼」の土地が印象に残る。
女性らしい文章だけど、作者の写真を見たら男性だった。 -
雪沼、という場所に住む人々の生活の一部を切り取った短篇集。どの短編を読んでも、それほど大きな事件や出来事が起こるわけではなく、ラストもオチとか、ドラマティックな幕切れとかはなくて、急に終わる。「え、ここで終わったの?」っていう感じで。でも、それでも読んでしまうのは、普通の人のある変化の瞬間に、ほどよいスポットライトを当てているから。自分がつくる料理は特別美味しくない、と思っている料理人と、その料理の美味しさを愛する客の関係、幼い子供をなくして13年がたった夫婦のちょっとした変化・・・。とりたてて書くほどでもないかも知れない人生が丁寧に描かれていて、安心する。本来、どんな人も自分の人生の主人公なんだけど、最近はどうもスーパースターとかデキル奴しか主人公になれない、とあせってる人が多い気がする。そういう、人から見た自分、ではなくて、自分や周囲の人に誠実に生きている「篤実」な人々の周辺はとても優しい。もちろん、ただただ優しいのではなくて、辛いことも苦しいこともあった上での優しさ、しなやかな強さ。でも、こういうのは下手に書くと地味ーになってしまうのに、これを読ませてしまうのが堀江さんの文章なんだなあ。
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高山なおみさんおすすめ。
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読み始め…12.2.16
読み終わり…12.2.21
山間の寂びた町の住民の何気ない日々を綴った連作短編集。どのお話も穏やかで、しみじみしていて温かな温度が感じられるのは情景描写の細やかさにあるのかもしれません。
なかでも好きなのは「送り火」かな。どのお話もそうでしたが短編なのでもう終わり?というくらい、もっと続いて欲しい気持ちにさせられてばかりでした。
こちらは谷崎潤一郎賞受賞作品。
うち 収録の「スタンス・ドット」は
川端賞受賞作です。
情景描写の細やかな作品。今度は長編を読んでみたいです。 -
2016.1.20
地味で質素、大きな出来事もなく、温かくもなく、淡々とした物語。
素晴らしい。もう、こういうのだけ読みたい。